2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

燐光群 / 民衆の敵

2006年5月31日19:00 俳優座劇場 時節捉えたイプセン作上演で意義深い仕事。前半ダラダラも吹き飛ぶ圧倒的クライマックスに感嘆。温泉町で毒菌混入告発する博士を大浦みずき熱演。無知の大衆と絶対多数前に変節する新聞の姿生々しく日本の今を象徴。(やま)

青年団+文学座 / 職さがし

2006年5月30日19:30 こまばアゴラ劇場 青3+文1の4人芝居は仏アルノー演出で職失い娘妊娠するヘビーな筋立て。家族と会社の台詞が絡み男の混乱象徴も面接面白くなく抽象舞台で白服&裸足で眠くなる一方。シンポジウムで平田オリザ登場し植民地批判痛烈。(やま)

東京デスロック(CARAVAN) / 3人いる!

2006年5月29日20:00 下北沢CAFÉ PIGA 萩尾望都「11人いる!」に着想得た3人芝居が30席の激狭空間で上演。見知らぬ自分と部屋で出会う展開を夏目慎也&佐山和泉&多田淳之介が複数役演じ役者ぶり堪能。語られる日常生活の行動や過去がリアルに笑え見事。(や…

花よりもなほ

2006年6月3日公開 松竹 監:是枝裕和 演:岡田准一、宮沢りえ他 是枝注目作は、野田版研辰に通ずる仇討懐疑を軸に、殺生せず長屋の貧民と共生する優しい時代劇。岡田は時代劇初主演を逆手に男根的武士像から乖離した役作り奏功。今や松竹の看板女優となった…

三条会 / 砂の女

2006年5月28日18:30 1010ミニシアター 安部公房代表作舞台化再々演は堀状センターステージ設け覗き込む仕掛け流石。中央に縄梯子置き、砂の女による昆虫採集男の監禁劇が各3人で見事な抽象化。70年代アニソン多用しギミック全開の動きで飽きさせない。(や…

南河内万歳一座 / お馬鹿屋敷

2006年5月28日15:00 ザ・スズナリ 不眠症の人たちに敷布団役と掛け布団役が3人セットで舞台上ずらり並べた、内藤の作風の良い面が出た佳作。安くて、そこで眠ればバカになる「大和屋別館」は、現在の自民政権を妄信する日本世論を暗示しているよう。(やま)

ワワフラミンゴ / ファーブル旅行記

2006年5月28日14:00 下北ファインホール アパート角部屋な空間で自然光+蛍光灯で窓開閉巧みに45分の不思議時間堪能。ベタポ系女子7+男子1で日本に1年間以上滞在中の外国人の日々がガーリーなナンセンスギャグ全開に展開。こだわり世界観徹底が見事。(や…

ザ・ヒットパレード〜芸能界を変えた男・渡辺晋物語〜

TV

2006年5月26-27日21:00 フジテレビ 創立50周年の渡辺プロダクションと戦後史辿るドラマ企画はニュース映像過剰。晋=柳葉は手堅いも美佐=常盤貴子が大正解。フジ制作のためかドリフターズ一切触れず、離脱森進一も抹消。日本テレビ関連ゼロも残念。(やま)

BATIK 稽古!

2006年5月27日19:00 森下スタジオC 無料開放稽古は休憩挟んで長時間。黒田育世の演出家ぶり目撃が収穫で7人へ次々と振り付けるなか、一瞬見せる黒田の手本が流麗で抜群。全体に動き拙さ目立つなか声張り上げ激しい動きで田中美沙子が強烈な個性披露。(や…

ローラン・プティの「こうもり」

2006年5月27日15:00 新国立劇場オペラ劇場 ヨハン・シュトラウスⅡオペラをプティがバレエ化は驚くほど演劇的。ベラ役で真忠久美子など日本人ダンサーで構成の夫婦コメディは群舞の楽しさ抜群。カンカンダンスや食事場面ユニークにパリのエスプリ強烈で珍味。…

