朝比奈秋 / サンショウウオの四十九日

2024年7月10日初版 新潮社
現役医師作家の3冠達成の芥川賞受賞作は、特異な状態で生まれ育った姉妹の視点で語られる叔父の死を挟んだ顛末が日常風景や生い立ち含めて語られ見事。文通での告白エピソード巧い。平塚や藤沢の情景描写にも興奮。

高瀬志帆 / 二月の勝者-絶対合格の教室

2018年2月―24年7月初版 小学館(ビッグスピリッツコミック)
中学受験の現実をシニカルに描きTVドラマ化もされた人気作が全21巻で完結。ラストの合格ラッシュは違和感でも黒木の凄さの証明に必要か。御三家は実名だが、変名の学校探しも話題に。小6生のキャラ立ちも見事。

果てとチーク / はやくぜんぶおわってしまえ

2024年8月3日13:30 アトリエ春風舎
2012年夏休み前の女子高舞台に駄弁続いても、各考え方の違いが垣間見えて感心。ミスコン中止を嘆く実行委員の一方で、LGBTな悩み抱えるキャラも登場し多様性の壁を巧みに演出。女子のみのキャストが大成功。

森見登美彦 / シャーロック・ホームズの凱旋

2024年1月25日初版 中央公論新社
ヴィクトリア朝京都が舞台の大胆設定でスランプに陥ったホームズとワトソンの苦闘を描き会心寺町通221B拠点にアイリーンやモリアーティ教授、レストレード警部が絡む6章で充実。主人公が妻帯者の設定も新鮮。

ナイロン100℃ / 江戸時代の思い出

2024年7月20日13:00 本多劇場
夢現不明な異色時代劇は江戸生きる三宅弘城大倉孝二の軽妙会話から現出のサスペンス交えた未来夢想図で強烈ギャグ連発。奥菜恵は客演感も坂井真紀は劇団員のよう。ナンセンス路線復活で懐かしいナイロン笑い体感。

志村貴子 / 淡島百景

2015年6月~24年5月初版 宝島社
宝塚彷彿の歌劇学校舞台の群像劇は5巻で完結。11年から書き継ぎ、時間軸大きめに様々な因縁絡めて、スター目指す乙女たちの明暗、栄光と挫折。寄宿舎や実家での細やかなエピソード散りばめ見事なマスターピース