松尾スズキ / 「大人計画」ができるまで

2018年12月15日初版 文藝春秋

北九州での生い立ちから上京し下北沢に住み大人計画を立ち上げ、商業的にも成功した現在までの過程をつぶさに語り意義深い一冊。「イケニエの人」など激務で不満足だった作品にも言及。舞台裏ネタ満載で基調な証言。

保坂和志/ ハレルヤ

2018年7月30日初版 新潮社

片目猫の花ちゃんとの18年記録する表題作と再録「生きる歓び」は看病内容の詳細など面白く、猫への深い考察に脱帽。川端賞作「こことよそ」は作家生活とデビュー前夜のカルチャーセンター時代の日常振り返り出色。

梯久美子 / 原民喜 死と愛と孤独の肖像

2018年7月20日初版 岩波新書

広島で被爆も生き伸び「夏の花」などの作品を遺し、中央線へ飛び込み自殺した作家の死と愛と孤独を描き流石の仕上がり。遠藤周作との交流、対人関係が苦手で経済的に苦労し、妻を結核で亡くす日々の詳細克明で興奮。

町田康 / 日常の肯定

2017年12月25日初版 毎日新聞出版
「どつぼ超然」3部作完結編は、熱海ならぬ田宮での日常を無駄に脱線、詳細に綴り新機軸。傑作「この世のメドレー」超えないが、踊り子乗車までのダラダラ感脱した後、怪物・龍神沖菜登場からのパンクな展開は圧巻。

平野啓一郎 / ある男

2018年9月30日初版 文藝春秋
飲み屋で出会った男に取材した新作長編は在日コリアンの弁護士である城戸が依頼主の夫の死の真相を探って展開。死刑制度やヘイトスピーチなど時事的な取り込みも見事。谷口大祐として死んだ男の半生も興味深く流石。

石井暁 / 自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体

2018年10月16日初版 講談社現代新書
共同通信記者による防衛省幹部への執拗な取材で見えた「別班」の実像。タブーである海外活動も執拗に追究し興奮。何度も飲みの場を設定し情報を引き出す手法、デスク役とのやり取りなど舞台裏も興味深く迫力の一冊。

村田沙耶香 / 地球星人

2018年8月30日初版 新潮社
傑作「コンビニ人間」来の芥川賞受賞第一作は、生産性重視する人間工場と対峙する奈月の暴走する半生描いて衝撃的。新潮45問題彷彿の時代性も抜群。幼少時の長野秋級に親戚集うエピソード秀逸だが、仮面夫婦同士でポハピピンポボピア星人化した終盤の過激すぎ疲弊。