五反田団 / ふたりいる景色

2006年5月26日19:30 京都芸術センター フリースペース 即身仏になる妄想描きゴマしか食べず恋人に依存するダメ男と、それでも別れられない女による無気力世代の現在形同棲時代は、金も性愛も描かず、人とのふれあいを気恥ずかしくなるほど率直に訴え、切なく…

遊園地再生事業団プロデュース / モーターサイクル・ドン・キホーテ

2006年5月26日19:00 赤レンガ倉庫1号館3Fホール シェークスピア幻の戯曲「カルデーニオ」が鶴見バイク店舞台に大胆復活劇。イージーライダーな60’sロック炸裂。小田豊のヒッピー世代店主最高で若き妻高橋礼恵などキャスト絞って大正解。京浜工業地帯映像も…

宮崎学 / 六代目山口組司忍組長と小泉純一郎首相にケンカを学ぶ

2006年5月27日初版 太田出版 2人にケンカの仕方学ぶムリ企画で司組長と小泉首相交互に登場させるも大半はヤクザの交渉の巧みさ示す事例充実で面白い。200ページ未満とコンパクトだが05年9月の山口組東京進出の成功理由詳細に政治も裏事情豊富。(やま)

ロリータ男爵 / エプロンの証

2006年5月25日19:30 駅前劇場 ロボット任せで全人間がニート化した近未来舞台にロリ男ワールドがじわり。名物の歌&ダンスは脱力感抜群で永遠の仔秀逸。ヒロイン健気で勤勉なメイド役でベタポ吉原朱美が抜群の輝き。ニート王役今林久弥も存在感。

文学座+青年団(作・演出:松井周) / 地下室

2006年5月24日19:30 アトリエ春風舎 健康食品工場舞台に異常コミュニティの生態を描き高完成度で状況説明もしたたか。連赤髣髴の総括シーン見事で儀式やおしぼり等の性的挿話も強烈。1時間半の尺に出来事詰め過ぎ組織描写簡略化惜しい。貴重な対談付。(やま…

危婦人 / 大部屋女優 浜子 〜至福のランデブー〜

2006年5月22日19:30 サンモールスタジオ 前半は質感出ず抑制効かぬ演出に難も苦節40年の蘭浜子初の座長公演初日迎えた楽屋での後半は出色。女優陣皆が見せ場こなし荻原もみぢアイドル女優役ハマリ過ぎで小劇場界のあやや誕生。ダンスも素晴らしくギザ萌え。…

井上三太 / TOKYO TRIBE 2

1998〜2006年 祥伝社 「Boon」誌9年間連載作が全12巻で完結。東京主要都市カタカナ化し近未来のグループ間抗争が展開。ストリート細部描写こだわり、ヒップホップなキャラも抜群。圧倒的前半部に比し後半間延び気味も生活に戻る結末よし。(やま)

五月大歌舞伎 團菊祭(傾城反魂香/保名/藤娘/黒手組曲輪達引)

2006年5月20日16:30 歌舞伎座 菊五郎が矢鴨に化け2001年宇宙の旅、カーリングで股潜り等ギャグ集で新喜劇の様相。菊之助の白玉は悪女ぶり見事に吉原。助六の江戸の屋根上の仕返し幕切れ鮮やか。三津五郎の又平は吃り丁寧に演じ結末じんわり。(やま)

lovepunk / GIRLS HATE PURE

2006年5月20日14:00 シアターグリーン 高原秀和の劇団結成旗揚げ作は女優のみ9人で親子孫3代の恋愛を並列に描く大胆設定。21歳へ若返るおばあちゃんの純愛見事。普通志向サークルの描き方80年代風で陳腐な演出も永田奈津子&佐藤祐香ら女優陣が大健闘。(や…

征木高司、北沢夏音、赤田祐一 / 未来は後方にあり−−「団塊パンチ」の60年代考現学

2006年5月19日18:30 東京堂書店神田本店6階 赤田編集長新雑誌「団塊パンチ」発刊記念イベントは缶ビール並べ冒頭編集長の征木&北沢紹介秀逸も全体に酔った征木が精神論全開に暴走し厳しい中身。北沢による的を射た情報と資料提示、R25など批判は刺激的で救…

