梯久美子 / 原民喜 死と愛と孤独の肖像

2018年7月20日初版 岩波新書

広島で被爆も生き伸び「夏の花」などの作品を遺し、中央線へ飛び込み自殺した作家の死と愛と孤独を描き流石の仕上がり。遠藤周作との交流、対人関係が苦手で経済的に苦労し、妻を結核で亡くす日々の詳細克明で興奮。

吉田秋生 / 海街diary

2007年4月-18年12月初版 小学館フラワーコミックス

鎌倉舞台に4姉妹を描きマンガ大賞など受賞の傑作シリーズが全9巻で完結。不定期連載で12年かけ、クオリティ維持し大成功。父の死を期に異母妹を家族に迎えるが長女が抱える諸問題がスパイス。次女のキャラ秀逸。

月刊根本宗子 / 愛犬ポリーの死、そして家族の話

2018年12月22日14:00 本多劇場

3種のダメ男と結婚した3姉もつ不思議女子の愛犬死後に出会う中年男性との恋愛描き見事な完成度。急登板の藤松祥子が奮闘、犬と恋人(小説家)演じた村杉蝉之介との恋愛面白いが、夫婦喧嘩のディテール見事で笑い。

町田康 / 日常の肯定

2017年12月25日初版 毎日新聞出版
「どつぼ超然」3部作完結編は、熱海ならぬ田宮での日常を無駄に脱線、詳細に綴り新機軸。傑作「この世のメドレー」超えないが、踊り子乗車までのダラダラ感脱した後、怪物・龍神沖菜登場からのパンクな展開は圧巻。

ワワフラミンゴ / ハートのふゆ合戦

2018年12月14日20:00 イリヤプラスカフェ@カスタム倉庫2F
待望の新作公演は田原町の木製倉庫なお洒落カフェで実現。女性7人による鳩とハートの楽しい会話劇が大成功。ポッポ歌場面楽しく、当日配布の台本一部おまけも嬉しい。妊婦な名児耶ゆりのちょっと出演も素敵な試み。

平野啓一郎 / ある男

2018年9月30日初版 文藝春秋
飲み屋で出会った男に取材した新作長編は在日コリアンの弁護士である城戸が依頼主の夫の死の真相を探って展開。死刑制度やヘイトスピーチなど時事的な取り込みも見事。谷口大祐として死んだ男の半生も興味深く流石。