2014-01-01から1年間の記事一覧

マームとジプシー / ∧∧∧ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと――――

2014年6月10日19:30 東京芸術劇場シアターイースト 岸田受賞作リニューアル再演は住み慣れた家失う家族の物語。役者の前転後転で時間飛ばす仕掛け格好よく、人力で六角形舞台回す演出も奏功。3人兄弟だけでなく、その子たちも集う展開よく、成田&吉田の母…

戊井昭人 / すっぽん心中

2013年8月30日初版 新潮社 3作入り短編集は芥川賞落選でも川端賞受賞の表題作見事。首の回らない男とワイルドサイド歩くモモとの上野での出会いよく、霞ヶ浦ですっぽん探す展開見事。砧辺り彷彿の「鳩居野郎」は屋上家屋での鳩との戦い圧巻。

三条会 / ゼチュアンのぜんにん

2014年6月8日14:00 ザ・スズナリ ブレヒト作挑戦は犬小屋並ぶ舞台で前衛演出炸裂。シェンテの善人として生きる難しさ描くが、大胆親切な状況説明付き見事に伝わる。主人公の電話ボックス大の箱に人詰め込む心意気よし。「心ノ中ノ日本」合唱も興奮。

Spectator ホール・アース・カタログ 29<前篇> 30<後篇>

2013年12月20日、14年4月30日 エディトリアルデパートメント 赤田祐一ら編集で2号に渡る大特集は68〜71年に米国で発行のカタログ雑誌。スティーブジョブスにも影響を与えた伝説の雑誌を多面的に分析。桜井通開の通読記事も嬉しくCAVEとの類似性見い出すコラ…

サイレント・プア

TV

2014年4月8日−6月3日22:00 NHK 深田恭子ヒロインにコミュニティソーシャルワーカーの活躍描く社会派ドラマはゴミ屋敷やホームレス、引きこもりなど重いテーマに直球で挑み成功。問題現場に足繁く通い解決に導く展開よし。作者の相楽敦子は要注目。

ライアカット・アハメド / 世界恐慌 経済を破綻させた4人の中央銀行総裁(上)(下)

2013年9月15日初版 筑摩選書 20世紀初頭の金融政策担った英米仏独の中央銀行総裁の判断と行動追いノーマン、シャハト、ストロングらキャラ深堀りし納得のピューリッツァー賞受賞。金本位制の呪縛、政治家の過ち詳細に最悪シナリオ突入も迫力。

桑原甲子雄の写真 トーキョー・スケッチ60年

ART

2014年4月19日ー6月8日 世田谷美術館 戦前生まれ育った上野の町並みから戦後住んだ世田谷、渋谷や新宿の雑踏まで写真で見る東京の昭和生活史に興奮。コンパクトカメラ持ちメモやスケッチ的に撮り続けた作品のセンスは抜群。時代の空気感しっかり捉えた。

ゴキブリコンビナート / 毛穴からニュートリノ

2014年5月30日19:15 タイニイアリス 4エリアで同時展開する演劇を暗闇迷路移動し観劇する新機軸第二弾は若人あきこ演じた純子の堕落描き熱い仕上がり。時代劇な冒頭のリアル炎使う独演独唱が圧巻で風俗嬢から更に堕ちる展開強烈。室内蒸し暑さも激烈。

月刊「根本宗子」 / スズナリで、中野の処女がイクッ

2014年5月23日19:30 ザ・スズナリ 早くも好評作再演はメイド喫茶を舞台に女同士の難しい関係をコミカル&シニカルに描き成功。財布紛失から始まる疑心暗鬼な展開は意外な開き直りと天災でしょっぱい結末。年長で苦労するメイド長で大竹沙絵子が好演。

東京ELECTROCK STAIRS + KENTARO!! / 銀色テンポラルの中で輝く+MAKE IT futten 

2014年5月21日19:30 東京芸術劇場シアターイースト グループとソロの2本立て公演はしっかり長編新作用意。グループ公演は女子のみ5人の作品でコンセプチュアルな前半冗長気味も畳み掛ける後半見事。客席侵入のボソボソトークも奏功。ソロは意外なほどスト…

