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十二夜

2005年7月17日11:00 歌舞伎座 古典と様式の扱いに長けた蜷川の演出以上に、脚本の良さ、菊五郎劇団の充実が光った出色のシェイクスピア歌舞伎。菊之助が生き別れの兄妹、世を忍ぶ男装の妹の三役を目まぐるしく早替り。亀治郎に存在感。(飯野形而)

七月大歌舞伎 NINAGAWA 十二夜

2005年7月16日11:00 歌舞伎座 菊之助の熱意で実現の大胆企画はシェークスピアを今昔物語テーストに日本化。意外なほど保守的な印象は権威・蜷川の限界と八方丸く収まる喜劇の宿命か。鏡の舞台も兄妹の2.5役こなした菊之助を助けず効果は限定的。(やま)

桂枝雀七回忌追善落語会

2005年7月9日15:00 南座 3月歌舞伎座に始まった七回忌ツアー中盤の大舞台、南座での偲い出トークに豪華ゲスト陣。藤山直美、佐川満男らと共に、芸能界引退した上岡龍太郎が特別出演。貴重な芸談と追悼詩を披露。ビデオ落語は不要。(飯野形而)

コクーン歌舞伎 桜姫

2005年6月25日12:00 シアターコクーン 小割舞台で連発させた小技に溺れた格好の串田演出。肝心の役者の演技が浅過ぎで、福助の独演場面も伝わらず眠いだけの苦痛展開。ポップな狂言回しも効果薄く、好演の橋之助が痛ましい。8月の歌舞伎座で挽回を期待。(やま)

六月大歌舞伎夜の部

2005年6月12日16:30 歌舞伎座 南北生誕250年で通し上演された盟三五大切は、仁左衛門が忠義のため非道を尽くす三五郎を粘質に演じ、虎屋の羊羹の如き濃厚さ。人間国宝にして踊りの名手の富十郎が、挙動不審の2歳児に食われる良寛はきわめて前衛。(飯野形而)

六月大歌舞伎昼の部

2005年6月12日11:00 歌舞伎座 上方和事が板に付き始めた染五郎の封印切は、はんなり感やや欠けるも、前半の憎めないバカっぽさと、稚拙ゆえ挑発に乗り公金横領に至る悲哀を好演。仁左衛門が当り役を若手に譲り、狡猾な小悪党と純朴な親父で締める。(飯野形而)

文珍・南光・鶴瓶+1しごきの会

2005年6月3日18:30 baseよしもと ベテランの域に入った超人気落語家3名が前座務めトリの若手をしごく上方落語会注目イヴェントの第2回は桂宗助が汗だくで船弁慶を好演。報道番組司会も降板し本業に傾注する文珍の七段目は圧巻。歌舞伎座で観たい傑作。(飯野形而)

五月大歌舞伎 十八代目中村勘三郎襲名披露(義経千本桜/鷺娘/野田版研辰の討たれ)

2005年5月9日16:40 歌舞伎座 期待の研辰は歌舞伎役者を使った野田の芝居を歌舞伎座に載せただけという印象。野田役が勘三郎になっただけで様々な工夫も後味は弱く、次作は制約内でどこまでできるか見たい。玉三郎鷺娘の舞いは文句なしの完成度。(やま)

十八代目中村勘三郎襲名披露五月大歌舞伎

2005年5月8日16:40 歌舞伎座 玉三郎の鷺娘に歌舞伎舞踊の真髄を観る。50代半ばにして気品高く可憐に妖精の舞で魅せる姿は、さながら往年のマーゴ・フォンティン。後見との呼吸も絶妙に華麗な引き抜き。菊五郎の忠信狐は全く躍動感無く狐に見えず。(飯野形而)

十八代目中村勘三郎襲名披露五月大歌舞伎

2005年5月8日11:00 歌舞伎座 髪結新三が出色。初夏の江戸情緒豊かに、勘三郎が憎めない小悪党を好演。テンポの速さ、小気味よさは六代目譲りか。三津五郎の老獪な大家も鮮やか。期待の子役・清水大希が勘三郎の部屋子・鶴松となるもう一つの襲名劇も。(飯野形而)

五月大歌舞伎 十八代目中村勘三郎襲名披露(菅原伝授手習鑑/芋掘長者/弥栄芝居賑/梅雨小袖昔八丈<髪結新三>)

2005年5月9日11:00 歌舞伎座 3ヶ月の歌舞伎座での襲名興行の中で演目の充実度最高。三津五郎の貢献大きく芋掘の舞に新三で大役2役を演じ勘三郎と名コンビぶり発揮し楽しく豊かな歌舞伎。中村屋も凝った口上にお家芸の髪結い実演披露し大成功。(やま)

阿修羅城の瞳

2005年4月16日公開 松竹 監:滝田洋二郎 演:市川染五郎、宮沢りえ他 失敗例多い傑作舞台の映画化には稀有な佳作。松竹制作ゆえ、新感線の猥雑さ、濡れ場での古田新太のぬめり感こそ無いが、染五郎が強き優男・出門を好演。7月蜷川歌舞伎後は、いのうえ・中島コンビでの歌舞伎座に期待。(飯野形而)

