2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

阿部和重 / クエーサーと13番目の柱

2012年7月4日初版 講談社 著者のモ―ヲタ経験生きたパパラッチ作が大成功。アイドル追いかけ淡島通りや多摩堤通りなど世田谷の地理詳細に描き臨場感。グループ内の人間関係、怪しい仲間のキャラ立ちよく、ダイアナ妃の交通事故詳細も効果的。

本能中枢劇団 / 雲と雪のつなわたり

2012年8月26日15:00 こまばアゴラ劇場 年1作の西島明&山田うんユニット新作は80分でも2回休憩挟む構成で不条理な笑い満載。男子同窓会ネタで佐藤真弓演じた社長が最高で「皆まで言うな」キマる。大根役の吉原朱美が中心守る。ダンス場面充実も奏功。

M&Oplaysプロデュース / 鎌塚氏、すくい上げる

2012年8月25日14:00 本多劇場 倉持裕の作・演出作は三宅弘城が完璧なる執事演じ面白さ抜群。令嬢役を満島ひかりがやんちゃに演じかすれ声新鮮。入れ替わる女中で市川実和子が女子力絶妙。広岡由里子に六角精児と脇ばっちりでウェルメイドさ感嘆。

シアターコクーン・オンレパートリー+大人計画 / ふくすけ

2012年8月24日19:00 シアターコクーン 代表作3演は狂気マス役に大竹しのぶ起用し筋立て明快。フタバで多部未華子躍動。毛皮族活躍でレズネタ楽しい。鬼畜の劇伴が奏功。ショーアップ華麗だが古田新太が不完全燃焼。コオロギ役で松尾スズキ外れ毒気後退。

少年王者舘 / 累―かさね―

2012年8月18日14:00 ザ・スズナリ 「怪談累ヶ淵」モチーフの新作は四三郎役でヨーロッパ企画の中川晴樹がコメディエンヌぶり発揮。惨殺目撃も実は自ら手を汚していた恐怖もコミカルに得意のリフレイン奏功。あらすじ等載せた当日パンフ遊びも嬉しい。

本谷有希子 / 嵐のピクニック

2012年6月27日初版 講談社 13のアウトサイド短編集は猿主役作まで盛り込む多彩で成功。授賞式での深刻な動揺を描いた亡霊病は症状解説も効果的に出色の出来。恋愛相談マスターなモデル描くQ&Aも迫力。女性管理職が暴走会議も楽しい。

チェルフィッチュ / 女優の魂

2012年8月17日20:00 STスポット 小説舞台化の佐々木幸子独り芝居が出色の45分。役奪われた共演者に殺された女優の過去と現在語って興味津津。ティッシュ投げて揺らして変な動き満載で興奮。美大モデル時代のエピソード巧く自殺者との会話も新鮮。

ロリータ男爵 / はんぶん隠し味

2012年8月16日19:30 OFFOFFシアター 4年ぶり公演は姨捨山の喫茶店舞台にバカミュージカル爆走。ヒロイン出汁役で佐伯ちさ子好演。カニでも小鳥のピッピで鈴木アメリが明るくチャーミング。丹野晶子が新人社員熱演も猫カフェでキャッツな展開は過剰感。

トバズニハ(総合演出:伊藤キム、共同演出:棚川寛子、楠原竜也)

2012年8月14日19:00 シアタートラム 中1から高3まで伊藤キムの呼びかけで結成のユニットが躍動した奇跡の1日のみ公演に震える。前衛的な導入もMCでギミックばっちり、ファットボーイスリム流し大詰めは横の動きキマり、飛んで弾けカタルシス抜群。

森健 / 「つなみ」の子どもたち 作文に書かれなかった物語

2011年12月10日初版 文藝春秋 大宅賞受賞作は津波の被害受けた子どもたちの作文を元に家族の震災前後の生活を丹念に拾い圧倒的臨場感。親と子の現実的な悩みが日常風景や過去の掘り下げとともに描かれ興奮。明るく健気に振る舞う小中学生に感涙。

ロロ / 父母姉僕弟君

2012年8月9日19:30 王子小劇場 旅する家族描く新作は亀島一徳キッドと同乗者たちとの出会いと別れ描き成功。「ウイアーザワールド」熱唱からがシフトアップ。合奏素晴らしく壁作っての大詰め白眉。島田桃子ヒロインいいが再婚相手の望月彩乃輝く。

クロムモリブデン / 進化とみなしていいでしょう

2012年8月6日19:30 赤坂RED/THEATER 佐藤みゆきらゲストに迎えた新作は警察の暴走描いて前公演の続編の趣き。オウム逃走犯もモチーフに自称村上春樹の小説指南で奥田ワレタ演じた引きこもり少年の妄想爆発も説得力。多彩な動きで演出したラストが圧巻。

岡崎京子 / RUDE BOY

2012年7月18日初版 宝島社 幻の長編2本初単行本化は89〜90年連載の表題作が音楽規制される近未来都市舞台に岡崎節炸裂。84年の漫画ブリッコ連載「爆裂女学校」はレア度抜群。ワープロ書体の初期作風味での下北沢高校時代ネタ興味深い。

あひるなんちゃら / ニアニアフューチャ

2012年8月5日15:00 駅前劇場 元チーム下克上の篠本美帆をボケな主役に近未来の女2人暮らしの日常描き流石。進行役に徹した黒岩三佳と三瓶大介笑え、つっこみ役で何気に大活躍な同居人を異儀田夏葉好演。入籍後即後悔カップルの根津茂尚楽しい。

鹿島田真希 / 冥土めぐり

2012年7月30日初版 河出書房新社 芥川賞受賞作は四肢悪い夫との豪華ホテル旅行描き凄み。富裕な過去に囚われる母と弟しつこく、特に弟の糞ニートぶり強烈。併録「99の接吻」は谷根千舞台に姉3人を観察する妹の愛情コミカル。下町な小道具効果的。

ミナモザ / 国民の生活

2012年8月3日15:00 SPACE雑遊 現代を巧みに表現した4作オムニバスが奏功。FXの狂気、デートクラブ、生活力のない男、そして反原発デモとシニカルに展開し見事。カネを取らない女で志水衿子好演。背景に置いた生活道具たち楽しく本棚興味深い。