城山羊の会 / 埋める女

2018年12月11日19:30 ザ・スズナリ
活動休止公演はトラック運転手役の岩谷健司がモテまくる不条理コメディで大成功。暗転時の音声のずらしなど実験精神面白い。悲惨な生い立ち妄想する娘役の福井夏新鮮。バブルな電通社員妻で母役の坂倉奈津子も魅力。

石井暁 / 自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体

2018年10月16日初版 講談社現代新書
共同通信記者による防衛省幹部への執拗な取材で見えた「別班」の実像。タブーである海外活動も執拗に追究し興奮。何度も飲みの場を設定し情報を引き出す手法、デスク役とのやり取りなど舞台裏も興味深く迫力の一冊。

村田沙耶香 / 地球星人

2018年8月30日初版 新潮社
傑作「コンビニ人間」来の芥川賞受賞第一作は、生産性重視する人間工場と対峙する奈月の暴走する半生描いて衝撃的。新潮45問題彷彿の時代性も抜群。幼少時の長野秋級に親戚集うエピソード秀逸だが、仮面夫婦同士でポハピピンポボピア星人化した終盤の過激すぎ疲弊。

山本さほ / 岡崎に捧ぐ

2015年5月-18年10月初版 小学館ビッグスペリオールコミックス
横浜線沿線舞台に同級生の岡崎さんとの交遊軸に自身の半生描いた傑作マンガが全5巻で完結。90年代ゲーム文化描いて時代感抜群。問題家庭、美大受験やモラトリアム、ブラックな職場も上手に作品に載せて心えぐる。

星野智幸 / 焔

2018年1月30日初版 新潮社
谷崎賞受賞作は各誌に書いた9つの短編を輪になり話聞く流れに乗せて一本化。恐すぎる近未来を生きた者たちのホラーなエピソードの数々に震撼。妄想過剰な話あるが、現代に見え隠れする生きにくさを巧みに描き成功。

KERA MAP / 修道女たち

2018年11月6日19:00 本多劇場
迫害受ける宗教信仰する修道女たちの悲劇に感服。「神々と男たち」女性版の印象も厳しい規律に悪戦苦闘する様がコミカルで愛らしく、ラストの魂の列車登場にガツンと感涙。絶妙な関係演じた鈴木杏緒川たまき見事。