2011-01-01から1年間の記事一覧

M&Oplaysプロデュース / アイドル、かくの如し

2011年12月28日19:00 本多劇場 クドカン&夏川結衣を夫婦役で迎えた岩松了作・演出の新作は小さな芸能プロの内実描くテーマが奏功。クドカンの不倫相手演じた伊勢志摩が爆走で大人計画コンビに笑い集中。アイドル1本足経営のひりひり感が面白い。

山内ケンジ / ミツコ感覚

2011年12月27日21:00 テアトル新宿 CM、演劇に続き映画に挑んだ監督第一弾は得意の不倫をテーマにストーカーの味付けも強烈に、石橋けい&初音映莉子の姉妹の日常を生々しく描いて成功。古舘寛治の調子良すぎる上司滑稽で、三浦俊輔のキャラも強烈。

堀江敏幸 / なずな

2011年5月10日初版 集英社 保育小説の傑作誕生。生後2カ月のなずなを預かった中年独身男の奮闘を誠実で繊細な文体で描き大成功。ローカル誌の記者活動、コミュニティの人間関係味わい深く、ジンゴロ先生や友栄さんも魅力的で希望溢れる一作。

劇26.25団 / バンザイ

2011年12月26日19:30 駅前劇場 場末のたこ焼き屋舞台に米国産小麦強要されるFC店の悲哀描くが、店主の鶴巻の存在がべたで殺人場面のリアクション苦痛。が、高校2年生2人組も楽しく最高。梨木智香が妖しい魅力放ち、福島出身の家出少年効果的。

中野成樹+フランケンズ / ゆめみたい(2LP)

2011年12月25日15:00 川崎市アートセンター アルテリオ小劇場 90分でハムレットという意図いいが会場2つに分けて2枚組という狙いは空回りで面白さゼロ。トロンボーンは効果。迷走続いた3部作終了で次作に期待膨らむ。素晴らしかった「短々とした仕事」のよ…

チェルフィッチュ / 三月の5日間

2011年12月23日17:00 KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ 初横浜公演は震災後も中身いじらずイラク戦争開戦当時そのままに再現。キャストを大胆に変え松村翔子をミッフィからユッキーに大胆チェンジ。金髪ロン毛も起用しローファイ度アップ。役者の素そのままに…

MERRY PERFIDIA(関美彦、竹尾八品、他)

2011年12月22日21:00 新宿OTO 奇数月開催イベント特別版は、フード付きでライブも複数用意も全体押し気味。アコースティックギター弾き語りに続き登場は待望「竹尾八品」。ドリーミーな音色で始まり、人民な決めフレーズ満載のラップ炸裂で興奮。

こゆび侍 / うつくしい世界

2011年12月21日19:30 サンモールスタジオ 大きな物語挑戦が裏目で致命的な瑕疵多数。ふうせんにんげんの悲劇描くファンタジーの輪郭は可能性十分でも権力の描き方中心に細部雑。佐藤みゆきの使い方も残念。浅野千鶴&小石川祐子の姉妹も魅力的なだけに残念。

クロムモリブデン / 節電ボーダートルネード

2011年12月20日19:30 赤坂RED/THEATER 被災地舞台のブラックコメディが奏功。森下亮の官僚的警察官が最高でひき逃げ対応笑える。竜巻で刑務所崩壊でパニック化いいが、終盤カオスはやや強引か。客演七味まゆみ迫力も渡邉とかげ成長顕著でダンス場面秀逸。

木ノ下歌舞伎 / 夏祭浪花鑑

2011年12月16日19:30 STスポット 演出に白神ももこ迎え女子中心の新歌舞伎が奏功。木ノ下&杉原とのコンビが効果的な緊張感生み、松尾恵美の団七が迫真で「白鳥の湖」での義父殺しにリアリティ。黒子巧みに使い提灯の上下面白い。お辰の関亜弓も迫力。

チャリT企画 / 死の町

2011年12月15日19:30 ギャラリールデコ5 鉢呂経産相の辞任に繋がった死の町発言を徹底検証。素舞台でホームズや松田優作な探偵登場させ、笑いも豊富に放射能つけちゃうぞ発言のあった深夜のぶら下がり取材の真相究明し興奮。フジテレビの勇み足も明らかに。

動物電気 / タッパー!男の器

2011年12月13日19:30 駅前劇場 地方都市の飲食店舞台に人情喜劇。女将なヒロイン役で帯金ゆかり熱演。辻修&藤咲マコトの異形カップルもアクセント。小林健一が三枚目キャラで見事な爆走。面白タイム健在。吉田麻生が一人むっちりでギャグ異次元。

中村文則 / 王国

2011年10月30日初版 河出書房新社 傑作「スリ」姉妹作は分量同じに美しき犯罪者の危険な賭け描き読み応え十分。孤児院で育った女がホテルで犯す危険な行為にハラハラ、残酷な運命にドキドキ。2つの強大な権力に翻弄される展開にクールな文体効果的。

城山羊の会プロデュース / 探索

2011年12月11日15:00 三鷹市芸術文化センター 星のホール 黒基調の舞台地味だが、癖のある者ばかり登場し持ち味発揮。画廊男のプレイボーイぶりが強烈で不倫の嵐。殺人もコミカルに料理。山口奈緒子演じたドロシーのキャラ面白く、冒頭殺される三鷹の森元氏…

畠山直哉 / Natural Stories

ART

2011年10月1日-12月4日 東京都写真美術館 首都圏美術館で初の個展は過去作含め映像も多用し充実。石炭採掘現場などの得意の鉱山写真で硬質な持ち味発揮。出身地の陸前高田の被災写真も多数展示し新境地。ただ、ライム・ヒルズの美しさが圧倒的で魅力再確認。

