2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ジェットラグプロデュース(作・演出:谷賢一) / 幸せを踏みにじる幸せ

2010年5月31日19:30 タイニイアリス 樹海舞台に集団自殺が一転拷問の場と化すグロい展開で谷の非凡さ確認。空間活用秀逸で玉置玲央への暴行も迫力。自殺完遂目指す中井理恵の純粋さも恐く見事。救われた吾妻三輪子と姉の百花亜希並ぶエピローグも出色。

柿喰う客 / 露出狂

2010年5月31日14:00 王子小劇場 女子のみ14人集めサッカー部3代にわたる興亡劇。本音炸裂し恋ネタも盛り込みエンタメ度も抜群。マネージャー役で岡田あがさ、山脇唯、2期生で紺野今日子、佐藤みゆき等、よくぞここまで集めた感。右手愛美も発見。

村上春樹 / 1Q84 BOOK3

2010年4月16日初版 新潮社 大ヒット作待望の3冊目は青豆と天吾の純愛にきっちり決着つける意外なクライマックス。3人目の主役に執拗な追跡者の牛河を加え追う側と追われる側めぐり高円寺でのぎりぎりスリル感、時間軸の巧みなずらしも見事。

劇団、本谷有希子 / 甘え

2010年5月30日14:00 青山円形劇場 待望新作は小池栄子ヒロインに父と2人で暮らす引きこもり系娘の閉塞感描くが、輪姦る友だち安藤玉恵、大竹しのぶバリにはっちゃけ継母の広岡由里子の台詞ツキ抜け感笑えるも殺人未遂のみそぎに選ぶ手段極端で唖然。

裏切りの街(作・演出:三浦大輔)

2010年5月29日14:00 PARCO劇場 豪華キャスト迎え休憩挟み3時間超の大作は「人間♡失格」な東中野のダメ青年のうっ屈した日常描き田中圭&秋山奈津子の不倫カップルが純愛に転化する展開見事。松尾スズキの寝盗られキャラ新味。安藤サクラも好演。

燐光群 / ザ・パワー・オブ・イエス

2010年5月22日19:00 ザ・スズナリ 三たびデイヴィッド・ヘアー作に取り組むも金融危機テーマに直球演出で退屈感。グリーンスパンやソロス、FT記者も登場する具体的内容で舞台美術抽象的で裏目。映像や写真、株価ボードなど視覚的な味付け欲しかった。

木ノ下歌舞伎 / 勧進帳

2010年5月16日15:00 STスポット 演出に再び杉原邦生迎えた新作は全体花道なセンターステージで弁慶役に外国人役者起用し定番作を大胆料理。富樫ら向こうに回し英文読み上げ激しいダンスミュージック効果的。義経役凛々しく演じた清水久美子も魅力。

青年団 / 革命日記

2010年5月15日19:00 こまばアゴラ劇場 好評若手公演受けた本公演はアジトを一軒家に移し空港襲撃前夜でも一般客訪れるコミカルさ強調。時代設定現代でリアリティ後退は残念。むしろがっつり70年代版見たい。中村真生が子供を妹に押し付けるヒロイン好演。

相対性理論 / シンクロニシティーン

2010年4月7日リリース みらいレコ―ズ 待望フル第2弾はこれぞ相対性理論な仕上がり。様々なコラボ作発表も冴えず心配も杞憂。メンバー4人一丸となり曲作りに参画し地力向上。サウンドの細やかさも充実。三千万年、小学館などユニークな歌詞世界も健在。

タカハ劇団 / パラデソ

2010年5月9日15:00 小劇場「楽園」 内田亜希子が一人切り盛りする居酒屋舞台に仲間の葬式で久々に顔を合わせた者たちの微妙な関係描くも登場人物に魅力欠き侘しいドタバタ感。同じ宗教に参加した者たちのその後を語り、亡き男との四角関係がコミカル。

チェルフィッチュ / ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶

2010年5月8日18:00 ラフォーレミュージアム原宿 ダンス作を巧みに繋げて方向転換著しいチェル久々の会心作が誕生。リアルで変な動き満載でコミカルも、派遣社員の女性が辞めさせられる会社の3景描き意外な社会性。朝出がけにセミの死骸を見つけるエピソー…

ロロ / 旅、旅旅

2010年5月8日14:00 王子小劇場 待望の新作は家の中にパリを見つける不思議な旅描いて新鮮も全体弱く前作超えられず。町田家の者がひしめくもむさくてポップさ後退。女役を男優がやった点もマイナスか。二階堂瞳子の振付によるダンス場面は楽しい。

サイモン・クーパー、ステファン・シマンスキー / 「ジャパン」はなぜ負けるのか 経済学が解明するサッカーの不条理

2010年3月25日初版 NHK出版 表題の日本版書き下ろし部分は凡庸もジャーナリストとスポーツ経済学者による大胆な情報分析は見事。クラブの収益性、選手の年俸と戦績の相関など秀逸。首都が勝てない「都市とトロフィーの微妙な関係」は同感至極。

渡辺源四郎商店 / ヤナギダアキラ最期の日

2010年5月5日13:00 ザ・スズナリ 切り札老優・宮越昭司主役にホスピス舞台の新作は死迎える男の物語も複雑な劇構造が裏目。フィリピンから見舞う若い男の存在不明で進行し実は不老不死の説明も不親切で残念。運命の切なさ深いが伏線弱く腑に落ちず。

鰰 / 動け!人間! た なんとなく『淡水魚』と呼ばれている方

2010年5月2日17:00 アトリエ春風舎 意外なほど完成度の高い本編見せるも、その後の稽古編はダレダレ。中林舞&高須賀千江子の軸が見事で見せ場作ったが動き抑制的でもったいなさも。集団でベタなイメージに終始したお題「風呂」にこだわったのは残念。

鰰 / 動け!人間! は なんとなく『深海魚』と呼ばれている方

2010年5月2日14:00 アトリエ春風舎 本企画3作品のうち最も完成度の高いはずの深海魚はナンセンス追求も面白さ発揮できず淋しい仕上がり。全体に抑えたトーンで地味感。ウルトラクイズは空振りだが楽しさの追求ほしかった。才能の融合の難しさを痛感。

古谷実 / ヒメアノ〜ル

2008年〜2010年 講談社ヤンマガKC 全6巻完結は清掃で働く地味な独り身男2人の苦悩と微笑ましい交流。岡田青年から30男渡辺へ早々に主役後退。殺人繰り返す凶悪犯の大胆な犯行にもスポット当て意外に群像劇。凶行進行の一方で主役2人に希望も用意。

チャリT企画 / アンポテンツ

2010年5月1日14:00 王子小劇場 壁に集まる人々描くゴドー待ちな不条理劇は沖縄基地問題メタファーにタイムリーも消化不良。社会を守ってくれるという門番が不気味で壁の向こう側へ行くことの禁忌不気味で効果的でも直接的なエピソード欲しかった。