ヤマザキマリ、とり・みき / プリニウス

2014年7月‐23年7月初版 新潮社(バンチコミックス)
2000年前のローマ舞台に「博物誌」著したプリニウスやネロなどの生き様描く意欲作が全12巻で完結。「新潮45」から「新潮」へ掲載誌移しつつ圧倒的な描写力維持。地中海沿岸諸国進む一行のキャラも立ち成功。

ろりえ / 下北沢の駅前でやる祭り2023夏(「かわいい妹」「ネタ書いてる方芸人とラストイヤーイマジネイションズ」他)

2023年8月27日14:00 駅前劇場
祭りというだけあり盛りだくさん大増量オムニバス公演。不気味な花火の一夜描く福名理穂の新作いいが、崖っぷち芸人たち描く奥山雄太新作が素晴らしく荒井玲良の魅力爆発。歌手でも登場の安藤理樹の多才ぶりに感服。

川上未映子 / 黄色い家

2023年2月25日初版 中央公論新社
孤独な少女の稼ぐことへの執着と闘い描き圧倒的スピード感。黄美子さんと出会い、三茶でスナック始める展開見事で、同世代3人での共同生活も臨場感。90年代後半の時代性も映すノンストップなノワール小説に興奮。

市川沙央 / ハンチバック

2023年6月30日初版 文藝春秋    
芥川賞受賞作は重度障害者の激しい思い叩きつける衝撃作。グループホーム所有し財産面で恵まれてもエロライター仕事に精を出す主人公の釈華の暴走強烈でヒリヒリする展開。ネット住人の振る舞い巧みに描く力量見事。

NODA・MAP / 兎、波を走る

2023年7月4日19:00 東京芸術劇場プレイハウス
高橋一生人気過熱公演はアリス、ピーターパンから始まる異世界への旅。三里塚よど号から北朝鮮へ、松たか子が娘待つ親好演。不条理劇と謳うも時事的切り口強め。大倉&野田で演じた劇作家2人の作家性強烈で笑い。

石井幸孝 / 国鉄――「日本最大の企業」の栄光と崩壊

2022年8月25日初版 中公新書
JR九州社長務めた著者による詳細な38年の歴史に興奮。ディーゼル車の技術的解説難解も国鉄内部の興味深いエピソード満載。国会承認必要な公共企業体の限界、労使問題も触れて、JR三島会社の難しさ指摘も鋭い。