2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

黒岩比佐子 / パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い

2010年10月7日初版 講談社 明治期のメディアに詳しい筆者の遺作は日本初の編プロの実態をマイナー資料掘り返しまとめ画期的評伝。幸徳秋水との友情、冬の時代の荒畑寒村や大杉栄の生活支えた実情を義侠心抜群の堺への愛情たっぷりに描き好感。

欲望という名の電車(作・テネシー・ウイリアムズ、演出・松尾スズキ)

2011年4月30日14:00 PARCO劇場 ニューオリンズ舞台に堕落女性描く人気作はブランチ役に秋山菜津子据えて残酷な2部構成。妹ステラを鈴木砂羽が軽やかに演じ逞しさもみせ奏功。猫背椿はともかく大人計画役者キャラ出ず陣目立たず膨らみ欠いて残念。

平田オリザ演劇展(青年団「走りながら眠れ」)

2011年4月29日17:30 こまばアゴラ劇場 大杉栄と伊藤野枝の最期の2か月描いた中編が19年ぶり再演。フランスから帰った大杉を待つのはのんびり穏やかな日本的な空間。荒畑寒村ら左翼ネタ控えめにファーブル昆虫記の翻訳ネタ膨らませ湯に行く日常じんわり。

平田オリザ演劇展(青年団「ヤルタ会談」)

2011年4月29日15:00 こまばアゴラ劇場 再演繰り返す人気短編はチャーチル島田、スターリン松田、ルーズベルト高橋と定番キャスト。政治の勝手さ皮肉り、当時の細かな世界情勢も巧みに料理。批評性に再発見多く楽しさ倍増。歴史を知るほどに楽しめる一作。

平田オリザ演劇展(アンドロイド演劇「さようなら」)

2011年4月29日13:00 こまばアゴラ劇場 石黒浩と阪大タッグでロボット演劇3弾は死をテーマにB・ロングと美人アンドロイドの2人芝居。死を前にした女性にロボットが語り聞かせるのは様々な詩。谷川俊太郎、ランボオ、若山牧水らが引用され切ない20分強。

東葛スポーツ / ニューヨーク ニューヨーク

2011年4月24日14:00 shibuya-glad 松村翔子&堀口聡のカップル舌戦MC出色で名トラック盛りヒップホップ演劇のクラシック誕生。ユルガリ松村の目力抜群に炬燵にこもり男に生理用品を買いに行かせる様は圧巻。フレーバー・フレブな佐伯さち子も楽しい。

虚構の劇団 / アンダー・ザ・ロウズ

2011年4月23日19:30 座・高円寺1 「1Q84」なパラレルワールド描く新作はカルト集団への排斥描く場面も見応えありダンスもやはり素晴らしく大久保綾乃らも健闘だが、筋が複雑に絡み難解にした点は残念。大空間も荷重く小劇場でのロングラン希望。

田上パル / 右手にテニスボール

2011年4月23日14:00 こまばアゴラ劇場 ふじきみつ彦戯曲を田上が演出は「嫁の歴史」な出産控えた女性の男性遍歴描きフェミな趣き。夫も含め過去交際相手を古い順に並べる様が圧巻で永井若葉が大きいお腹で熱演。家電量販店でのデートシーンにリアリティ。

プロジェクト大山、Dance Sanga Session(中村恩恵)、山田せつ子、田畑真希 / アートのちから

2011年4月17日15:30 スパイラルガーデン アトリウム 10分未満と短くてもプロジェクト大山がもじもじ君な趣きでインパクト抜群。中村恩恵組は正統派な美しさ披露。古舘バイオリンと共に舞った田畑真希は予定より多く演じて満足。山田せつ子はベテラン3人組で…

クロムモリブデン / 裸の女を持つ男

2011年4月17日14:00 シアタートラム 芸能界麻薬汚染モチーフに悪人集うモーテルでブラックコメディ炸裂。逃走中のりピーを奥田ワレタが楽しく演じ、森下亮の変態キャラ圧巻。辰巳智秋も悪徳漫画家ハマる。ヒッチコックなテンポよさも結末は後味悪過ぎ。

RADIOHEAD / THE KING OF LIMBS

2011年4月6日リリース Ticker Tape 3年ぶり8作目の新作はナイジェル・ゴドリッチが再プロデュースし尖ったサウンドで繊細に奏でる穏やかな8曲。トムヨークのお馴染みボーカルも健在でサプライズなく確実な1枚の印象。ダウンロードは2月先行発売。