保坂和志 / 未明の闘争

2013年9月24日初版 講談社 10年ぶり本格長編小説は先鋭的実験性で猫や不倫旅行や鎌倉での高校時代エピソードが明確な切れ目なく語られ自由。世田谷の自宅に深夜訪問するアキちゃんと近所の小林ひかるとの延々会話軸に持ち味の思考性も発揮。

クリウィムバアニー / nuuuuuuuuu

2014年5月18日14:30 シアタートラム 300分ぶっ通し公演の2コマ目。座席含め自由な中央舞台つくりオープンリールアンサンブルの音楽に妖精神出鬼没なクリウィムちゃん疾走、ステージ周り走る模型列車アイデア奏功。「愛してます」集めたラスト圧巻。

財団、江本純子 / 人生2ねんせい

2014年5月14日19:30 下北沢小劇場B1 2回の人生60年分を描く実験的な意欲作は番号表示で切り替わる時代の行き来巧みに「記憶の旅」大成功。スミコ&さちこ演じた佐久間麻由のヒロインぶり見事。羽鳥や鄭ら親族キャラよく多数役担う加藤&江本も仕事。

快快 / へんしん(仮)

2014年5月12日19:30 こまばアゴラ劇場 北川陽子作でアンデルセン童話モチーフの子供向け作品狙い大道寺梨乃光るも全体につくりの粗さ目立ち残念。冗長な山崎ゴリラの客いじりも過剰感。前回の渋谷公演でのスマホ再現したミラクルはなく舞台装置も輝かず。

渡辺源四郎商店 / エレクトリックおばあちゃん

2014年5月6日13:00 ザ・スズナリ 引き続き原発問題扱う新作はスパイダースもネタに自身が発電能力もつ姿を夢想する老母を子役多い三上晴佳が演じ新鮮。力技な演出気になるが東電勤務な息子もつ現実が明らかになりシニカル残酷な展開にノックアウト。

ナイロン100℃ / パン屋文六の思案〜続・岸田國士一幕劇コレクション

2014年5月2日13:00 青山円形劇場 岸田作品コラージュ第二弾は「ママ先生とその夫」から始まる7作品を巧みに構成。イデビアン振付なダンス導入の場面転換巧みに萩原聖人や志賀廣太郎らゲスト陣も機能。何より図々しい居座り男演じたみのすけが圧巻。

東葛スポーツ / バック・イン・ブラック

2014年4月28日20:00 3331 Arts Chiyoda /1Fコミュニティスペース AC/DCライブ映像軸に村上龍の2小説を使い東京五輪に絡んだテロ展開も空回り気味。市川崑の五輪映画や「太陽を盗んだ男」残念な使われ方。佐々木幸子孤軍奮闘で、終盤登場の宮崎吐夢は金主席…

Q / 迷迷Q

2014年4月27日14:00 こまばアゴラ劇場 またも過激設定の新作は独白中心に吉田聡子が奔放な母役で迫力抜群。グロテスクな性愛挿話はともかく、飼育小屋の中を映像で見せ、娘がひょんな出会いで参加する女子会が最高に面白くfacebook流す展開圧巻。

渋谷直角 / カフェでよくかかっているJ−POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生

2013年7月30日初版 扶桑社 ライター仕事で培ったシニカルな現実まぶすイタい感じの6つの短編群に感嘆。歌手目指すカーミィの挫折を効果的なエピソード、固有名詞満載で奏功。ミニコミ誌編集長が売れっ子案野丈にすべて持ってかれる話も見事。

カトリ企画UR / 紙風船文様4(演出:白神ももこ)

2014年4月12日13:00 新宿眼科画廊地下 同じ岸田國士作品を演出替え公演するシリーズ第4弾はモモコン白神による2人芝居。武谷公雄&黒岩三佳の脱力トークで開始も住みたい部屋イメージから川添いの夫婦の暮らし始まり、時代遡っての鎌倉行きの展開見事。

