2015年10月15日初版 日本経済新聞出版社 10周年記念作は１年で５つの異なる仕事経験する30代女性描く連作。作家監視するコミカル作からバスのアナウンス広告作成やおかきの袋の一口情報をつくる仕事などは見事にマッチ。ファンタジーな味付けも楽しい。

2015年12月24日15:00 東京芸術劇場アトリエイースト 暗く狭い空間で歩き回りながらの体験劇は小人たちに案内されて懐かしい遊具を辿る展開に興奮。昭和な匂い強めの道具達を前に戸惑いながらも強引に動かす意欲が面白く、会場の外に連れ出しエスカレーター上…

2015年12月17日19:00 アトリエヘリコプター 初の冬開催はワム！やマライアなどクリスマスネタが満載。前半の中国での怪談ネタを伏線とする大ネタが後半炸裂し構成見事。吉田悠軌の暴走奏功。温泉行く場面での石澤彩美＆木引優子の対応と前田司郎の顔芸楽しい…

2015年12月17日14:00 東京芸術劇場シアターイースト 寺山生誕80年企画は評論、戯曲、映画巧みに混ぜ持ち味。ヤンキー系男子登場させ蹂躙される少女たち際立つ。主役に18歳の村上虹郎起用もマーム役者陣が脇固め、ドラマーの山本達久や映像出演の又吉直樹も存…

2015年12月12日15:00 三鷹市芸術文化センター 星のホール 映画撮りつつコンスタントに発表の新作は吹越満＆松本まりかで大人な恋愛。妻亡くした男が出会う謎の女を松本が艶やかに好演。ファザコン娘で安藤輪子の傲慢キャラ見事。上下入り乱れる人間関係の驚…

2015年12月11日19:00 ザ・スズナリ 鄭義信作・演出の二人芝居の傑作が02年来の再演。久々の佳梯かこやはり巧く、段ボールや日用品が雑然と置かれた炬燵ある六畳間がリアルで絶妙。別れる二人のイブの夜の会話切なく、現代の取り込みも楽しく納得感。

2015年12月3日20:00 吉祥寺シアター 12回目公演は旗揚げの地に戻り新作。ゲストにQから飯塚ゆかり迎えアクセント。女性中心の構成は個々の力発揮で奏功。懸念のオリジナル曲もビート力あり強みのダンスに磨き。ラップ部分楽しく脱力の持ち味も十分。

2014年11月30日初版 朝日新聞社 ヤモリなどと会話できる少年登場の童話の手法も巧みに複数視点で描く幼稚園児を取り囲む環境描いて谷崎賞受賞も納得。園児たくと部分は平仮名のみで読み困難も姉やピアノ先生の描写よく、父の愛人の日常風景も新味。

2015年12月2日20:00 駅前劇場 久々の駅前劇場公演は筋振り長いが後半遊びらしさ発揮。テーマ曲流し派手な台詞回しの役者パロディに切れ味。土屋亮一参加のネタ合戦で笑い満載。推理上手の深窓の令嬢暮らす洋館舞台に小関えりかがメイド役で輝き。

2011年9月-15年11月初版 小学館IKKI COMIX 「IKKI」連載作が６巻で完結。親と離れて暮らす「星の子学園」の子供たちの健気な日々描き筆者の最高傑作に。70年代後半の三重を舞台に当時の風俗も巧みに盛り込み大成功。冬野さほとの共同作業で絵力異次元。

2015年11月22日15:00 アトリエヘリコプター 仮題「記憶の化け物」から変更の新作は子供の遊び芝居指向した３人芝居。役者が自らナレーション入れる試みはローファイで面白いが随所で台詞の聞き取りにくい欠点も。前田中心に動物など複数役こなす展開は楽しい…

2015年9月17日初版 スイッチ・パブリッシング 注目の自伝エッセイは素直に小説家としての気持ち吐露し意外なほど直球。人気作の舞台裏も垣間見えてファン垂涎のエピソード満載。ただ、「学校について」など脇道な章で論理展開にらしくない緩さも見えて興味深…

2015年11月15日14:30 豊島区旧第十中学校 いわき公演のみだった岸田賞受賞作が待望の再演。同じいわきの役者使い、校庭を使う野外劇にこだわった点も奏功し、これまた伝説の仕上がり。公演時から経過した歳月も巧みに盛り込み、被災地の現実も生々しく感涙。

2015年4月3日初版 草思社 異色の保守寄り記者の新聞社時代振り返る一冊は実名主義強めに内面暴露も。有名人も数多く登場させニュースの裏側披露。不肖が主語きつく、思想的にも共感できない面多いが、経済部時代の大物との接触ネタなど興奮。

2015年11月8日14:00 シアタートラム ベケット作ベースに一人暮らしの男に訪れる別れた女の幽霊描く２人芝居はアート色強め。シンプル舞台も照明の使い方巧み。視界外で動く女を安藤朋子怪演。無言で絶妙な動き繰り返す山崎広太流石だが全体ストイック。

