2008-01-01から1年間の記事一覧

町田康 / 宿屋めぐり

2008年8月6日初版 講談社 01年から「群像」に継続連載の600頁超の大作は、主の命をうけ大権現へ大刀を奉納すべく旅する鋤名彦名の虚実混ざり江戸か現代か不明な道中記が圧巻。酒坂石ヌやポーラ、珍太ら怪キャラ満載で文句なしの面白さ。

快快、HOSE、岡田利規×長嶋有×福永信、group_inou、東浩紀×鈴木謙介×萱野稔人、大友良英×ジム・オルーク、宇川直宏×菊地成孔、他 / エクス・ポナイトvol.3

2008年12月30日17:00 渋谷O-nest 6号で休刊した同誌イベント第3弾はポ祭として2夜連続開催。2日目は宇川が爆走でバトル連発。トーク終えた東を呼んでいじる動きは妙な熱戦へ。主宰者に対しFADER休刊時のいきさつ説明求める菊地成孔も迫力。

コロブチカ / PRoof

2008年12月29日15:00 王子小劇場 柿喰う客のコロ主宰の新ユニット旗揚げ公演は、Dオーバーンの傑作戯曲を谷賢一翻訳&黒澤世莉演出で実現。狂った数学者の父の才能受け継いだヒロインをコロが熱演、姉役のこいけけいこの抜けた演技がマッチし成功。

大橋可也&ダンサーズ / 帝国

2008年12月28日18:00 新国立小劇場 文化人コメント満載したフライヤーなど仕掛け見事だが、肝心の公演は古臭い前衛公演で残念。伊東篤宏との組み合わせ実現で満足してしまったか、ひねりのない舞台構成。ゴミ撒き散らし、空気による支配表現もみえず。

KERA MAP / あれから

2008年12月28日14:00 世田谷パブリックシアター ユニット第5弾は最終公演覚悟の直球力作でWアレンにRカーバーなど有名話ぶっこみ2組の中年夫婦の危機描く前後半3時間の長大コメディ。高橋克実&ひとみの夫婦、愛人役で岩佐真悠子起用と贅沢。赤堀雅秋が爆…

東京ELECTROCK STAIRS / Wピースに雪が降る

2008年12月27日15:00 吉祥寺シアター 注目高まるKENTARO!による新ユニット旗揚げ作は、持ち味のヒップホップ核にニブロールやイデビアン風まで詰め込み、笑いも迫力ダンスも満載で圧倒的。豪華8名のダンサー素晴らしく、酒井幸菜が抜群の輝き。

絲山秋子 / ばかもの

2008年9月25日初版 新潮社 「新潮」1〜8月号連載の長編は、無気力大学生ヒデがパートで働く額子と出会い性愛に溺れる1章から一転、家電量販店に勤め、デイトレードから宗教、さらにアル中から感動的なラストまで巧く繋ぎ、傑作の仕上がり。

トルーマン・カポーティ / ティファニーで朝食を

2008年2月25日初版 新潮社 村上春樹訳で再生のカポーティ代表作は、ヒロインのホリー・ゴライトリーが本来の魅力を存分に発揮。ニューヨークで奔放に強かに生き延びようとする苦闘が切ない。併録の3篇も素晴らしく、最後の解説までも鮮やか。

青☆組 / 雨と猫といくつかの嘘

2008年12月23日15:00 アトリエ春風舎 「100万回生きたねこ」モチーフに60歳独身男の誕生日を過去と現在往来し充実。青年団役者使わず、福寿奈央らが複数役こなし、ビニール傘で時空飛ぶ仕掛け鮮やか。幼少時から残酷な運命受け入れるドラマに感涙。

神村恵カンパニー / 配置と森

2008年12月22日20:00 STスポット 美術で出田郷、音楽を大谷能生と組んで、光放つ箱並べ運ぶインスタレーションとの融合が奏功。ほうほう堂の福留麻里、元山海塾のトチアキタイヨウ参加し4人で顔を4方向に向ける動き繰り返すボックス系群舞が最高。

