2017-01-01から1年間の記事一覧

米林宏昌 / メアリと魔女の花

2017年12月27日12:55 下高井戸シネマ ジブリ出身の米林監督のスタジオポノック第一弾は英国作品映画化で、魔女の力を手に入れた少女の戸惑いと勇気を巧みに描き成功。魔法使いの大学などの描写見事で、終盤のアクションシーン迫力抜群。帚の動きも見事。

吉野源三郎(原作)、羽賀翔一(漫画) / 漫画 君たちはどう生きるか

2017年8月24日初版 マガジンハウス 1937年発行の歴史的名著初マンガ化が大成功。コペル君への手紙は文章のみ掲載し読み応え十分。戦前のアナクロ世界も学生時代の様々な悩みに見事な普遍性。貧困のリアリティ、いじめや臆病さ描くエピソード秀逸。

東京ELECTROCK STAIRS / POST POST MEMORIES

2017年12月21日19:30 シアタートラム 山本しんじしんじ再起用、亀頭可奈恵登場で男女3人ずつの上背ある布陣効果で横山彰乃が華奢になって輝く。出だしのダンス始まるまでの焦らし効いて、KENTARO!サンタが衣装配って加速して後のダンスが抜群。

飴屋法水 / 彼の娘

2017年8月25日初版 文藝春秋 子育てというより娘と過ごした10年の詳細な記憶。くんちゃんの乳児期からの粗い画像のグラビア豊富に挟んでドキュメント小説の新機軸。会話一つ一つに瑞々しさ抜群で、靴履かずに外出認める異色の子育てぶり興奮。

ワワフラミンゴ / 脳みそ歩いてる

2017年12月16日17:00 渋谷ギャラリールデコ 3年ぶり新作は日常の駄弁をクナウカ風に演出した冒頭シーン面白く、脳みその被り物使う場面のシュールさ抜群で笑いもツボ。佐伯ちさ子もユニークな存在感しっかり。風邪引いて布団敷く姿面白く、演奏場面心地いい…

旦部幸博 / 珈琲の世界史

2017年10月18日初版 講談社現代新書 医学博士による著者ながら珈琲を巡る政治や社会の動きをしっかり抑えて会心。珈琲ハウスなど欧州での普及の動きも面白いが、アフリカ・中東から東南アや中南米に広がるコーヒーノキの増産と生産統制の歴史にも興奮。

水素74% / 花火

2017年12月6日14:00 上野桜木・市田邸 大火事発生で花火開催で揉める寒村の旅館を舞台に実行委員の緊急会議をシニカルに描いて流石。保身や自らの利益守る利己的な言動がリアルで笑い連発。古民家開催嬉しいが寒い中で真夏の芝居はやっぱりきつく惜しい。

ナイロン100℃ / ちょっと、まってください

2017年12月2日13:00 本多劇場 3年ぶり新作公演は別役でカフカな初の本格不条理喜劇。金持ちと乞食逆転する展開で笑い満載も役者白塗りにストレス。三宅弘城や大倉孝二のボケキャラ全開で笑い満載。進行役のマギーが不気味ペテン使用人で存在感。

城山羊の会 / 相談者たち

2017年11月30日19:30 三鷹市芸術文化センター 星のホール 破綻寸前の家族を見舞う修羅場描くコメディは静かな声効果的。娘普通でも親が壊れ暴走するコントラスト見事。吹越満が父役好演し不倫相手が元恋人と登場し2重の修羅場になる展開見事。娘役村上穂乃佳…

村上春樹 / 騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編

2017年2月25日初版 新潮社 戦中の雨田兄弟に起きた悲劇描き謎を追求する展開は伊豆の病室から始まる異界への冒険譚でらしさ増す。終盤少女まりえ軸の空白の日々回想も面白く、その後の日々描いた64章ですべて決着つき、3部刊行期待薄れる。

