2017年1月30日初版 朝日新聞出版社
朝日新聞連載作は33歳独身女性のおひとりさま日々面白く、ノゾミ先輩のキャラ素晴らしい。料理貰いに来る多田くんとの交際もユニークでいいが、肝心の自身の中に棲むAの存在微妙。終盤飛行機内描写はくどく冗長。
飴屋法水 / 彼の娘
2017年8月25日初版 文藝春秋
子育てというより娘と過ごした10年の詳細な記憶。くんちゃんの乳児期からの粗い画像のグラビア豊富に挟んでドキュメント小説の新機軸。会話一つ一つに瑞々しさ抜群で、靴履かずに外出認める異色の子育てぶり興奮。
村上春樹 / 騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編
2017年2月25日初版 新潮社
戦中の雨田兄弟に起きた悲劇描き謎を追求する展開は伊豆の病室から始まる異界への冒険譚でらしさ増す。終盤少女まりえ軸の空白の日々回想も面白く、その後の日々描いた64章ですべて決着つき、3部刊行期待薄れる。
上原善広 / 路地の子
2017年6月15日初版 新潮社
大阪の更池で生まれ育った父の半生描く意欲作は食肉業で成功する過程面白く、上原龍三のキャラ強烈で、身内の交友関係も赤裸々に描いて迫力。往時の屠場の雰囲気や実情も詳述され、同和利権の構造も解き明かし興奮。