ロロ / はなればなれたち

2019年6月26日14:00 吉祥寺シアター

豪華布陣で臨む10周年作は板橋駿谷「なつぞら」出演効果あり連日完売の大成功。ヒロインに森本華据え演劇活動に勤しむ若者美しく、客演の曽我部恵一「うん」の台詞と劇伴も効果的。劇中劇「わが星」も完成度高め。

ある編集者のユートピア 小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校

2019年4月27日-6月23日 世田谷美術館

晶文社の草創期支えた編集者の小野二郎中心とした展示は平野甲賀植草甚一作品を多数並べて往時の勢い体感でき興味深い試み。義理の弟の高平哲郎の存在感も抜群、世田谷村も興味深く70年代の第一級サロンに憧憬。

スペースノットブランク / すべては原子に満満ちている

2019年6月19日19:30 こまばアゴラ劇場

ヌトミック系ユニット新作はポテンシャル感じるも陳腐な台詞や動きも多く退屈至極で大失敗。ステージに横たわる動きやラスト中心に照明の使い方や近藤千紘ら足振り上げての発声などに新味あり、成熟後に再見したい。

森功 / 地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団

2018年12月14日初版 講談社

五反田の老舗旅館舞台に積水ハウスから55億円を騙し取った地面師たちの様々な手口を複数事件から明らかにして会心。都心の高額物件相続した者の入院したタイミング狙うなど巧妙。立件も意外に難しい実情にも驚嘆。

ラッパ屋 / 2.8次元

2019年6月13日19:00 紀伊国屋ホール

苦境に喘ぐ老舗劇団がイケメン客演使い2.5次元ミュージカル挑戦する筋立てで、理想とのギャップに苦しむ展開うまい。演劇モチーフに稽古の実際見せ歌に踊りも挑戦だが、歌唱力抜群の豊原江理佳の助っ人ぶり見事。

KERA・MAP / キネマと恋人

2019年6月12日13:00 世田谷パブリックシアター

Wアレン「カイロの紫のバラ」を昭和初期の小島に舞台を変えた好評作再演は妻夫木演じた喜劇役者の出演する時代劇が強烈で全体にベタ感覆うも緒川&ともさかの姉妹の造形うまく、おかしくも哀れで切ない後味が秀逸。

塩田武士 / 歪んだ波紋

2018年8月7日初版 講談社

誤報にまつわる5つの物語は関西の地方紙やネットメディアの記者たちの苦闘を描き見事な仕上がり。現実の事件や事象も巧みに交え、各エピソードつながる展開に感嘆。誤報に運命を狂わされる人々も詳述し恐さも抜群。