2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

遠野遥 / 破局

2020年7月30日初版 河出書房新社 芥川賞受賞作は公務員志望のリア充慶大生の日常描き共感度ほぼゼロ。母校のラグビー部で後輩をしごき、恋人も次々に変える性生活、上から目線で世の中眺める展開に嫌気。ただ、最終盤で訪れる唐突な破局がシニカル。

梯久美子 / サガレン 樺太/サハリン境界を旅する

2020年4月24日初版 KADOKAWA 2誌に連載の「サガレン紀行」単行本化は2部構成。前半の紀行ものは鉄道オタクぶり発揮。林芙美子や北原白秋らの足跡挿入も効果的も樺太史も概観でき秀逸。宮沢賢治の足取りメインの後半は分析研究にやや走りすぎ。

村上春樹 / 猫を棄てる 父親について語るとき

2020年4月25日初版 文藝春秋 自身の父について京都での生い立ちから戦中の苦難も含め味わい深く詳述し資料的価値も十分。住職の家に生まれ2度の応召、京大卒業後の教員生活も鮮明。表題の夙川から香櫨園の浜へ猫を棄てに行くエピソードが秀逸。