2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

佐野真一 / 阿片王 満州の夜と霧

2005年7月30日初版 新潮社 構想10年、思いつく全生存者100人超に取材した巨人・里見甫の世界探索行。「週刊新潮」連載150枚が900枚に膨張。戦中戦後の東アジアの闇を探り、男装の麗人、団子坂の怪人ら謎の相関関係を解きほぐすミステリーに興奮。(やま)

 大谷健太郎、園子温、井口昇、松江哲朗、しまだゆきやす、栗林忍、他 / イメージリングス10周年スペシャルナイト

2005年8月30日19:30 ロフトプラスワン 85年始動の企画上映イベントの軌跡、大谷新作「NANA」の直球トーク、園×井口の過激な爆笑過去披露する濃密充実な3部構成。貴重映像を次々流して、主宰しまだの遍歴も暴露し溢れる一夜。園のアナーキーキャラが激烈。(…

古谷実 / シガテラ

2003〜2005年 講談社(ヤンマガKC) 古谷実の傑作青春17遁走曲(フーガ)が全6巻で完結。苛められる高校生主人公の荻野優介が南雲ゆみに出会いバイクを手にすることでコンプレックスを克服し成長し幸せを手にする様を巧みに描き、若者へ「希望」配信。 (…

damin / ハイキング フォー ヒューマンライフ

2005年8月28日14:00 中野ザ・ポケット 中山祐一朗に村岡希美、松浦和香子ら小劇場を代表する役者陣を揃えた注目公演は富士の樹海を舞台に連作風。各キャストに一定の見せ場設けたが、個々のエピソードが冗長で惜しい。スタッフも美術に加藤ちか迎え豪華。(…

八月納涼歌舞伎 第三部(法界坊)

2005年8月27日18:00 歌舞伎座 コクーン歌舞伎を歌舞伎座へ移しての串田作は、勘三郎のコメディエンヌぶりを前面に、無類のサービス精神発揮。楽しい掛け軸のすり替えで加速つき双面となっての宙乗りは圧巻も大喜利でトーンダウンし構成の難しさ。(やま)

劇団健康 / トーキョーあたり

2005年8月27日14:00 本多劇場 健康12年ぶりの新作は「東京物語」と「生きる」の中途半端なパロディ。筋立てはともかく肝心の笑いがイマイチで前半好調も後半にダレ。遅刻ケラも弾けず。40代の作品ではない印象も手塚とおるコメディ復活は大歓迎。(やま)

ボクデス+OffNibroll / ボクロール(「chocolate」「Here,not now」「メガネデス」)

2005年8月25日19:30 神楽坂die pratze 注目コラボは3本立てで構成。矢内原×佐川組はさすがの安定感も、最大の収穫はボクデスの一人舞台。矢内原提案で動き入れたのが大正解。「どですかでん」から白黒の牛も登場し映像と競演見事。アフタートークも嬉。(や…

八月納涼歌舞伎 第二部

2005年8月25日14:40 歌舞伎座 けいせい倭荘子・蝶の道行にて武智鉄二演出作を初見。暗闇に浮かぶ差金の蛍光蝶、澁澤龍彦『フローラ逍遥』の如きボタニカル・アート風の巨大な花々を縫って踊る染五郎は妖艶ながら、孝太郎は違う昆虫か。(飯野形而)

八月納涼歌舞伎 第一部

2005年8月25日11:00 歌舞伎座 花形歌舞伎の如き若手競演の中、勘太郎が雨乞狐で五変化を好演。橋弁慶の獅童は歌舞伎コントのごとき拙劣さで顔だけ弁慶。鶴松提灯ブロマイドが5枚も販売されているのに驚く。福助の雪姫は気品、可憐さ欠く。(飯野形而)

ハンサムユニオン / 初々しくエロやかに

2005年8月24日19:30 THEATER/TOPS ベターポーヅの別働新ユニットは、振付に山田うん迎え、抽象性を推進。男中心のキャスト不満だが、紅一点の吉原朱美が素晴らしくすべてに絡んで大活躍。ベタポの女優陣の充実振りを再認識。西島明の馬キャラに爆笑。(やま)

動物電気 / おばけやら 花火やら 武将やら

2005年8月24日19:00 三鷹市芸術文化センター星のホール 充実客演陣に同情の念を抱かせる最低最悪の政岡脚本演出。虚構か実話か、筆が進まず故郷に逃避行し80年代後半の中高生風俗と淡い恋を懐古した小芝居も見事に失敗。伊藤美穂が繰返す「泰志殺す」がリア…

2005年夏 W&Berryz工房 コンサートツアー HIGH SCORE!

2005年8月21日18:30 豊中市立市民会館 2度目のジョイント・ツアーはベリ工の持ち時間増えヲタ声援も互角。最高の見せ場は加護、嗣永による渚の『・・・』。対抗意識剥き出しの桃子に対して、桃子の小指立てを真似、あっさりかわすあいぼんのお姉さんぶり。(…

超歌劇団 / 利休大爆発

2005年8月21日15:00 神楽坂die pratze 静岡の注目劇団新作は時代劇。人質席など4種の席設け観客いじり効果的。秀吉役も観客演じる参加型演劇で色出すも、滑り台や遠近法使った馬車など少なくない仕掛けの一つ一つがチープで、ある意味で小劇場の醍醐味。(や…

新姫路市誕生記念 松浦亜弥・W・メロン記念日コンサート in 姫路城 〜松浦亜弥里帰りスペシャル〜

2005年8月20日18:30 姫路城三の丸広場特設ステージ 姫路観光大使に任命された松浦の凱旋ライヴ。白鷺城を借景にした1万3千人対応の超巨大ステージを縦横に駆け巡りながらのGOOD BYE 夏男には流石に無理あり、喉の限界が来てから、客に歌わせごまかすお粗末さ…

