2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

堀川惠子 / 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

2015年5月25日初版 文藝春秋 大宅賞受賞作は元広島テレビ放送の記者による労作で広島の戦後史の意外な現実に興奮。名簿の住所を訪問し浮かび上がる被爆者と遺族たちの時間が強烈。供養塔の世話し語り部活動もした佐伯敏子の生き様と奇跡に感動。

ロロ / あなたがいなかった頃の物語と、いなくなってからの物語

2016年5月29日14:00 東京芸術劇場シアターイースト 豊かすぎる想像力と凝った構成の寓話に前半置いてけぼり感でもヒロイン花びら役に伊藤沙保迎えて母と子の歩み見える終盤はしっかり感動で素敵な世界観。村の怪しいおっさん登場させノスタルジーな味わいも…

離風霊船 / ゴジラ

2016年5月27日19:30 ザ・スズナリ 主宰還暦公演は岸田戯曲賞作2016年版。三原山舞台にゴジラと純粋無垢な少女のラブストーリー楽しく、円谷ネタ満載も嬉しい。「シンゴジラ」意識し現代ネタも奏功。田中奈緒もいいがレポーター進藤理恵がいい味。

下鴨車窓 / 渇いた蜃気楼

2016年5月15日14:00 こまばアゴラ劇場 心理描写鮮やかな3人芝居は渇水に悩む小都市アパート一室を舞台に旧友がNHKの勧誘に現れる展開面白く傷口な過去が明らかにされヒリヒリ感。アラフォーの現実感全開。エクササイズDVD踊るなど大沢めぐみ良い。

平田オリザ / 下り坂をそろそろと下る

2016年4月20日初版 講談社現代新書 日本の新しいかたち考察した新作は自ら携わった城崎や小豆島など事例豊富に地域再生のヒント満載。「坂の上の雲」など司馬遼太郎作品引用多めに古い考え方改め衰退する国の生き方探る。韓国の厳しい現実も興味深い。

子供鉅人 / 真夜中の虹

2016年5月12日19:30 駅前劇場 劇団員のみ本公演はスタジオ、パーティー、ホテルなど真夜中のシーン巧みに構成し繋げて大成功。関西弁のドタバタも勢いに笑い満載で叙情性たっぷり。浮気男を怒る真夜中の彼女や真夜中の兄妹の珍客など名場面多め。

Wけんじ企画 / ザ・レジスタンス、抵抗

2016年5月9日19:30 こまばアゴラ劇場 作・演出の山内ケンジが山内健司筆頭に青年団の豪華役者陣贅沢に使い同姓同名企画が大成功。本社不祥事で混乱のVWな職場舞台にモテながら不能に悩む男を山内健司が楽しく演じ部下の坂倉奈津子や鄭亜美も魅力爆発。

巻来功二 / 連載終了!少年ジャンプ黄金期の舞台裏

2016年2月22日初版 イーストプレス 1980年前後に「少年ジャンプ」などで活躍した作者の実録奮戦記が興奮。編集者が次々交代し翻弄される様やタブー破る行為も告白。「少年キング」時代や「メタルK」誕生の舞台裏も興味深く自身の心理描写も奏功。

渡辺源四郎商店 / 青森に落ちてきた男

2016年5月4日15:00 ザ・スズナリ 1945年7月28日の青森空襲モチーフに憎しみ乗り越えることへの考察も全体にヘビーな印象。攻撃的なエピソード重ね膨らみが抑えた点は残念だが米兵との遭遇やコミュニティの異常さは十分に伝わり意義深い一本。