四月大歌舞伎 十八代目中村勘三郎襲名披露(毛抜/口上/籠釣瓶花街酔醒)

2005年4月23日16:40 歌舞伎座 楽しい成田屋十八番と口上に続き、長編世話物の悲惨極まる筋立てに震える。不自然なほどにこだわる見染め場面に続く惨酷な愛想尽かしに居たたまれなさ切実。顔に痘痕つけて勘三郎が熱演、大詰めの刃傷で悲劇最高潮。(やま)

四月大歌舞伎 十八代目中村勘三郎襲名披露(ひらかな盛衰記<源太勘當>/京鹿子娘道成寺/与話情浮名横櫛)

2005年4月9日11:00 歌舞伎座 見所少ない昼公演は団十郎×勘三郎の押し戻しが最大の見せ場。世話物世界の堪能期待した浮名横櫛は2場のみで心情伝わらず残念。意外に梶原兄弟のダメ弟役で海老蔵が魅せた源太勘当が面白く成田屋の底力見せつけた。(やま)

十八代目中村勘三郎襲名披露四月大歌舞伎

2005年4月3日16:40 歌舞伎座 勘三郎、玉三郎による籠釣瓶は出色。朴訥な田舎商人から紀文以来の大尽へ、そして満座で傾城に振られた恥辱と鬼気迫る刃傷までを鮮やかに演じる勘三郎、そして傾城の名に相応しくひたすら妖艶で華麗な玉三郎に圧巻。(飯野形而)

十八代目中村勘三郎襲名披露四月大歌舞伎

2005年4月3日11:00 歌舞伎座 一年ぶりに歌舞伎座登場の成田屋二代に中村屋が食われる。源太勘当では、源太の勘太郎よりも平次の海老蔵が圧倒的な存在感を示し、娘道成寺では勘三郎の凡庸な白拍子を、團十郎の鷹揚な押し戻しが見事に締める。(飯野形而)

桂枝雀七回忌追善落語会

2005年3月28日18:30 歌舞伎座米朝は絶妙というか微妙な間の取り方で聴く側が少々ヒヤリとする場面もあり。色々な意味で観ておいて良かった。ゲストトークは余計。その時間でもう一つ噺が聴きたかった。ビデオ落語は『枝雀寄席』から『代書屋』。(しも。)

三月大歌舞伎 十八代目中村勘三郎襲名披露(近江源氏先陣館/保名/鰯賣戀曳網)

2005年3月26日16:30 歌舞伎座 とにかく三島由紀夫作の鰯売りに尽きた。仁左衛門に保名用意し、これぞ勘三郎、愛嬌たっぷりにコミカルに演じきって、玉三郎演じる実はお姫様との夢のような恋話。演出面も工夫たっぷりに披露公演で最大の人気作に。(やま)

三月大歌舞伎 十八代目中村勘三郎襲名披露(猿若江戸の初櫓/平家女護島/口上/一條大蔵譚)

2005年3月17日11:00 歌舞伎座 目玉の口上は中村屋一門に幸四郎、仁左衛門、玉三郎らスターずらり並びノリちゃんとの思い出披露、微笑ましくも重みある挨拶。演目は勘三郎の出番少なく残念、ラストの波との絡み見事な幸四郎の俊寛が目立つ程度か。(やま)

吉例顔見世大歌舞伎 夜の部

2004年11月1日16:30 歌舞伎座 鴈治郎演じる吉田屋の伊左衛門に上方和事の極みを観る。大店の跡取りながら傾城に入れあげ勘当され、身をやつしたバカ旦那の悲哀と懲りない能天気ぶりを情感豊かに披露。芝のぶは仲居、腰元役で判別できず。(飯野形而)

吉例顔見世大歌舞伎 昼の部

2004年11月1日11:00 歌舞伎座 顔見世初日の華やかな雰囲気の中、鴈治郎が葛の葉で安倍晴明の母・信田森の狐を華麗に演じる。早替り、和歌の曲書き等ケレン溢れる初代鴈治郎型の魅力を遺憾なく発揮。孝太郎長男、千之介が初舞台でスペシウム光線。(飯野形而)

中村勘九郎 特別な二人

TV

2004年10月26日26:28-27:23 フジテレビ 勘九郎と野田秀樹による歌舞伎座での貴重な芸談。弥十郎も交え、ワークショップの一端を披露。井上ひさしの歌舞伎参入を匂わせる発言も。野田が二度の歌舞伎演出を経ても未だに狭い歌舞伎概念に捉われているのは意外。(飯野形而)

九月大歌舞伎 一本刀土俵入

2004年9月20日11:00 歌舞伎座 勘九郎名跡最後の駒形茂兵衛は、彼持ち前の器用さが垣間見え、不器用にしか生きられない茂兵衛役にはやや不相応。最後の長台詞に悲哀が感じられず、説得力を欠く。他方、福助演じるお蔦は酌婦の哀感が漂い、当り役。(飯野形而)