青☆組 / グランパと赤い塔

2017年11月27日15:00 吉祥寺シアター 吉田小夏が自身の祖母に取材した新作は東京タワー建設中の東京の邸宅舞台にノスタルジーたっぷりの昭和市井劇で持ち味十分。工事会社経営する祖父の家で育つ小学生役で今泉舞弾け、終盤の戦争ひきずる挿話巧く感涙。

原案:イーピャオ、漫画:小山ゆうじろう / とんかつDJアゲ太郎

2015年2月-17年11月初版 集英社ジャンプコミックス アニメ化&実写映画化の人気ヒップホップ漫画が11巻で完結。「しぶかつ」で揚げればフロアもアゲる新時代のジュブナイルもの大成功。都内各所に加え、名古屋や関西3都市巡る展開よく、巻頭グラビアやコラ…

五反田団 / あの人&あの人

2017年11月23日19:30 アトリエヘリコプター 急遽実現公演はロミジュリ展開楽しい爆笑コメディ。前田司郎&上田遥の馬鹿カップル最高で、子供っぽい中年で笑い増長。「ひよっこ」奥田洋平がダメ伯爵が変(笑)。乳母役神崎れなら健闘。ミュージカル風に大団円…

沼田真佑 / 影裏

2017年7月30日初版 文藝春秋 岩手の職場で働く釣りが趣味の男の地味な生活描きデビュー作で芥川賞受賞快挙。同じ職場だった日浅との微妙な友情興味深く、職場変わってから怪しさ増し、被災という現実の発生後に深まる日浅の生き様の謎が効果的。

バストリオ / エモーショナル

2017年11月14日20:00 BUoY北千住アートセンター 千葉のレース場や平塚の海岸など好きな場所と自宅からの道順説明する出演者登場シーン最高の新作はSサルガド「エッセイ」の写真モチーフに音意識し展開。橋本和加子が会場を支配、各役者陣が日記披露し見事に…

グラインダーマン / ライブパフォーマンスゴーゴー[ルーレット]

2017年11月3日15:00 二子玉川ライズ ガレリア 待望の新作は2日間のみの無料公演で実現。赤鬼青鬼なお面型当日パンフを配って、桃太郎から太陽と北風、マッチ売りの少女まで7話交えたダンスパフォーマンスをスタイリッシュに展開しファミリー層多い観客を圧…

延江浩 / 愛国とノーサイド 松任谷家と頭山家

2017年3月17日初版 講談社 昭和生きた両家を描くノンフィクションは脱線の連続なエピソード重ね、政治部分は粗さ目立つも、松任谷正隆筆頭に松本隆や細野晴臣ら70年前後のミュージシャンのプロフィールに迫った部分は迫力で圧倒的な情報量。

いいむろなおきマイムカンパニー / doubt-ダウト-

2017年10月31日19:30 こまばアゴラ劇場 待望東京公演はストーリー性抜群にサスペンスタッチの世界観奏功。マスクのいいむろが訪ね歩き、すぐ眠る女など笑い満載。複数車掌登場する車内シーン秀逸で、終盤台詞ある場面は異国語の応酬最高に楽しく爆笑の嵐。

ヨーロッパ企画 / 出てこようとしてるトロンプルイユ

2017年10月23日19:00 本多劇場 岸田戯曲賞受賞後初の新作公演は1930年代パリが舞台の芸術家の卵たちの群像コメディ成功。蘊蓄トーク面白く、だまし絵にまつわるギャグ豪快で終盤の巨大怪物の執拗な登場に圧倒。娼婦ルルー役で川面千晶が好演。

イデビアン・クルー / 肩書ジャンクション

2017年10月21日13:00 東京芸術劇場シアターイースト 1年ぶり新作公演は街灯が突き出た交差点舞台にコミュニケーションのずれ楽しむ快作。右左と指示に従う者面白く、教習所ネタも最高。酒井幸菜起用成功で足挫いた様な体勢からのボレロが絶妙。昭和な面会風…