青年団 / サンタクロース会議

2008年12月21日14:00 こまばアゴラ劇場 子ども参加型演劇に挑戦は子ども席との対話交え進行も、マジメな内容に集中度欠く展開。ガミガミ博士による怒声でのサンタクロース不在発言に複数大泣き。魔法使いの魔術でも恐怖重ね修羅場状態でヒヤヒヤの1時間。

Noism08 / NINA-物質化する生け贄 (ver.black)

2008年12月20日17:00 横浜赤レンガ倉庫1号館 世界で好評博した代表作再演は人形を溺愛する男たちの異形の愛を見せ、淫靡で美しく背徳的な魅力。フィギュア愛でる5組が横一列にずらり並び、前進する様は圧巻。人形演じた5人の女性ダンサーの硬直した体が見事。

虚構の劇団 / リアリティ・ショウ

2008年12月20日14:00 紀伊国屋ホール 旗揚げ2作目で中劇場進出はダンス交えテンポいいが役者の個性弱く尚早感。劇団の稽古、共同生活をネット中継する近未来番組怖いが既視感。大久保綾乃が空間支配しプロ根性。新説ロミジュリ面白いが劇中劇に強引感。

流星の絆

TV

2008年10月17日-12月19日22:00 TBS 東野圭吾×宮藤官九郎の顔合わせ実現は各持ち味が出て大成功。毎回設けた劇中劇もマンガ使うなど凝りまくり、詐欺もコメディ仕掛けで、両親を殺され復讐誓う二宮&錦戸&戸田の3兄妹も人間味など膨らみ出て大成功。

水野和夫 / 金融大崩壊―「アメリカ金融帝国」の終焉

2008年12月10日初版 NHK生活人新書 トップエコノミストが08年の金融危機の詳細、資本主義の歴史も辿り歴史的深刻さ解説しタイムリー。世界恐慌はもちろん、東インド会社まで比較する博覧強記ぶりで「大きな物語」の終焉を分析、米金融帝国後も展望。

青年団 / サンタクロース会議 アダルト編

2008年12月18日20:00 こまばアゴラ劇場 会議シリーズ最新作は企画ものでテーマに苦手感あったか全体に鋭さも冴えもなく低調。セコムネタ面白いが、魔法使い寒く不倫エピソードも外し笑い少なく残念。渋めの役者陣の中、立蔵葉子と工藤倫子の両博士が健闘。

高山文彦 / 孤児たちの城―ジョセフィン・ベーカーと囚われた13人

2008年9月18日初版 新潮社 天才ダンサーが育てた孤児13人の行方と実態を暴き、善意の空回り断罪する前半痛々しい。育ての母の華々しい経歴挿入で持ち直し、長男として育ったアキオの心情を切なく描き生麦で拾われた際の話入れた終盤は流石。

たいしゅう小説家 Presents 空間ゼリーの「夏の夜の夢」

2008年12月16日19:30 池袋芸術劇場小ホール2 安い歌舞伎座な空間の中、吉原舞台にシェークスピア作を大胆リメイクで遊郭ならではの結末用意もタレント集めた学芸会級。ジェームズ小野田、大林素子が大きい。ヒロインは三津谷葉子も斉藤ナツ子が空ゼ魂しっか…

競泳水着 / プリンで乾杯

2008年12月15日19:30 王子小劇場 時間軸往来も恋愛軸でぶれない。男女4人でルームシェア、同居人に元彼誘い始まる恋愛話が展開も、傍流のバーカウンターでのエピソード秀逸で辻沢綾香が面白すぎ。のだめな音大生も入りトレンディドラマの面目躍如。

五反田団といわきから来た女子高生 / あらわれる、飛んでみる、いなくなる

2008年12月14日14:00 アトリエヘリコプター いわき総合高校で作り上げた傑作が卒業控えた演劇部員招き素敵すぎる最終再演。野球部応援の練習する女子8人の愉快な駄弁で笑い満載。空飛べてしまう展開、怪物マソンが勿来に現るローカルな雰囲気が旅情醸し奏功。