2015年3月15日初版 文藝春秋 芥川賞受賞の大ヒット作は芸人２人の交流描き確かな仕上がり。井の頭公園や三宿など東京西部での生活ぶりにリアリティ。ブレイク前の慎ましい日常、ライブへの取り組みや関係性も生々しく、終盤の展開も切なさ抜群。

2015年11月1日15:30 池袋西口公園 革新的盆踊り大会が今年も実現。前半は長尾順ら盆バンドが務め後半から大友良英バンド登場。福島組多数舞台にのぼる手作り感も好感。キノコはフル稼働の活躍。あまちゃん音頭嬉しく二階堂のかぐや姫曲など見所満載。

2015年4月30日初版 集英社 ４年ぶり長編は震災後の４人の苦闘描く連作。放射能汚染を恐れる心理を詳細に描き、東京から離れて暮らす者たちの行動にリアリティ。義兄に家を乗ったられると焦るeriの台詞と内心のギャップ強烈でコミカル感も。

2015年10月3日15:00 下北沢B＆B 下北沢の注目書店に舞台を移しての再演・女性版は激狭空間で本棚も効果的に使用。タヌキで登場の名児耶ゆりがさすがの歌いっぷり。モテない男の会話読む寸劇も楽しい。再演でも売れ行き続出でいつの間にブレイク感。

2015年10月1日19:00 本多劇場 宇宙人旅行者の地球観光するのは独身女性の部屋の文房具群。PC裏に追いやられた付箋やホチキス、ペン類に興奮する旅行者の反応面白く蘊蓄も効果的。らしいボケで笑いも満載。部屋の主、吉川莉早の反応自然で奏功。

2015年9月16日17:30 パルテノン多摩きらめきの池水上ステージ 新作の水上野外劇は安保法案成立翌日のタイミングでの約１時間の公演で心打つ試み。戦後数年使われた教本ベースに池の小島で生まれたばかりの国がルールをつくっていく展開が見事。一般市民募集…

2015年9月16日 パルテノン多摩周辺１キロ フリー野外イベントは今年も炎天下で暑すぎる逆風で栗コーダーは目玉焼きできそうな管楽器抱え気の毒。パントマイムのシルヴプレは嬉しい発見。夕暮れ時に登場のMCごはんは意外なほどの見事なパフォーマンスぶり。

2015年4月21日初版 岩波新書 保育の現実を保護者側、保育士側からなど様々な局面から追究し問題浮き彫り。待機児童ゼロの横浜市の厳しい現実に衝撃。株式会社化が引き起こす効率重視の弊害も詳らかにして見事だが、論調にやや理想主義的な面も。

2015年9月15日19:30 下北沢OFF・OFFシアター 久しぶりの劇団員のみ３人での公演は宇宙旅行という意外にスケール大きい設定で陳腐さ抜群。関村演じたやる気のないツアコンが面白く、突っ込みも楽しいが、３人でやるというコンセプトに縛られストイックな印象…

2014年11月30日初版 文藝春秋 脅威の完全合作は蔵王周辺舞台に元野球少年たちの大胆な挑戦。B29の謎の飛行使った細菌ミステリーに阿部色。ボーイズライフな友情エピソードは伊坂っぱいか。大惨劇相次ぐ展開迫力で女性官僚の桃沢瞳いい味付け。

2015年9月5日14:00 こまばアゴラ劇場 アジア公演敢行の男優２人芝居「幼女X」と独り芝居「楽しい時間」２本立てはストイックな実験性にたじろぐ。幼女殺害事件発生の現代東京舞台にタワーマンションの姉夫婦宅訪れる弟と姉の元カレ登場させ緊張感よし。

2015年6月19日初版 岩波新書 自身の父の戦中戦後の生き様を時代背景も詳述し意義深い仕事。中野でのゆるい早実〜富士通時代から一変する徴兵後の日々強烈。満州、シベリア抑留、帰国後結核療養所入りに圧倒。仕事転々も好転し意外な晩年面白い。

2015年8月28日14:00 森下スタジオCスタジオ ２年ぶり新作は北陸温泉場見事に再現し東京から来たマメ山田演じる人形遣いと辻孝彦の息子２人軸に圧巻。回り舞台で見せた各部屋ヤバい。思うように生きられない者の切ない思い伝わり、唐組役者起用も想像力膨らむ…

2015年8月22日14:00 サンモールスタジオ ちょっと下品な妄想西部劇は想像力逞しく段ボールの書き割りでつくったセットが素敵。風俗店に日参するジョージの憧れの女性まひる演じたキキ花香が魅力。社長というよりおばさん支配の職場の純愛女性もアクセント。

2015年5月20日初版 七つ森書館 過去の映画批評まとめた一冊は意外にテーマ性あり一気読み。高倉健や菅原文太が出演したやくざ映画に注目の前半面白く、アメリカ映画編の後半は80年代の力作収め「赤狩り」論は現代日本の問題とマッチし意義深い。