台風23号(作・演出:赤堀雅秋)

2024年10月17日13:00 THEATER MILANO-Za
海岸町舞台に住人たちの日常描く群像劇が大成功。役所とスナックの間の石段を中央に据えた舞台よく、ダメンズ母を秋山菜津子好演だが、娘役の伊原六花が魅力爆発。森田演じた宅配男が哀感。佐藤B作の出演も嬉しい。

玉造小劇団 / 僕と私の遠い橋

2024年10月13日13:00 シアター711
わかぎゑふ新作は天界で一人の少女と阿弥陀様の出会いから始まる転生の軌跡。いくつもの人生たちで近現代史をなぞり、時代背景の取り込みで持ち味発揮。ややチープな印象も老舗劇団らしくベテラン役者多めで迫力。

チェルフィッチュ×藤倉大withアンサンブル・ノマド / リビングルームのメタモルフォーシス

2024年9月29日14:00 東京芸術劇場シアターイース
23年にウィーンで初演の話題作の日本初公演が実現。丘の家の賃貸契約を一方的な破棄される家族に起こる悲劇を描いて、終盤に不条理な展開から抽象度増すが、6人の役者と7人の演奏者の融合が奏功し新鮮な味わい。

小林エリカ / 彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!

2024年2月29日初版 筑摩書房
マンガと小説両方手掛ける注目作家の新作は、伊藤野枝マタ・ハリヴァージニア・ウルフら、時代と戦った女性たちに関する28のプロフィール集。フェミニズム的切り口も鮮やかに各章での自作のイラストも効果的。

ヨーロッパ企画 / 来てけつかるべき新世界

2024年9月22日13:00 本多劇場
岸田受賞作再演はドローン飛ぶ近未来の新世界舞台に古臭い人が新技術に出会う構造秀逸。串カツ屋女主人で藤谷理子座長見事。ダメ父で板尾好演。岡田義徳が飛田通いの純な理髪店主でいい味。野良ロボット活用も巧い。

松永K三蔵 / バリ山行

2024年7月29日初版 講談社
芥川賞受賞作は転職した建装会社での切実な日常描いて抜群の臨場感。下請けとなる社長の決断が災いし苦境に陥る職場の雰囲気描写が絶妙。登山道以外のルートで六甲登山を繰り返すMEGADETHさんの存在が最高。

押見修造 / おかえりアリス

2020年10月~23年10月 講談社少年マガジンKC)
問題作連発の押見新作は全7巻で描く倒錯劇。「ぼくは麻里の中」同様に結末微妙でも前半ぐいぐい飛ばす展開に興奮。TSF的要素も名人芸の域。室田慧と三谷結衣の圧倒的存在の前に内気な少年が翻弄される様が圧巻。