2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

沢木耕太郎 / キャパの十字架

2013年2月15日初版 文藝春秋 Nスペでも特集あったキャパの「崩れ落ちる兵士」の謎に迫る新作は解明に紙幅使い過ぎ残念だが読みやすい章立て嬉しい。ゲルダの魅力、キャパのその後も興味深い。何より筆者のスペインや米国行きが紀行文的面白さ。

ピンク地底人 / ココロに花を

2013年5月31日19:00 王子小劇場 注目集まる京都系劇団新作は俳優たちが作る効果音にオリジナル感じても眠気誘うばかり。何より連続絞殺事件、意識を失った人たちの話がつまらない上に、わかりにくく交錯し逆効果。男優陣中心に演技も単調で厳しい。

ロロ / ミーツ

2013年5月26日14:00 こまばアゴラ劇場 コーヒー缶を夫と思い生きた母と子、その友人軸の物語も展開粗く前半は厳しいが、タクシードライバーのBGM効果的で、ピーターパンナちゃん導入も見事。伊東沙保の母よく終盤見せ場多く缶積み上げる名場面に感涙。

川上未映子 / 愛の夢とか

2013年3月29日初版 講談社 7小説集めた短編集は様々な試み見せながら完成度高め。特に群像と新潮掲載2作が秀逸で、愛する庭を奪われた老女の切ない暴走描くお花畑自身の結末に驚愕。死してなお部屋に残り夫の姿を追う十三月怪談の終盤白眉。

いやむしろわすれて草(作・演出:前田司郎)

2013年5月18日14:00 青山円形劇場 若草物語モチーフの傑作3演はヒロイン三女役で起用の満島ひかりが抜群の演技で圧倒。病院に独り残される場面で地震発生も耐えて凄み。八百屋の父親役で志賀廣太郎が不動の安定感。四姉妹の会話シーン笑い生み成功。

冬川智子 / 深夜0時にこんばんは

2013年4月30日初版 太田出版 深夜ラジオを聴く人たちの日常の悩みを交互に描いて佳作。イラストレーターのカホの地味な片思いがリアル。静岡の中学男子の純情とはがき職人への憧れも微笑ましい。団地の主婦による劇団主宰DJとの思い出上手い。

三条会 / 三人姉妹

2013年5月11日14:00 ザ・スズナリ チェーホフ戯曲初挑戦は透明壁用意し得意の異化演出前面も技に溺れた印象。期待の劇伴も80年代ヒット曲嬉しいが「砂の女」のアニソン的意外感なし。終盤の椅子並べて演出家も登場する場面いいがギミック不足感も。

山田詠美 / ジェントルマン

2011年11月25日初版 講談社 完璧な博愛主義者ながら裏では強姦など犯罪繰り返す漱太郎への夢生の思い軸にインモラルで刺激的エピソード満載に読ませ野間文芸賞も納得。新宿のゲイカルチャー盛り込み、主観と客観の2つの文体使った創作も見事。

渡辺源四郎商店 / オトナの高校演劇祭「修学旅行〜TJ-REMIX Ver.」

2013年5月6日13:00 ザ・スズナリ 沖縄への修学旅行をイラク開戦時の国際関係暗喩に描く畑澤人気作を多田淳之介が見事にリメイク。実年齢読み上げる卒業式から始まる展開流石。工藤由佳子のノミヤ素晴らしい。枕投げで畳めくり焦土となるラスト圧巻。

渡辺源四郎商店 / オトナの高校演劇祭「河童〜はたらく女の人編」

2013年5月5日19:00 ザ・スズナリ 多数の高校生が詰めかけ畑澤の作・演出でリメイクだが大人の役者でOL編に変えても素舞台で陳腐さ目立つ。ベタな笑い多く、クラスの人気者が河童になる展開も料理できず。記号化しないグロテスクなメイクは空振り。

サスペンデッズ / エレノア

2013年5月1日19:30 駅前劇場 ピッコロ提供作のリメイク公演は不動産屋舞台の悲喜劇で抜群の完成度。過去ある社長の新妻をともさと衣が魅力的で昔の男との思い出のダンス場面秀逸。ダメ社員の佐藤銀平笑える。失踪した父語る姉で野々村のん好演。

レミング〜世界の涯まで連れてって〜(作:寺山修司、台本:天野天街、台本・演出:松本雄吉)

2013年5月1日14:00 PARCO劇場 寺山人気作で夢の顔合わせ実現は、ハ嶋智人&片桐仁の小芝居で笑わせる場面も用意しサービス満点。内橋和久の音楽も使い維新派節披露でも屋内で世界観発揮できず半端感。常盤貴子と松重豊は出番抑えめで贅沢な印象。