珍しいキノコ舞踊団 / 金色時間、フェスティバルの最中

2014年3月29日15:00 世田谷パブリックシアター コンテンポラリー卒業宣言公演は山田休演&篠崎出番抑えめ残念だが、既視感少なめの純新作の意気やよし。JBのパロディ面白く、スターウォーズで食いまくり、「ちょっとだけよ」で撮影OK。歌いまくる展開楽しい。

明日、ママがいない

TV

2014年1月15日−3月12日22:00 日本テレビ 児童養護施設が舞台の異色作は放送開始直後に批判殺到しCMが番宣&ACのみとなる問題作。ポストやボンビ、ドンキなど過激な渾名付く野島伸司印で子供たちの健気な姿に感涙。芦田愛菜貫禄だがムリな長台詞多いか。

別に普通の恋

TV

2014年3月9日19:00 TOKYO MX1 前田司郎脚本の特別ドラマは意外に北海道舞台の純愛コメディ。東京から帰郷中のヒロインの安藤聖いいが、片思い続ける男の金子貴俊ベタすぎ。カネせびる恋のキューピットな謎なおじさん役できたろうが強烈な存在感。

岩松了プロデュース / 宅悦とお岩〜四谷怪談のそのシーンのために〜

2014年3月8日14:00 駅前劇場 若手集めた新作は四谷怪談準備中の劇団の稽古場舞台に王道群像劇。劇団内トラブル用意し意外に直球。脚本家・安藤聖格好よく、SR駒木根隆介が悪徳マネージャー好演。梅宮万紗子の異形アイドルは芸能界の暗部全開。

MONO / のぞき穴、哀愁

2014年2月19日19:30 駅前劇場 会社をクビになった者たちが隠れ棲む隠し部屋を舞台にスパイ使った経営の主導権争い展開しシニカルな笑いで持ち味十分。OL登場で不気味なリアリティ醸成。スパイ部隊統率する女性リーダーで森谷ふみ起用も大正解。

野鳩 / 村にて

2014年2月13日19:30 OFFOFFシアター 復活の野鳩はローファイな作風ながら驚くほどドラマチックに2時間超え。妊婦が亡き夫の実家で送る過酷な日々が強烈で、姑によるきつい扱い重いが、生まれてくる子供の登場場面美しい。非番の役者による音響は微妙。

水素74% / 荒野の家

2014年2月12日19:30 こまばアゴラ劇場 子育て失敗家庭舞台にシニカルコメディで持ち味発揮。30ニートにこき使われるダメ母を高木朱里が好演。Sな出戻り娘で石澤彩美起用嬉しい。戸塚ヨットな登山学校登場の後半も見事で結末放棄するようなラスト見事。

万城目学 / とっぴんぱらりの風太郎

2013年9月30日初版 文藝春秋 2年ぶりの大大大長編は、江戸初期の京都、大阪舞台にドロップアウトした忍者の日常描き新境地。ひょうたん育てる生活や仲間とのやり取り面白くねね登場効果的だが、大阪夏の陣での殺し過ぎな展開は持ち味外れ残念。

マームとジプシー / Rと無重力のうねりで

2014年2月11日13:00 のげシャーレ ボクシング演劇挑戦は男子率高めに新味でも持ち味十分。地方都市舞台に津波の記憶も散りばめ切ない味わい。轟音鳴り響く中、進行役の吉田聡子が健闘。テンポよく椅子動かしR重ね尾野島や波佐谷のボクサーぶり感心。

今日マチ子 / アノネ、(上)(下)

2012年12月30日、13年7月30日初版 秋田書店 アンネの日記モチーフに太郎と花子の残酷な出会い描く意欲作。明るく美しく女優目指すヒロインが戦争に巻き込まれ、収容所に入っても健気な様に感涙。隠れ家での初キス、姉の複雑な感情も巧みに描き抽象化も鮮やか…