山田詠美 / 私のことだま漂流記

2022年11月21日初版 講談社
毎日新聞日曜版連載の自伝小説は磐田の幼少期、鹿沼文学少女時代、漫画家や新宿・六本木時代、作家デビューから文壇状況まで軽妙に綴り文句なしの面白さ。各種攻撃による痛みが鮮明、先輩作家との交流も興味深い。

津村記久子 / 水車小屋のネネ

2023年3月5日初版 毎日新聞出版
谷崎賞受賞の新聞小説会心。10歳違いの理佐と律の姉妹が毒親から離れ生活始める展開見事。職場の蕎麦屋にいるヨウム=ネネとの交流を10年単位で見つめ、時代背景の挿入、コミュニティの強まりも巧みに描いた。

児玉雨子 / ♯♯NAME♯♯

2023年7月30日初版 河出書房新社
ハロプロ作詞家の芥川賞候補作はジュニアアイドルだった過去と大学生の現在往来し強烈で過去バレの苦痛リアル。オーディション続いた小学生時代の美砂乃との交流が臨場感。るろうに剣心な二次創作オフも意外な効果。

阿部和重 / ULTIMATE EDITION

2022年10月30日初版 

河出書房新社有名曲のタイトルと同名作中心に16作品集めた短編集は持ち味十分。追い込まれた極限状況を巧みに表現して迫力。前半は旧共産圏中心にグロい作品並ぶ。後半は東京西部や神奈川のプチ犯罪、事件の一コマ描き切れ味。

あひるなんちゃら / 真夜中にコライダー団地で

2023年9月28日19:30 駅前劇場
地下にコライダーあるロケット団地舞台に複数組の会話が交互に展開し持ち味。額にシール貼る者の存在、部屋、廊下、公園、屋上と次々舞台変え団地の情景に厚み。もはや老舗劇団で役者平均年齢上昇、若手起用必要か。