2007-01-01から1年間の記事一覧

メジャーリーグ+庭劇団ペニノプロデュース / 野鳩

2007年11月29日19:00 シアター1010ミニシアター 舞台に森を設けてイプセンの描く悲劇を直球勝負が成功。手塚とおるの役者魂が炸裂し、嫉妬にかられ堕落していく夫を好演。娘役の鎌田沙由美も愛らしさ抜群。理想を押しつける男に現代の悲劇的国際関係も重なり…

危婦人×アトリエタンタン / これも、愛。それも、愛。

2007年11月25日13:00 ギャラリールデコ3 企画ものの自由さを積極活用し岸田國士「チロルの秋」を大胆リメイク。観客全員に原作戯曲配り、その組替え箇所、変更点がわかる仕組みが新味。タンタン作品を背景に、欧州舞台の恋愛ドラマが味わいたっぷりに展開。…

OPAP / ゴーストユース

2007年11月24日14:00 PRUNUS HALL 岡田利規が作・演出した新作は19人の桜美林大生で生み出す35歳女性の平凡な日常。同じ設定を複数組で演ずる繰り返し系新境地。隠し舞台設け映像使う手法も一層進化。夫、友人との会話で描く子育ての日々がじっくり。(やま)

道学先生 / デンキ島-白い家編

2007年11月23日14:00 THEATER/TOPS 作・演出に迎えた蓬莱竜太の代表作シリーズでカサブランカ。かつての同級生たちの現在の姿を描く必殺骨太パターンで成果。漁師の坂本シンヤを山本亨が渋く決めたほか、かつてのマドンナを三鴨絵里子が哀感きっちり。(やま…

柿喰う客 / 傷は浅いぞ

2007年11月18日14:00 王子小劇場 4人にキャスト絞り現実感ゼロのバラエティ番組が展開し低調。深谷由梨香のNGゼロアイドルぶり、制作田中沙織のコスプレぶりは見事。トークゲストの小指値=篠田千明の毒舌最高で、当公演チラシにもダメ出し痛快。(やま)

下岳真也 / 生涯野人―中江兆民とその時代

2007年6月15日初版 作品社 中江兆民の生涯を各時代バランスよく描き網羅性十分。土佐、上京しての仏語塾時代、渡仏、東洋自由新聞に自由党員時代、そして晩年。色恋話の導入は強引な感も、愛弟子の幸徳秋水との交流をしっかり描いた点は収穫。(やま)

桟敷童子 / 博多湾岸台風小僧

2007年11月11日14:00 吉祥寺シアター 若手を積極起用の吉祥寺シアターに初進出は旧作2本の再演。会場を見事に桟敷風に作りこみ、林の中感覚。博多湾に臨む墓陰長屋を舞台にマッチ工場を抜け出した女工も交え弱者たちの奮闘を描いて荒削りな魅力を披露。(や…

KIKIKIKIKIKI、遠田誠+JOU、co.co.yo、山田知美 / 踊りに行くぜ!!vol.8

2007年11月10日18:00 茅ヶ崎市民文化会館小ホール 小学生の一群が最前列陣取る茅ヶ崎公演第2弾は魅力的な布陣。遠田&JOUの「六つゴト」楽しくワインなどの仕掛けも最高。茅ヶ崎選出の女性3人組cocoyoも若きパワー炸裂。京都KIKIは定番サカリバ披露。(やま)

五反田団+演劇計画2007 / 生きてるものはいないのか

2007年11月5日19:30 こまばアゴラ劇場 京都芸術センターとの合同作品は「ノーバディ」の拡大増強版。好演した八時半長沼久美子等18人の出演者が謎の病気で人がバタバタ死ぬコメディが完成形。とくに冒頭の喫茶店での男女3人のコミカルな修羅場が圧巻。(や…

タテヨコ企画 / うそつきと呼ばないで

2007年11月4日19:00 経堂・Galeri KATAK KATAK 舞台背景に一般道を巧みに取り込む試みが奏功。宅配便トラックとともに出演者が往来する動き自然にみせ、主を失ったギャラリーに集う者たちの偏執的なまでの思い、亡き芸術家とのスキャンダルも交えじっくり見…