月刊「根本宗子」 / スーパーストライク

2017年10月18日19:30 ザ・スズナリ 出演者4人に絞った新作公演はTinderで友人探す男を巡るコメディ。イケてる友だち持ちたい女子の心理は巧みもカイロ紫バラな男の造形にやり過ぎ感。ミュージカルな味付け奏功。ファーストサマーウイカは発見。

上原善広 / 路地の子

2017年6月15日初版 新潮社 大阪の更池で生まれ育った父の半生描く意欲作は食肉業で成功する過程面白く、上原龍三のキャラ強烈で、身内の交友関係も赤裸々に描いて迫力。往時の屠場の雰囲気や実情も詳述され、同和利権の構造も解き明かし興奮。

わたしが悲しくないのはあなたが遠いから(作・演出:柴幸男)

2017年10月11日19:30 東京芸術劇場シアターウエスト 2劇場同時上演のウエスト版は端田新菜&野上絹代で描く被災しない者の側の生涯。西子の子供時代の些細なエピソード巧く、役者陣も見事に体現。ただ、隣の劇場と進行状況確認する行為繰り返し集中削がれた…

sleepwalkプロデュース(脚本・演出:上野友之) / 哀しい夢すら、忘れてしまう

2017年10月6日19:30 APOC Theater 競泳水着の上野友之活動休止公演は得意の恋愛ドラマ。ぎぃ子演ずる編集者が素晴らしく、彼女が振り返る教育実習時代面白く、生徒がアイドル活動していて話が巧く繋がり流石。不倫ネタもスパイスにきっちり仕上げた。

ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス

ART

2017年8月4日-11月5日 横浜赤レンガ倉庫1号館 前衛色高めの作品が集まった赤レンガ倉庫を象徴したのが宇治野宗輝のぶっとび楽器群。照沼敦朗の創るダークな街の造形にも興奮。ドンユアンのおばあちゃんの家も楽しい。福島の帰還困難区域歩くVRユニットも新…

ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス

ART

2017年8月4日-11月5日 横浜美術館 救命胴衣で柱覆うアイウェイウェイ作に出迎えられると冒険心たっぷりな作品構成に興奮。ジョコ綱貫禄。風間サチ子の不気味な時代性は見事。畠山直哉巨大プリント嬉しい。柴犬が蠢くイアンチェンの大画面動画も興奮。

ひよっこ

TV

2017年4月3日-9月30日 NHK総合 絶好調岡田恵和作は有村架純ヒロインに60年代青春ドラマで当時の風俗盛り込み成功。北茨城から上京し町工場で働く地味な青春の日々が好印象。赤坂の洋食屋に舞台移っても、すずふリ亭&あかね荘の人もキャラよし。

タカハ劇団 / 瘡蓋の底

2017年9月28日19:30 小劇場B1 舞台上に現代と終戦時の物語を用意しらしさ発揮。引き揚げ船に乗り合わせた者は満鉄や731部隊関係者など問題人物多数登場で過去編迫力も現代の娘たちのドタバタも巧くもたい陽子ら流石。辻修のシリアス演技新鮮。

田中修 / 日本人と資本主義の精神

2017年8月10日初版 ちくま新書 元大蔵官僚の筆者異色の日本版資本主義論は全般に興味深いも石門心学から一揆、山本七平の思想引用が多過ぎやや冗長。ただ、バブルの発生と実態、財政再建の難しさなどの解説は持ち味で、現状の課題をしっかり提示。

HEADZ(作・山下澄人、演出・飴屋法水) / を待ちながら

2017年9月21日19:00 こまばアゴラ劇場 ゴドー待ちモチーフに山下&飴屋親子共演で実験色全開。楽屋通っての入場から楽しく喋らない飴屋面白く血だらけ一輪車の佐久間麻由登場もインパクト抜群で前半中心に斬新で興奮。終盤冗長も全編で宇波拓演奏嬉しい。