2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

卯月妙子 / 人間仮免中つづき

2016年12月17日初版 小学館 統合失調症の現実描いた前作から4年半ぶり、北海道でのボビーとの愛と苦悩に溢れた生活を細かなエピソード満載に描いて感動。外に出られないなど驚くほど制約多い病気の現実に圧倒されるも、意外にハッピーエンド。

世界(作・演出:赤堀雅秋)

2017年1月24日19:00 シアターコクーン 船橋の町工場経営する家族描く新作は風間杜夫演じる迷惑老人強烈。息子の現経営者役で大倉孝二が難しい役をこなし流石。鈴木砂羽のスナックママの達観うまく、広瀬アリスをデリヘル嬢で使うシニカルな世界観も見事。

仲村清司 / 消えゆく沖縄 移住生活20年の光と影

2016年11月20日初版 光文社新書 傑作「本音の沖縄問題」に比べ此花区での少年時代含め私的エピソード中心に沖縄の現状へ失望たっぷり。現政権への批判は絶望感が前面。失われる沖縄の景色への切ない思い、沖縄を去った同志・ごうさんの話が泣ける。

ジエン社 / 夜組

2017年1月23日15:00 シアターKASSAI 深夜ラジオがモチーフの新作は計画停電中の埼玉の街を舞台に死者も混ぜて関係性も交錯させ意欲的な実験作が奏功。元市役所職員っぽい男を善積元がさすがの好演も川べり大きいラジオ持ち歩く女役で高橋ルネが存在感。

前田司郎 / 道徳の時間、園児の血

2016年6月11日初版 キノブックス 禁止されたカンチョーした犯人を巡って5年2組の人間関係、微妙な勢力図を描く道徳の時間は、教師も含め次々と視点を移し、一人一人の個性も掘り下げ見事な文学的意欲作。園児の覇権争いは得意の脱力感発揮し流石。

木ノ下歌舞伎 / 隅田川 娘道成寺

2017年1月20日19:00 こまばアゴラ劇場 注目の新作公演は白神ももこ&きたまりと女性振付家による独舞2本立て。隅田川の観光案内から始まる白神ワールドは後半の狂気で新境地。30分版から格段に迫力増した60分版道成寺はきたまりの身体表現が絶好調。

ラッパ屋 / ユー・アー・ミー?

2017年1月17日19:00 紀伊国屋ホール 全社上げキャラ変進める会社に落ちこぼれた者がキャラ変後の自分に会う展開ややこしいが古き良き会社を思い出す仕掛けよし。スタバ&アップル溢れるオフィスネタで笑い生む手腕は名人芸でお馴染み役者陣が心地いい。

片渕須直 / この世界の片隅に

2017年1月11日 テアトル新宿 こうの史代の傑作映画化は昭和初期の広島や呉の町並を詳細に描き出し抜群の完成度。ヒロインすずを能年玲奈=のんが好演。絵画の面白さも巧みに取り込みコトリンゴの味ある音楽も奏功。資金集め方含め新たな到達点。

長嶋有 / 三の隣は五号室

2016年6月10日初版 中央公論新社 神奈川県の私鉄沿線にある第一藤岡荘五号室の歴代住人の細かなエピソード積み上げ谷崎賞受賞も納得の傑作。70年、80年代、90年代の風俗盛り込み方も巧みで、ベタにテレビ番組ネタ散りばめた禁じ手六話が圧巻。

新年工場見学会2017(五反田団「最後の聖戦」、紅酉会「フェニックス獅子舞の歴史」、ザ・プーチンズの出逢えるライブ、ハイバイ「しずこさん」、ポリスキル)

2017年1月4日19:00 アトリエヘリコプター 4日間5公演完売の人気イベントは実録ものに挑戦。高樹沙耶の生涯モチーフの五反田団は内田慈がヒロイン熱演。光の戦士で黒田大輔奮闘し成功。ハイバイは川面千晶がキャバ先輩の切ない恋愛描く作品でズシンと感涙。