オカヤイヅミ / ものするひと

2018年3月-19年6月初版 KADOKAWA BEAM COMIX

現代文学界モチーフの異色作が全3巻で完結。警備の仕事の傍ら執筆活動続ける様はリアルだが日常はもちろん展開も地味すぎ。主人公の書く小説も魅力薄めで一段掘り下げ欲しい。滝口悠生との特別対談よし。

今村夏子 / むらさきのスカートの女

2019年6月30日初版 朝日新聞出版

近所に住む「むらさきのスカートの女」と、彼女を追いかける「わたし」2人の狂気描き一気読み必至の傑作。ホテル清掃の職場の人間関係など詳細も面白く圧巻。終盤「わたし」の存在明らかになる展開も不気味で見事。

ロロ / はなればなれたち

2019年6月26日14:00 吉祥寺シアター

豪華布陣で臨む10周年作は板橋駿谷「なつぞら」出演効果あり連日完売の大成功。ヒロインに森本華据え演劇活動に勤しむ若者美しく、客演の曽我部恵一「うん」の台詞と劇伴も効果的。劇中劇「わが星」も完成度高め。

ある編集者のユートピア 小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校

2019年4月27日-6月23日 世田谷美術館

晶文社の草創期支えた編集者の小野二郎中心とした展示は平野甲賀植草甚一作品を多数並べて往時の勢い体感でき興味深い試み。義理の弟の高平哲郎の存在感も抜群、世田谷村も興味深く70年代の第一級サロンに憧憬。

スペースノットブランク / すべては原子に満満ちている

2019年6月19日19:30 こまばアゴラ劇場

ヌトミック系ユニット新作はポテンシャル感じるも陳腐な台詞や動きも多く退屈至極で大失敗。ステージに横たわる動きやラスト中心に照明の使い方や近藤千紘ら足振り上げての発声などに新味あり、成熟後に再見したい。

森功 / 地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団

2018年12月14日初版 講談社

五反田の老舗旅館舞台に積水ハウスから55億円を騙し取った地面師たちの様々な手口を複数事件から明らかにして会心。都心の高額物件相続した者の入院したタイミング狙うなど巧妙。立件も意外に難しい実情にも驚嘆。

ラッパ屋 / 2.8次元

2019年6月13日19:00 紀伊国屋ホール

苦境に喘ぐ老舗劇団がイケメン客演使い2.5次元ミュージカル挑戦する筋立てで、理想とのギャップに苦しむ展開うまい。演劇モチーフに稽古の実際見せ歌に踊りも挑戦だが、歌唱力抜群の豊原江理佳の助っ人ぶり見事。