旗手啓介 / 告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実

2018年1月16日初版 講談社
NHKスペシャル書籍化は1993年の初のPKO派遣で起きた文民警察官の悲劇の詳細を明らかにし迫力。現地に居合わせたオランダ兵、ポルポト派の上官にも会いに行く展開に興奮。講談社ノンフィクション賞も納得。

川上弘美 / 森へ行きましょう

2017年11月20日初版 朝日新聞出版社
同じ1966年に生まれたルツと留津の2人の女性の人生をパラレルに年代追って描いて出色。バブルや震災や当時の流行など昭和、平成の時代背景も巧みに彩り、絡む友人たちのダブり具合絶妙で大胆な遊び心にも拍手。

森見登美彦 / 太陽と乙女

2017年11月20日初版 新潮社
デビューから14年の決定版エッセイ大全集は書評まで入れ蛇足感も。小説書けずスランプに陥った日々綴ったものが興味深く、京都→東京→奈良と居を変え退職する作者の経歴も見え興奮。台湾誌で連載のコラムも新鮮。

川上未映子 / ウィステリアと三人の女たち

2018年3月30日初版 新潮社
14〜17年発表の4つの短編収録の新作は村上春樹の影響見える表題作出色。空き家の隣家に深夜潜入する女性と、老女の記憶辿る展開鮮やか。田舎の中学校の同窓会に参加する芸能人の心理を大胆に描く冒頭作も興奮。

高橋弘希 / 送り火

2018年7月25日初版 文藝春秋
芥川賞受賞作は北地へ転校した中学3年生を主人公に残酷な遊び、苛めに遭遇しながら過ごす日々描いて刺激的。人付き合い巧く上手にやり過ごす歩が直面する晃の暴力性の数々にひりひり感。硬質な文体もマッチし成功。

横田増生 / ユニクロ潜入一年

2017年10月25日初版 文藝春秋
決算説明会出禁きっかけに名前変え潜入取材試みた筆者の覚悟に拍手。15〜16年に幕張やビックロなど3店の実態興味深く、柳井社長の部長会議コメントへのツッコミ面白いが、店舗作業にハマる展開もリアルで見事。