ろりえ / キミは癌

2008年12月13日14:00 早稲田大学学生会館B203 日替わりで部屋シェアする女たちを描きぶっ飛びキャラ炸裂で狂気の作風健在。梅舟惟永、岡田あがさ、清水穂奈美ら小劇場の注目女優輝きETなどパロディを連発。ラストのドリフネタからの銭湯でのフィナーレは圧巻…

ニットキャップシアター / クレームにスマイル

2008年12月12日19:30 ザ・スズナリ 客演なし劇団員のみの公演はプラットフォーム舞台に遅れた電車を待ち続ける者たちが駅員にクレームをいうために走り回る不条理コメディ。狭い空間のみで終始しちんまり感。お笑い目指す女子2人組のフツーぶり好感。

ブラジル / 軋み

2008年12月11日19:30 THEATER/TOPS 主役の人気漫画家役に桑原裕子迎えての新作はアシスタント殺人から始まるサスペンスコメディでB山田の劇作腕力も冴える快作。劇団主宰者集い笑わせ見せる巧さ発揮。辞めたアシスタント役の葛木英もエゴな魅力爆発。

毛皮族 / 大好き!!5つ軽演劇ちゃん「大江戸、時々時雨」

2008年12月7日15:00 リトルモア地下 お江戸舞台に父を殺された町娘おなつを羽鳥名美子が体張った熱演。サブリミナル的な照明の大胆な点滅が効果抜群。あひるなんちゃら黒岩三佳も起用し江戸のミステリーに深み。毛皮族女優陣の腰の大胆な動きも衝撃的。

小宮孝泰ひとり芝居(作・演出:鄭義信) / 線路は続くよどこまでも

2008年12月7日13:00 OFF・OFFシアター 自身の父親が勤めた朝鮮鉄道モチーフに前説も担当の小宮熱演に感服。終戦から始まる駅長家族の悲喜劇を逃走劇中心に見せ成功。満州国境近くの町で慌てる日本人に臨場感。焼き芋好きの夫人が衰弱する展開に場内感涙。

燐光群 / 戦争と市民

2008年12月6日14:00 ザ・スズナリ 主役演じた渡辺美佐子の空襲体験モチーフに、捕鯨盛んな漁村の防空壕で現代と戦中を往来し市民の戦争をリアルに描き成果。とくに空襲時の壕内の屁臭に納得感。上演時間長く、選挙や北朝鮮の攻撃などの要素は不要か。

佐野真一 / 目と耳と足を鍛える技術

2008年11月10日初版 ちくまプリマー新書 自作ベスト盤的趣きの新作はコンパクトでもお宝エピソード満載でお得感。自作を手本に裏話や要旨明確だが自己正当化の危うさ出て皮肉。足で稼ぎ、待ちを多くするなど執筆の知恵豊富。作家生活の経済問題も興味深い。

ギンギラ太陽's / さよなら初代 0系新幹線ーBORN TO RUN

2008年12月4日19:00 あうるすぽっと 待望の東京公演は0系引退に重ねタイムリー。山陽新幹線のみで運行の初代モデルの悲哀描くが不十分。妨害に遭いながら東京へ進む明日なき暴走も直球すぎで物足りなさ。強引に挿入の福岡の小売り盛衰史が面白く救い。

桟敷童子 / 黄金の猿

2008年12月2日19:30 べニサン・ピット 1年半ぶりの新作は閉館する劇場への思い溢れる大作。戦闘場面冗長でも中国から九州に渡った九千坊一族が虐げられながらも独自の文化と技術を守り生き延びる姿が心揺さぶる。複雑な境遇の混血女役で板垣桃子が熱演。

猫目倶楽部(作:坪田文、演出:深寅芥)

2008年11月30日15:00 池袋シアターグリーン BIG TREE THEATER 空間ゼリーが芸能人と組んだ注目作はアップフロント色強めに1時間弱で浅い仕上がり残念。「キャッツアイ」モチーフに恋の敵討つ3人組を三好絵梨香&椎名法子&弥香が魅力発揮。ゲスト警官は保田…