2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

大道珠貴 / 蝶か蛾か

2006年12月23日初版 文藝春秋 47歳の自然児=猿飛満々子の自由な日々が爆発。周囲から問題人間と見なされる彼女のプーな生活。母と2人の成人した子どもとの距離感が絶妙。イラスト担当した辛酸なめ子の指摘した思考のひらがな率の高さも印象的。(やま)

珍しいキノコ舞踊団 / 3mmくらいズレてる部屋

2007年1月28日16:00 鎌倉芸術館大ホール 金沢初演の日豪合作の唯一の首都圏公演が実現。近場でキノコ堪能は嬉しい限り。トークなし大ホールで4000円は半値で充実の相模原と比べ不満残り、ホールでの公演はマンネリ感増幅。場所こだわり輝いた2004年の魂よ再…

ワワフラミンゴ / ドロップドンブラコ

2007年1月28日13:00 下北ファインホール 自然光効果的に会場使いこなし持ち味十分の50分。リアリティない退屈な日常がセンスよく描かれ女のコ演劇の極北。心地いい脱力感、職場の仲間が訪ねてきての行ったり来たりで笑い満載。窓開閉し外の音も味方に連勝。…

中野成樹+の短々とした仕事 / 冬眠

2007年1月27日18:00 STスポット 7日間の短い稽古期間で1時間未満の短い作品創る試み第1弾はチェーホフ「熊」をリーディングの手法で誤意訳し成功。中村たかしの借金取り上手い。斉藤範子の硬質台詞も印象的。劇団山縣家の父を従僕役で大胆起用。(やま)

劇団青い鳥(Laboratory Stage) / U.Z.K.夕月○〜ゆうづき〜

2007年1月27日14:00 THEATER/TOPS 北村想の書き下ろし新作上演はハムレット&ホームズをミックスし演劇論&現代批評が秀逸。若手4女優が重要な役どころ演じ健闘もパワー不足感否めず。芹川葛西天光の3本柱は魔女で冒頭と終盤のみ出演だが格の違い。(やま)

山田昌弘 / 新平等社会―「希望格差」を超えて

2006年9月15日初版 文藝春秋 格差問題の第一人者最新作は仕事、結婚、家族、教育など現実を多面的に捉え衝撃的。ニューエコノミーが出来した中流減少、パイプラインシステム崩壊が具体的本質的。パラサイト後も考察し震撼する日本社会の近未来。(やま)

KAKUTA / 甘い丘

2007年1月24日19:30 シアタートラム 丘の上のサンダル工場舞台に直球人間ドラマ描き動員増。四季で時間経過巧みに見せ、厳しい過去持つ人が集う楽しげな桃源郷という逆説。働く女たちの姿よく新入社の訳あり椿真由美&大枝佳織がいい。平日割引で2700円。(…

ゴキブリコンビナート / ガルガンチュア物語(ごきぶり名作劇場その3)

2007年1月22日20:00 リトルモア地下 ビニール敷き合羽配り3K恐怖復活。ルネサンス期ラブレーの大著はおしりのふき方発明等下品さ満点で場内クソまみれ。ラストで観客全員がビニールに包まれる展開に呆然。古澤祐介が関口宏化し暴走。娘役で遠藤留奈。(や…

三条会 / ひかりごけ

2007年1月21日14:00 ザ・スズナリ 武田泰淳の人肉食い事件扱った問題作を大胆再構築。学校舞台に朗読の設定で膨らみ生み、坊主男4人と女2人で意外な動き面白い。振付けて歌う野坂昭如「黒の舟歌」が効果的。ク・ナウカ的に演者と話者分ける試みも。(やま)

贅 / 煙の先

2007年1月20日14:00 ギャラリールデコ 板垣岩井瀧川の新ユニット第一弾はインプロ重視。毎日上演時間変える趣向でこの回は90分。台本から離れ具合い面白く内田慈のコンビニでの肉まん考察が最高。花屋での希少品万引きから展開する筋立ても遊び加減よし。(…