枇杷系 / ダンスの発明vo.9〜お出かけバージョン〜

2005年8月19日19:30 こまばアゴラ劇場 加藤奈緒子病気降板も代役がきっちりフォローし3本立てで枇杷系の層の厚さを見せつけた。山本彩野&オカザキ恭和「Holes」が楽しく道具使いイメージも豊か。尹明希のソロ「交際とカナリア」も迫力でカンパニーの底力。…

桂枝雀一門会

2005年8月18日18:30 ピッコロシアター 七回忌追善落語会の華やかさはないが、枝雀一門の多彩な芸を見せこれぞ枝雀追善落語会。雀三郎、雀松、文我含めた一門会切望。留五郎の高揚したポンッと代書屋の苦渋のポンッとの対比でサゲる雀々の代書は圧巻。(飯野形…

クロムモリブデン / ボーグを脱げ!

2005年8月14日15:00 中野・MOMO 関西最注目劇団の勢いそのままに新作も成功。「叩いて、被って、じゃんけんポン」モチーフに、娘。ひょうたん島から始まる防具の多様化、性犯罪やDVに繋げる腕さばきに唸る。ハリセン連打に耐えた浅田百合子に感動。(やま)

KUDAN Project / 百人芝居 真夜中の弥次さん喜多さん

2005年8月13日14:00 愛知勤労会館 傑作二人芝居を百人でやる試みは演劇史に新たな伝説。原型の圧倒的完成度ないが大ステージを左右上下に埋めたキャスト圧巻。王者館色強めに、つボイノリオ、知久寿焼、西田シャトナーにも見せ場設け意義深い公演に。(やま)

KUDAN Project / 百人芝居 真夜中の弥次さん喜多さん

2005年8月13日14:00 愛知勤労会館 好評博した二人芝居を一般公募中心に総勢172名で再演という超絶企画は日本演劇史に残る真夏の夜の夢。市井の民の潜在的演劇力を鮮やかに開花させた天野天街はじめ演出陣の力量に賞賛。総員王者館ダンスは圧巻。(飯野形而)

山田詠美 / 風味絶佳

2005年5月15日初版 文藝春秋 「文学界」掲載の20周年記念連作は、清掃作業員、鳶職、スタンドや火葬場で働く男など特殊な仕事に就く男ばかり登場させ、彼らを愛する女たちの愛情を巧みに描いて偉大なる成果。小道具としての料理の描写も絶品。(やま)

桂文珍独演会

2005年8月8日19:00 なんばグランド花月 この春逝去した師・文枝の十八番・船弁慶は、異色ゲスト豊竹咲太夫、鶴澤燕二郎による素浄瑠璃・渡海屋を前振りに配する贅沢な演出に相変わらずのちゃっかりぶりも発揮し、場内揺れんばかりの爆笑に次ぐ爆笑。(飯野形…

キレイ

2005年8月7日18:00 シアターBRAVA! 代役の悲哀が滲み出たかの如き沈鬱かつ平坦な芝居に終始する鈴木蘭々に対し、陰惨な監禁の過去に直面できない戸惑いと所与の環境で懸命に生きる強かさとを鮮やかに演じた高岡早紀は白眉。大浦龍宇一は松尾世界に不適。(飯…

マレビトの会 / 王女A

2005年8月7日15:00 こまばアゴラ劇場 島式2ともいうべき難解路線継続の松田正隆新作は王妃Mの登場でA=愛子と判明し天皇家と戦争というテーマ明確化。男3女3で抽象化も意義深く成功へ導く仕掛けばっちり。太平洋戦争での残虐性も的確に描き到達点。(や…

メガロザ / 漫画をうたう

2005年8月6日19:30 中野スタジオあくとれ 夜テレビが映らない島村舞台に場面転換大胆にシーン往来し脱力系コメディ構築。振付に水性音楽細川起用でダンスシーン魅力的。あんじなど女優陣がんばり人魚エピソード抜群。作演目黒二重のキャラも文句ない存在感。…

楽悟家・笑福亭松之助 体力テスト

2005年8月6日18:30 トリイホール 落語聴きに来る客の前で落語演ってもしゃあない、と傘寿にして初の独演会は五代目松鶴譲りの堀川、桜の宮、三十石夢の通い路の三席に加え、五代目の思い出話まで、マスターズ水泳優勝のあり余る体力で意気軒昂。(飯野形而)

万有引力 / アヴェロンの野生児

2005年8月6日17:00 スペースゼロ JAシーザー久々の新作は全体に退屈さ否めず。古びた前衛スタイル厳しいがシーザーの生み出す曲がサウンドも歌詞も興味深い。集団でマッチ擦り消す火使った演出が最高で興奮。観客からペットボトル投入も平常進行。(やま)

ハンドメイドビジョンプロデュース / 悲しき天使

2005年8月6日14:00 新宿スペース107 SODの演劇挑戦は夏目ナナ主役に起用し大阪の鶴舞新地で働く娼妓の人生事情。納見佳容、百瀬実咲ら女優陣がんばるが場面転換でのユルイ笑いパートなどストレイドッグ演出は鋭さゼロ。遊廓創出した加藤ちか美術は見事。…

菊地成孔+大谷能生 / 東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編

2005年5月21日初版 メディア総合研究所 東大での04年上期講義をまとめた異色ジャズ史が完成。断片披露してきた異説満載に、ビッグバンド期からモダンへ、ビバップ→モードの流れもクリアに、フリー、電化、80年代のMIDI登場まで総括する決定版で一気読み。(…