第280回 市民寄席

2006年5月19日18:30 京都会館第2ホール 文太の八五郎出世は人情噺色薄く爆笑でもなくサゲも冴えず、上方への移植に無理を感じる中途半端な仕上がり。鶴瓶汗だくの愛宕山は六代目譲りの旦那に媚びない無愛想な幇間が印象的。春団治が怪我のため福団治代演。(…

本谷有希子 / ぜつぼう

2006年4月25日初版 講談社 待望の新作中篇は引きこもり不眠症生活送る電波少年的没落芸人がホームレスと出会い意外な展開。小劇場直系キャラで笑い追求しエンタメ路線。表紙イラスト黒田硫黄、装丁祖父江印と2000年代カルチャー旗手期待に応答。(やま)

UEFAチャンピオンズリーグ決勝 バルセロナ×アーセナル

2006年5月17日27:45 スタッド・フランス 小雨降るサンドニでの決戦はシナリオあるかの如き好ゲーム。無失点記録中のアーセナルはGK退場もアンリ→キャンベルで高打点ヘディング先制。ゼロ封神話流れ変えたのは交代投入ラーションとベレッチで逆転劇圧巻。(…

近藤良平、黒田育世 / 私の恋人〜暇さえあれば体当たり〜

2006年5月17日19:15 吉祥寺シアター 1日限り増強再演は充実2部構成。屋外からバイクで2人登場鮮やか。ダンスで黒田が圧倒も楽器奏で跳躍し近藤が応戦。部屋風舞台よく小島麻由美&Jジョプリンもマッチ。ストロー刺し、すいか割りなど味付け楽しい。(や…

古屋兎丸 / ハピネス

2006年3月1日初版 小学館(IKKIコミック) 十代の喪失感を危ういエピソードで描く短編集は各8編が重厚で完成度高く兎丸らしさ発揮。自殺したビジュアル系歌手伝説の地での少女と少年の出会い描く表題作はじめ持ち味の美少女キャラが痛みとともに妖しく躍動。…

主権在民! 共同アピールの会 / 個人情報保護法を糺す!緊急討論

2006年5月15日19:00 ネイキッドロフト 吉岡忍、森達也、石坂啓、吉田司に各紙誌記者ら発言し問題点出すもピント外れ気味で事例乏しく停滞。客席塩見孝也ら豪華で後半論争モードも。権力に迎合するNGO、世論つかず効果的な運動方法に悩む姿が痛ましい。(…

沢木耕太郎 / 危機の宰相

2006年4月10日初版 魁星出版 77年発表の幻の長編第一作は60年代の所得倍増演出した首相池田勇人、エコノミスト下村治、宏治会の田村敏雄の元大蔵負け組官僚3人の人生辿る力作も若さ目立ち構成に難。政策説明不足で会報の引用目立つ素直さも辛。(やま)

アイサツ / サマンサ

2006年5月14日14:30 早稲田どらま館 早大演劇倶楽部新ユニット旗揚げ作はポツドールで演出助手務める尾倉ケントの作演出で鬼出る町にパン工場と路上と兄妹暮らす部屋繋ぎ見事な時代感覚。今井理恵や石澤彩美ら女優陣中心に充実。Jロック味付けも奏功。(や…

第三回 鶴瓶、銀瓶をしごく会

2006年5月14日14:00 西ノ宮プレラホール 韓国語落語のみならず古典にも着実な成果上げる銀瓶のくっしゃみ講釈は修羅場読みも巧み。堪忍袋のマクラで鶴瓶暴走。倦怠期の夫婦の話からミス・ワカナ、スジナシまで展開し30分間場内大爆笑の後、本編やや尻すぼみ。…

五月大歌舞伎 團菊祭(江戸の夕映/雷船頭/外郎売/権三と助十)

2006年5月13日11:00 歌舞伎座 復活團十郎の外郎売は武具馬具と早口鮮やかで舌回り感嘆。菊五郎と二人口上も團菊祭の意義。大仏作は海老蔵と松緑の大詰弱いも脇役陣健闘し維新の江戸人情話成立。菊五郎と三津五郎の籠やは長屋井戸替えの挿話見事。(やま)