ケン・ローチ / 麦の穂をゆらす風

2007年1月18日10:45 渋谷シネ・アミューズ 1920年代、英国占領下のアイルランド舞台に発足間もないIRAの姿を中心に残酷なまでのリアリズムに震える。5国合作で文句なしのカンヌパルムドール。独立の戦争が内戦に変わる皮肉、兄弟を待つ厳しい運命が衝撃…

松竹INOUE KABUKI-MIX(新感染) / 朧の森に棲む鬼

2007年1月17日18:00 新橋演舞場 新感染5弾は染五郎がリチャード三世な悪のヒーローを迫力満点に演じる意欲作。得意の舌でライバル蹴落とし天下のし上がる展開で弟分の阿部サダヲが硬軟笑い満載に魅力爆発。中島かずき×いのうえコンビも実力発揮。(やま)

三池崇史 / 龍が如く 劇場版

2007年1月16日13:00 東映本社試写室 セガの人気ヤクザゲームが実写映画化。得意のグロさ封印し北村一輝をアンチヒーローにアクション満載のど派手エンタメ。宿敵で岸谷五朗が怪演。強盗カップルでサエコが抜群の存在感。怪しいM男で荒川良々も持ち味。(や…

TRASHMASTERS / TRASHMASTERSOUL

2007年1月15日19:00 駅前劇場 日中関係こじれる最悪の近未来描く右巻き作品に辟易。3時間の力作で大胆場面転換鮮やかもくどい設定説明に困惑。貧富格差拡がり荒川周辺隔離、中国人溢れる展開の荒唐無稽、無謀さに呆然。開演前DJToMu2枚使いは好感。(やま)

南河内万歳一座 / 百物語(再演)

2007年1月13日14:00 THEATER/TOPS 代表作再演は怪談もの。冒頭は従来テーストで役者ぎっしり。6畳一間部屋場面では窓の外に雨降らせ2人芝居にWキャストで対応し婚約者岡ひとみが機能。結婚控えた男が引っ越し当日に飛ぶ展開も小劇場らしい味わい。(やま)

絲山秋子 / エスケイプ/アブセント

2006年12月23日初版 新潮社 左翼活動に身を投じ人生棒に振った兄弟を2つの作品で描く双子小説。十年以上離ればなれな彼らが京都ですれ違う瞬間を捉えて見事。大胆な文体で描く「おれ」40歳の現在、旅先で出会う個性的な登場人物で味付け流石。(やま)

劇団未来劇場 / シャンテ ラ レビュー PART15

2007年1月12日19:00 新宿シアターモリエール 元祖ガーリー女王の水森亜土が可愛く歌いまくるレビュー企画が12年連続で実現。SKD風ダンス場面連続でジャネット曲使ったカツラ着用シーン素敵だが全体に髪引っ詰め系残念。江戸家まねき猫ゲストに演芸&コント用…

NODA・MAP / ロープ

2007年1月11日19:00 シアターコクーン 野田秀樹待望新作は戦争テーマ再び。戦場の現実に対する現代の鈍感さに対し生々しいプロレスの実況でベトナム戦争を再現。ロープ内ではすべて許される構造が戦場での殺人のアナロジー。宮沢りえの実況が戦慄的迫力。(…

西村賢太 / 暗渠の宿

2006年12月20日初版 新潮社 芥川賞候補の刺激的な前作からトーンダウンだが、併録の同人誌掲載旧作「けがれなき酒のへど」は抜群に面白く、圧倒的ダメ男が恋人欲しさに風俗嬢に入れ込む様を最低エピソード満載に圧巻。余計に新作の凡庸際だつ。(やま)

ゴキブリコンビナート / フランダースの犬(ごきぶり名作劇場その1)

