2006-01-01から1年間の記事一覧

川上弘美 / 真鶴

2006年10月30日初版 文藝春秋 夫が失踪した作家の母と娘と不倫相手=編集者との日々を描く新作は物語から離れ文章の技巧に凝った新境地。子育ての不安や悩みの感情を素直に表現した点が出色。真鶴で謎追及は見えない女登場で抽象度深まり文学性。(やま)

D.J=L.P(大谷能生)、坂口光央(灰皿)、飯野形而、ひでこりべるたんset、他 / speak raw 2006 忘年会ver.

2006年12月28日22:00 大阪・日本橋R/H/B 充実企画はぎゅう詰め大盛況。ひでこりはJポップ発掘&秋葉ネタMCもグー。嬉しい2年ぶり飯野爆音DJはハロプロ音源懐メロ化。D.J=L.Pはジャズ音源巧みに1曲目から進化形。目玉は坂口×大谷でkey&drの刺激的セッショ…

第75回全日本フィギュアスケート選手権大会(女子SP)

2006年12月28日13:20 名古屋レインボーアイスアリーナ 女子29人で争う国内頂上決戦は想像以上のレベルの違いがくっきり。60P以上は浅田、安藤、中野の3人のみで30〜40P台の飛び技もたない層が大半。太田由希奈復活に喝采。名古屋勢が暖かい応援に支えられ…

ミナモザ / テーブルクロス

2006年12月27日19:30 OFFOFFシアター 爆発直後のレストラン舞台に死んだはずの2人のコミカルなやり取り見事だが生き残った3人が冗長で致命的。健気な妻役でサチコ際立ち、クラリネット奏でるボウイ役衣川藍も楽しく「ブラーバ!」連発するキャラ最高。(やま…

米米CLUB演劇部 / 私がオバさんになってる!?(逆アンチエイジング・ラブ・コメディ)

2006年12月27日14:00 東京芸術劇場中ホール J小野田&石井美奈子による旗揚げ公演は拙者ムニエル色。村上大樹珍しく冴えモテ期到来OL=矢沢心のタイムスリップコメディ成功。米米ヒット曲満載、千葉雅子&清水宏の見せ場存分にバジェットでかい小劇場天国…

ピチチ5+小町桃子 / 魚じゃないとやってられないよ

2006年12月26日20:00 フジテレビ本社1Fマルチシアター(お台場SHOW-GEKI城) コント3本で50分強のサイテー世界。子ども客多いなかで強烈な下ネタ連発し笑い溢れるも場内緊張感。坊主頭で登場のオマンキージェットシティが爆演。小町桃子は深キョン声活かし…

野鳩+里中あや / ぜったいあの娘はボク専用

2006年12月26日18:00 フジテレビ本社1Fマルチシアター(お台場SHOW-GEKI城) 03年作を里中あや迎え再演。事故に遭った主人公が恋する女の子にアイドルを配するも、輝いたのは神様の娘役の佐伯さち子。死が1日延びた少年の熱い想いが伝わる切ない純情コメ…

風琴工房 / 食卓夜想

2006年12月25日19:30 自由が丘ギャラリーサイズ 35席限定激狭空間での5人芝居は「ガラスの動物園」から発想の家族破壊劇。激しく攻守入れ替わる大胆展開ムリあるも、「再生」で娘。完フリ披露の宮嶋美子が魅力爆発。笹野鈴々音もスーツケース出入り繰り返す…

黒テント / メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス

2006年12月24日14:00 theatre iwato 松本大洋の書き下ろし傑作戯曲再々演が千秋楽。長距離トラックの運転手たちが集うドライブインの雰囲気出て場内一体感。菊地役斎藤晴彦の演出は歌シーンがとくに楽しい。Bキャストで女主人・夢子役の小林恵も好演。(や…

ARICA / KIOSK

2006年12月23日18:00 BankART Studio / NYKホール 鉄割の戌井&奥村招いた台詞なしの作品、倉庫での硬質世界に興奮。フィッシュリ&ヴァイス風に無人場内をダンボール動かしてから安藤朋子登場しキオスク準備。新聞挿しペットボトルに水詰める作業に見惚れる…