安藤洋子、珍しいキノコ舞踊団、グラインダーマン×伊藤キム、山賀ざくろ×田中美紗子、長井江里奈 / アートのちから

2011年4月16日16:00 スパイラルガーデン アトリウム 震災復興支援ダンス企画は30分刻みで注目作品見せ興奮。自転車発電でEW&F緩急つけた5人編成キノコ見事。観客巻き込むGMは伊藤キムら絡みラスト迫力。本場欧州仕込みの安藤は八嶋智人にキノコも交じ…

青山円劇カウンシル(作・演出:岩井秀人) / その族の名は「家族」

2011年4月16日14:00 青山円形劇場 「て」改題は母役ユースケ筆頭に豪華キャスト迎え完成度格段にアップ。難点のザラザラ感は次郎役の荒川良々のユーモラスな演技で抑制、ダメダメな喧嘩も祖母役の研ナオコの最期の歌が癒し感涙。内田慈の長女も絶妙。

山田詠美 / タイニーストーリーズ

2010年10月30日初版 文藝春秋 無謀な短編4本ずつ連載企画は統一感なしの21本。主役は電信柱から少年、母親まで多様、残酷な友情、いじめの復讐など盛り込むが、出色は「GIと遊んだ話」の5本。黒人男性との恋愛話で、持ち味発揮し面白さ抜群。

競泳水着、ロロ、FUKAIPRODUCE羽衣、Mrs.fictions、他 / 15 Minutes Made Tour

2011年4月10日13:00 シアターグリーンBOXinBOX THEATER 関西ツアー企画は現地劇団加わりコテコテ度増量。前回隘路嵌ったロロは霧吹き&かき氷の雪降らしセンスのよさ発揮。競泳水着の2人芝居も面白く拙い生き方する先輩を細野好演。羽衣の浴槽船は入浴の気…

チャットモンチー / YOU MORE

2011年4月6日リリース Ki/oon Records 「告白」以来2年ぶり4作目はシングルなしで初の全曲セルフプロデュースの新曲でバンドサウンド全開に11曲。装飾を削いでシンプルにパワフルにロック炸裂。「桜前線」や「謹賀新年」など絶妙のメロディセンス健在。

大江健三郎、なだいなだ、内橋克人、小森陽一 / 憲法のつどい2011〜井上ひさしの言葉を心にきざんで

2011年4月9日19:00 鎌倉芸術館大ホール 九条の会主催イベントは豪華面子で壇上に客席設置する超満員。予定演目に比べ震災関連の話が多くなったが、大江の「父と暮らせば」朗読劇など用意。希求など九条の言葉のよさにも言及。なだトークが笑い多く生んだ。

味わい堂々 / 毒味

2011年4月9日14:00 OFFOFFシアター 隠し味公演はシンクロ少女との合同公演の趣き。格子越しに覗き見る30代の各部屋で友情と恋愛暴走。出所したナオミ登場で関係複雑化しドロドロぶり強調。途中挿入のダンスよく1&2発目が強烈。名嘉友美が色気抜群。

口ロロ / CD

2011年2月23日リリース commons いとうせいこう参加のユニット最新作はゲスト豊富も寒さギリギリの実験性。素直なポップチューンがしっかり格好よく、歌もの絶好調。注目の内田慈参加「1234」は意外にラップで文句なしだが、次は内田の歌も聴きたい。

黒田硫黄 / あたらしい朝

2008年8月22日、2010年11月22日初版 講談社アフタヌKC 1930年代のドイツ描く意欲作は大金を拾う2人の運命が戦争で翻弄、作品自体も漂流。日本での日々が大半占め、日本人との交流にシフトも、ネーム低調。ただ、筆使った戦中の風景描写素晴らしく、得意のコ…

時間堂 / 廃墟

2011年4月3日14:00 シアターKASSAI 三好十郎作挑戦は戦後の焼け跡と現在が重なり感動。闇買い拒む大学教授の苦しい食生活鮮明。共産主義者の長男と不良な次男らとの議論迫力。百花亜希のせい子もいいが、高島玲演じた火傷顔の娘・双葉の健気さに感涙。

町田康 / 人間小唄

2010年10月18日初版 講談社 書き下ろし長編は短歌で始まるパンク純文学が炸裂。小説家・糺田両奴に対する怪人・傍安と謎の女・未無の拷問が凶暴な妄想世界展開。課題の短歌、ラーメン屋、暗殺は、秋元康モデルの猿本登場で爆走クライマックス。

赤星マサノリ×坂口修一二人芝居 / 男亡者の泣きぬるところ

2011年4月2日14:00 こまばアゴラ劇場 化石オートバイの山浦徹起用が大正解。ごまのはゑとの相性もよく、複数役演ずる展開もスピード感抜群。故障エレベータで再会する両極端な男の半生、同じ女性への想い描き、プロレスなど終盤の脱線も心地よく大成功。