松竹(演出:マキノノゾミ) / ナツひとり-届かなかった手紙-

2007年11月4日11:30 新橋演舞場 NHKドラマ「ハルとナツ」でブラジルに行けずに残されたナツを仲間由紀恵が14歳から76歳まで熱演。北海道時代が驚異的可愛らしさ。昭和史巧みに織り込む演出は成功。生瀬勝久が初恋相手であるインテリ農大生と好待遇。

維新派 / nostalgia <彼>と旅をする20世紀三部作 #1

2007年11月3日18:00 彩の国さいたま芸術劇場大ホール 20世紀初頭のブラジル移民を描く三部作1弾はため息出るイメージ豊かな名場面の連続。奥行きも十分にサトウキビ畑や工場、物干し場などの舞台も想像力掻きたてる。内橋和久の魅力的な音楽にアンサンブル…

坂本龍一+高谷史郎 / LIFE−fluid,invisible,inaudible…

ART

2007年9月15日-11月4日 ICCギャラリー 薄暗い空間に横たわる観客の姿に圧倒される天井水槽インスタレーションが心地よさ抜群。嬉しい鑑賞姿勢の提案。寝ころんで眺める坂本龍一の音と高谷史郎の映像のコラボ。絶え間ないゆらめき、波動にまどろみ、酔う。

たとえば野に咲く花のように アンドロマケ(作:鄭義信 演出:鈴木裕美)

2007年11月3日13:00 新国立中劇場 ギリシャ悲劇を戦後の北九州ダンスホール舞台に4角関係。七瀬なつみ、田畑智子、永島敏行、山内圭哉が愛する者に愛されない悲劇描くが全体コメディ風。朝鮮戦争スパイスに巧みな台本も全体に大人しく物足りなさも。

燐光群 / ワールド・トレード・センター

2007年11月2日19:00 ザ・スズナリ 9月11日のテロ当日の日系メディアのニューヨーク事務所を舞台に現地スタッフのドタバタ描いたコメディでやや脱力。日本人にとってのワートレの意味考察も。羊屋白玉な日本人演出家登場、あの「LONG DISTANCE LOVE」の興奮蘇…

表現・さわやか / ポエム

2007年11月1日19:30 駅前劇場 池田鉄洋が脇役に徹し柳沢ななをヒロインに佐藤貴史との純愛ストーリー。とはいかず、やはり脱線連発の頭ぽっかーんなコント集。特にいけだしん&村上航が限界突破の激烈キャラ披露。佐藤真弓のセミ役も健気で好感。(やま)

岡崎藝術座 / オセロー

2007年10月28日14:00 こまばアゴラ劇場 シェイクスピア悲劇を大胆にアートに消化し見事なカオス創造。デズデモーナに白人女優、オセローに浅野千鶴と浜口寛子の2人配する大胆編成。舞台中央に布団とラジカセ、米が炊かれ、自転車が走り回る異空間に興奮。(…

ミナモザ / 0.7+0.5≠1.0+0.2

2007年10月27日19:00 サンモールスタジオ 亡き画家の美術館に迷い込んだ少女に起こるホラーはやや低調。抽象舞台グルグル回り彷徨い、誰が味方かわからない不安定な展開いいが、逃げ惑う様がベタな演出で処理され陳腐。川島早貴降板痛いも佐藤友美が存在感。…

乞局 / 陰漏【劇場版】

2007年10月27日14:00 アトリエヘリコプター 家主を失い遺留品散乱するアパート部屋舞台にカルト集団の活動絡め不気味感抜群。60年代の設定で古びた空間が効果的。岩本えりが新局員。自殺した男の相手役で木引優子と墨井鯨子が好対照。台風到来で雨音も印象的…

柴田哲孝 / 下山事件 最後の証言 完全版

2007年7月 祥伝社文庫 事件に深く関与した亜細亜産業関係者を身内にもつためにつかめた貴重な新事実、新情報が満載。過去文献もふんだんに決定版的も、推理力、論理展開が雑。三菱関連は説得力欠くも、CIA、満州関連では迫力あり興奮。(やま)