グリング / 虹

2006年12月23日14:00 紀伊国屋ホール 劇団念願の紀伊国屋進出作は地方の教会舞台にエイズ検査の皮肉な展開。2夫婦の辿る顛末が対照的で上手いが前作「海賊」に比べキャストの力が格段に落ち、笑い少なくホール規模に比して盛り上がりに欠けたのは残念。(や…

少女単体 / 恋人が障害者

2006年12月22日19:30 板橋区立グリーンホール 最後の演劇公演は録り溜めた豊富な映像を駆使し共演障害者の嘘追求する残酷なドキュメント。障害者と対等につきあい狡さは叱る刈谷の捨て身の態度、パンクネスな姿勢が迫力。「恋人がサンタクロース」替え歌で〆…

阿部和重 / ミステリアスセッティング

2006年11月30日初版 朝日新聞社 携帯サイト連載の芥川賞受賞後初の本格長編は騙され続けた少女が起こした奇跡描く力作。作詞家目指すシオリの強烈おっとりキャラ絶妙で、妹ノゾミの厳しい詰問ぶりも迫力。クライマックスへのスピード感も抜群。(やま)

エンジョイ(作・演出:岡田利規)

2006年12月21日19:00 新国立小劇場THE PIT 新国立進出作は説明台詞大胆採用する独自スタイル持ち込む挑戦的な4場構成。新宿の漫画喫茶舞台に30歳越えフリーターの現実。世代間の溝にも注目し、自由謳歌する20代との対照巧み。映像使用法に宮沢章夫の影響も。…

メガロザ / 手紙 ギターとスキヤキとワタシタチ

2006年12月19日20:00 中野あくとれ 西日少女の物語三部作の第1弾は山乃花絵の魅力が爆発。ギターの弾き語りも前面に感動の直球家族ドラマが炸裂。出演者4人も目黒二重が複数役こなし要所で変化球繰り出してメガロザ風味は維持。次作で駅前劇場進出。(やま)

小川洋子 / ミーナの行進

2006年4月25日初版 中央公論新社 谷崎賞受賞作も2年連続読売新聞連載作に疑惑。博士の愛した数式で注目も当作出来はもうひとつ。芦屋豪邸での1年の生活は1つ下の従兄弟ミーナとの交流で72年当時のエピソード豊富もアラブ人テロ登場で保守の波も。(やま)

ロリータ男爵+愛川ゆず季 / なんてったってアニマル!

2006年12月17日17:00 フジテレビ本社1Fマルチシアター(お台場SHOW-GEKI城) アイドル事務所に買収される動物調教師学校トツカペットクスール舞台にムリムリなドラマが展開。ヒロインの愛川ゆず季の出生の秘密ぶっ飛び過ぎ。持ち味の歌シーンは聴き取り難…

風花水月 / ユレルカゴ

2006年12月17日14:00 小滝橋・プロトシアター 旗揚げ公演は前田司郎教え子の二川みか作&上松頼子演出で妊娠テーマに意外に社会派。看護婦2人の会話五反田団風も人工受精の恐さ伝わる演出に安定感。漫画キャラを生もうとするオタク役の長尾美代子が迫力の怪…

勅使河原三郎 / ガラスノ牙

2006年12月16日18:00 新国立劇場中劇場 注目の世界初演新作は2部構成で舞台に敷き詰めたガラスの破片の上をバリバリ鳴らしながら勅使河原が踊る姿が圧巻。多数登場の前半低調もデュオでの後半バランスよくガラス飛び散る音をマイク拾い痛いほどの臨場感。(…

アイサツ / ジャングル・ポケット

2006年12月16日14:00 早稲田どらま館 期待の第2弾はアパートを廻り舞台で見せる試み面白いが主題の引きこもり描ききれず不完全燃焼。魔法使いの話も活動家を明確に想起できれば面白かったが残念。石澤彩美不在も痛いが大学サークル場面は雰囲気出せた。(や…