渡辺源四郎商店 / エクソシストたち

2011年12月4日13:00 こまばアゴラ劇場 娘が悪魔に憑かれた家族の悲劇描き秀逸。音喜多咲子演じた娘とバゴーンを買う実父とのやり取り最高。コミカルな悪魔祓いたち脱落し洪水に消えた父が娘連れ去ろうとする場面迫力。新しい父との関係見せるラスト感涙。

吉田修一 / 平成猿蟹合戦図

2011年9月30日初版 朝日新聞出版 歌舞伎町舞台に飲食店関係者と音楽家ら絡む復讐劇ははほのぼの路線継続。底辺でひたむきに生きる者たち、苦難に耐えてきた者たちへのポジティブなエール。長崎の五島編は効果的も秋田の方便満載の後半はやり過ぎ感。

青年団 / サンパウロ市民

2011年12月2日19:30 吉祥寺シアター シリーズ番外編は1939年のサンパウロを舞台にソウル市民なエピソードを大胆ミックスし奏功。志賀廣太郎&山内健司の兄弟で保守と左翼の対照鮮やか。「植民地」の厳しい環境で生き抜く日本人の実情描き画期的。

ままごと / あゆみ

2011年12月1日19:30 森下スタジオ Cスタジオ 代表作を愛知で再創作した意欲作はハードル上げ過ぎて完成途上。アウェー感抜群で本領発揮できず残念。一直線から複数の線引き、様々な人生描かれ、8人のあゆみが躍動。犬にも同級生にも親にもなる連動性で新境…

ほうほう堂@緑のアルテリオ

2011年11月27日17:00 川崎市アートセンター アルテリオ小劇場 ホール以外の公演が目立ったが新作は劇場の裏側まで使いきる意欲作。浅井裕介のライブ描画と映像の併せ業も工夫満点。会場の外に連れ出し3階カフェパートがポップセンス抜群で最高。ラストの前…

うずめ劇場 / エレベーターの鍵 

2011年11月26日14:00 レインボーコート参宮橋スタジオ 大半が女のモノローグのアゴタ・クリストフ作品の壁にP・ゲスナーの演出マジック生まれず大失敗。一般家屋な会場も退屈さ助長。積み重ねた皿が割れる仕掛けも見た目地味。夫と医者登場のエピローグに若…

生源寺眞一 / 日本農業の真実

2011年5月10日初版 ちくま新書 元東大農学部教授の解説で日本農業の現実が明快。食料自給率でみる集約型の土地利用型の実態。農政の問題点もずばり指摘。食管制度や減反が生んだ農村社会亀裂の重く暗い歴史生々しくフェアな制度設計の重要性痛感。

クリウィム・バアニー / がムだムどムどム

2011年11月25日20:00 シアタートラム 待望の新作は遊覧型システムが奏功。観客が凝った舞台を歩き回り、ガーリーな世界観を体感。予想不能な動きが各所で勃発。家の裏や円形舞台や橋の上で14人の体躍動。イデビアン陣に加え松浦羽伽子ら嬉しい顔ぶれ。

青年団 / ソウル市民1939 恋愛二重奏  

2011年11月23日19:30 吉祥寺シアター シリーズ4作目は軍需景気に浮かれる京城を舞台に意外な明るさ。佐山和泉がやり手の印刷屋の差別思考を体現。戦争で腑抜けとなった婿養子の古屋隆太は人間味抜群で「私の青空」が圧巻。朝鮮人志願兵の残酷な現実も。

五反田団 / 五反田の夜 

2011年11月19日19:30 アトリエヘリコプター 劇団員でアトリエ公演はボランティア組織の混乱描く爆笑喜劇で持ち味発揮。不動産屋を解雇される奥手な男を前田司郎が面白く演じ、西田麻耶がカダフィなブタマン怪演。後藤飛鳥との対立よくフリマでの大団円に感嘆…

しりあがり寿 / あの日からのマンガ

2011年8月5日初版 エンターブレイン 東日本大震災後に描かれた作品を順番に並べて画期的な臨場感。「地球防衛家のヒトビト」も震災&原発関連オンパレードで興奮も、「海辺の村」「震える街」「そらとみず」など近未来を描く強烈な完成度に衝撃&感涙。

原武史 / 震災と鉄道

2011年10月30日初版 朝日新書 東日本大震災後のJR東日本の復旧遅れ批判鋭いが三陸鉄道などローカル線への愛情は確か。集中インタビュー編集でざっくり感や既視感あるも過去時刻表から炙り出すものの動き考察は見事。新幹線&リニア批判も納得。

LOVELY BABY (作・演出:河西裕介)

2011年11月12日13:00 東京グローブ座 ジャニーズと組んだ商業公演は三宅健主役に傑作「ストロベリー」リメイク。三宅小説家にして菅原永二のゲイカップルの性転換&妊娠まで妄想する展開追加も蛇足。小島聖の役どころ不要感。伊達暁&後藤剛範組笑えた。

岡崎京子 / 森

2011年9月25日初版 祥伝社 事故で連載1回で休載した未完の表題作は充実度抜群で続き読めない悔しさ。「タルカムパウダー」など85−95年の単行本未収録の7編も面白さ存分。幻の「ショコラな気持ち」の連作、カットも多数盛り込み嬉しい。

ロロ / 常夏 

2011年11月5日15:00 シアターグリーン Box in Box Theater 新作はボーイミーツガールな夏のイメージ横溢の意欲作。風呂に弟閉じ込める北川麗が魅力爆発。好きだった男子そっくりの男に会う森本華の走り回る元気よく踊り場面秀逸。「H2」等ノスタルジーな固有…