ペンギンプルペイルパイルズ / ゆらめき

2007年10月22日19:00 吉祥寺シアター 告白された妻への嫉妬から妄想を膨らます夫の姿をシニカルに描き本領発揮。疑われた男が弁明に現れ複雑化する展開も病的で倉持風味。妻役で坂井が女優魂、ぼくもともコミカルにリアル。悪女役の内田慈も雰囲気十分。(や…

時間堂 / 月並みなはなし

2007年10月21日14:00 王子小劇場 月へ行く者選抜する話し合いを緻密な構成の好評作が再演。論理的に落選者選ぶ展開刺激的で見事。長身女優のこいけけいこが我の強いキャラで頭角。ビートルズ男が再演にあたり学生から国会議員変更はリアリティ後退。(やま)

三角フラスコ / 星屑とボタン

2007年10月20日14:00 こまばアゴラ劇場 地方拠点の劇団の限界を露呈するような凡庸退屈な作品で失敗。取り壊される団地と壊れる夫婦2人の関係など描くも抽象的でつかみとなるエピソード欠き空回り気味。ありそうな狙いも伝わらず地味な舞台も逆効で残念。(…

cube / 犯さん哉(作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ)

2007年10月18日19:00 PARCO劇場 古田新太座長がパンツ一丁で不気味に怪演しナンセンス追求。人気作家の子供時代と現在を交互に描くも大舞台生かさない戦略は空振り。大倉孝二&犬山イヌコがケラ世界を体現し笑い創造。中越典子も喜劇へ覚悟見せた。(やま)

毛皮族 / おこめ

2007年10月16日19:00 本多劇場 戦前前後の農村を舞台に悲劇的人生送る娘を町田マリー、連続暴行魔となる息子を米村亮太朗のエロキャラ使い展開も雑なプロットで失敗。が、番外編が素晴らしく007の各作品とスチュワーデス物語のパロディが炸裂。(やま)

錦秋演舞場祭り十月大歌舞伎(平家女護島・俊寛/連獅子/人情噺文七元結)

2007年10月16日11:00 新橋演舞場 勘三郎が3本すべて出演する奮闘ぶり。海女千鳥で七之助が楽しい女形披露。親子での連獅子に続いて山田洋次補綴の文七元結に感涙。勘三郎が楽しく間抜けに人情味厚い左官長兵衛を好演。お久=芝のぶは納得の可憐さ。(やま)

アートン+まつもと市民芸術館 / ティンゲル・グリム〜眠れぬ森のおどけ奇譚〜

2007年10月14日14:00 にしすがも創造舎 串田和美(演出・構成)&宇野亜喜良(美術・衣装)で挑んだグリム作品集は工夫足りず低予算仕事への不慣れ感も。かわいくて残酷な世界をプレイライターも兼務した高泉淳子が熱演。要所で市川美和子も抜群の存在感。(…

MCR / マシュマロ・ホイップ・パンク・ロック

2007年10月13日15:00 ザ・ポケット 黒岩三佳&生見司織らあひるなんちゃらな豪華キャスト使うもユルいコメディで残念。見知らぬ男女の感覚が入れ替わる悲喜劇で性的エピソード満載だがベタ過ぎ。高橋優子&篠本美帆の下剋上チームの掛け合いが笑えた。(やま…

キャバレー(日本語台本・演出:松尾スズキ)

2007年10月11日19:00 青山劇場 都会的で猥雑なBフォッシーと相性よく圧巻ミュージャカル完成。阿部サダヲがMCで弾け、ヒロイン松雪泰子も好演だが、中年カップルの小松和重&秋山菜津子が楽しくも残酷な運命を見せて出色。康本雅子が振付&3役。(やま)

西山太吉 / 沖縄密約―「情報犯罪」と日米同盟

2007年5月22日初版 岩波新書 外務省の機密漏洩事件で有罪判決を受けた著者による渾身の一冊は沖縄返還を巡り佐藤内閣が米国の要求の全面的に受け入れ密約を繰り出す様を詳細に描き圧巻。現在の沖縄基地移転問題につなげ日米関係のいびつさ強調。(やま)