Hula-Hooper / 嘘かもしれないけど、オリジナル

2006年12月15日20:00 新宿村LIVE 女ばかりで女子校舞台の学園ドラマ。迫力のセンターステージで臨場感たっぷりにダンスシーンなど見応え。作・演出・振付・出演の菊川朝子は女優10人以上集めたことを何よりも評価。えんこ役の平川道子の魅力際立つ。(やま)

珍しいキノコ舞踊団 / あなたが「バレる」と言ったから

2006年12月14日19:30 グリーンホール相模大野 多目的ホール 99年作を山田郷美、佐藤昌代、伊藤千枝のトリオで復活。1月宮城えずこホールで発表の小さいキノコが関東初演。後半のプレゼント交換場面挿入うまく、テンポ最高にフィナーレ。PPTもワークショップ…

動物電気 / 三女の食欲

2006年12月12日19:30 駅前劇場 四姉妹を軸に直球の家族ドラマ。辻修が父(おじいちゃん)役をきっちり。政岡扮する長女の夫役で小林健一が悪役もワンマンショーへの流れ理由付けしっかりで完成度も追求。一人独身の三女=伊藤美穂が大抜擢に奮起。(やま)

田草川弘 / 黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて

2006年4月25日初版 文藝春秋 赤ひげ〜どですかでんの50代の黒澤の空白5年間を暴いた力作。黒澤プロ立ち上げ東宝と縁切りして調子を落とす様が克明。芸術家として冴えるも経営者としては失格な日々。膨大な資料擁し20世紀FOXの実態にも迫り感嘆。(やま)

Noism06 / Triple Vision

2006年12月10日17:00 ル・テアトル銀座 外部振付家2組招いた3部構成は感触異なる作品並びバラエティ豊か。金森「black ice」はキリアン風にオブジェ使いエレガント。大植真太郎は意外にコント風。稲尾芳文&Cヒョットはラテンにサンバで激しいダンスで魅…

鉄割アルバトロスケット / オフビートニクス日本

2006年12月10日14:30 根津・宮永会館 畳敷きの旗揚げの地に戻り休憩挟んで36本のグルーブ感の洪水堪能。サン・ラなどスカム系笑い満載でツボ。ごくつぶし大挙登場で、ネギはマンネリ感もアライちゃん、宇宙人家庭教師、いっちょパーリーなどパワー充実。(や…

青年団 / ソウル市民 昭和望郷編

2006年12月9日19:30 吉祥寺シアター 3部作完結編は1929年の世界恐慌前夜描き経済的背景詳細。子の代に移り長男が精神病院入院など脆弱性強調。現地人書生が総督府勤務する皮肉な展開。日本語で和む朝鮮人女中がラジオから流れるアリランで踊る場に感涙。(や…

ポツドール / 恋の渦

2006年12月9日14:30 THEATER/TOPS いつになく饒舌な三浦大輔が得意の嘘や裏切り、性も大胆に盛り込む意外に素直な直球恋愛劇。舞台に四部屋設け、携帯電話巧みにやり取りさせ覗き見感十分。TVやゲームなど入れ方効果的。古澤パート相変わらず面白い。(やま)

デス電所 / 夕景殺伐メロウ

2006年12月5日19:30 駅前劇場 関西注目劇団新作は萌え・萎え分類やボーイズライフblogなどオタクなミッション。激しいダンス効果的で田嶋杏子光る。絵画の中の妹役奥田ワレタは動きに制約あり残念。放火がマッチ売りの少女を想起させる仕掛け見事。(やま)

岡崎京子 / 秋の日は釣瓶落とし

2006年12月16日初版 双葉社 92年発表の中編初単行本化は激薄寂しい1000円。激務ながら浮気中の兄とその妻、オカマの弟と惚け始めた母の微妙な関係描く家族もので次のステージへの通過点的印象。併録「ハンバーガー」は超短編連作でオールカラー。(やま)