2007年1月9日20:00 リトルモア地下 有名作を観客20人あまりの空間で上演する1時間。父=古澤がオマンキー演じるグレた息子に聞かせる名作の教訓。主宰エクアドルのパトラッシュがムチ叩かれまくり。ネロ等は女優陣がきれいに演じるも3K色しっかり。(やま…

梅田芸術劇場(演出:塚本晋也) / 哀しい予感

2007年1月8日14:00 本多劇場 吉本ばなな人気作舞台化は休憩挟み3時間の煌めき。映画俳優中心のキャストで何より出番多い大役を魅力的に演じた市川実日子が素晴らしい。廻り舞台徹底活用し実家や別荘など4場用意し豪華。飴屋法水の音響も秀逸。(やま)

危婦人 / 江波戸さんちのにぎやかな正月

2007年1月7日18:00 駅前劇場 畳敷き正月風味付け抜群、升席用意し菓子振舞う趣向嬉しい。3姉妹が迎える正月は、ザンヨウコが長女役巧みに人情コメディもユルさ感じさせず大成功。今林久弥&夏目慎也演ずる従兄弟の恋人2役で岩森康子が美女枠。(やま)

渡辺源四郎商店 / 素振り

2007年1月7日14:00 王子小劇場 畑澤聖悟の新作は素振りにまつわるエピソード集で燐光群「屋根裏」的も不馴れな実験色。コミカルな剣道など3場組み合わせも、野球部花形の挫折を残酷に見せた野球編よく、工藤静香演ずるマネージャーの告白グサリ。(やま)

蜷川実花、KATHY、草間彌生、篠山紀信、西野正将、他 / アイドル!

ART

2006年10月7日〜2007年1月8日 横浜美術館 テーマ面白いが内容伴わず物足りなさも。蜷川実花が一人がんばりサトエリや優香らの特大ポスターは秀逸。テーマとの関連性疑問だが西野正将のビデオインスタレーションも目立った。第2弾あれば池松江美、dodolookを…

ガブリエル・ガルシア=マルケス / わが悲しき娼婦たちの思い出

2006年9月28日初版 新潮社 川端康成「眠れる美女」に想得た筆者77歳の04年発表作。老作家が90歳の誕生日を14歳の処女と過ごす試みが意外な純愛へ発展。コラム執筆する日常導入巧みにラストの大団円まで人生賛歌、長生き万歳な楽観主義が結実。(やま)

シベリア少女鉄道+MARI / のだぬカンタービレ

2007年1月3日17:00 フジテレビ本社1Fマルチシアター(お台場SHOW-GEKI城) 2度改題しての16.5回公演は1時間強でコンパクト。舞台の制約もきっちりシベ少風で星泉的ヤクザのお嬢様=千秋を篠塚茜が好演しMARIの存在感は希薄化。効果音多用し土屋ダクトで…

はえぎわ+水崎綾女 / ニルバウナ

2007年1月3日15:00 フジテレビ本社1Fマルチシアター(お台場SHOW-GEKI城) 電撃引退するカリスマアイドル役で水崎綾女が主演し水着で歌まで披露するも不気味な巨頭かぶり魅力半減。Jポップ漬け男との別れ丁寧に描くもムダな場面多く破綻。完成度の低さ致…

五反田同門会(新年工場見学会2007)

2007年1月2日19:00 アトリエヘリコプター 1000円へ値下げしての4年目の見学会は能のニセモノに挑戦。黒田大輔キャラ生きた「黒田節講」秀逸も3本は多いか。「蝦渋谷」で菊川朝子は健闘。嘘の解説はクドさも。演奏時の進行演出と旧作公演なくなったのは残念。…

バズノーツのマクベスPPR

2007年1月2日14:00 こまばアゴラ劇場 待望の旗揚げ作はチェル的、シベ少的、地点的に小劇場の先端を積極採用し次へ導く増田理の野心作が会心。4人の役者が紙めくり出た役を次々演ずる仕組み、演出家も端で指示を出す「演劇」の虚構と現実の往来が見事。(や…