2016-01-01から1年間の記事一覧

カミグセ / 隣の芝生の気も知らないで

2016年4月1日14:00 王子小劇場 佐藤佐吉ユース演劇祭での桜美林系劇団新作は太宰「女生徒」モチーフに女子キャスト奏功。舞台上の着替えなど格好よく、バレー部や美術部、教室内階級などエピソード効果的だが、全体プロット弱く抑制演出で退屈感。

川上未映子 / あこがれ

2015年10月20日初版 新潮社 4年ぶり長編小説は麦くん視点とヘガティ視点の2作収めた連作。スーパーで働くミスアイスサンドイッチへの憧れの描写絶妙。微妙な家庭環境も見事でネットで父の再婚を知る展開さすがで、まだ見ぬ姉探す場面に興奮。

劇潜サブマリン / きぐるいドワーフ

2016年3月31日18:30 下北沢小劇場「楽園」 大阪芸大発過激アート系の下北沢進出作はベタにサーカスが舞台設定、髭もじゃのむさ男を前面に出して残念。ただ、随所でキャラ輝きミュージカルシーンに見せ場。山田メアリー美貴の覚悟、水田千聖らのダンスも光る。

あひるなんちゃら / ドロボー・シティ

2016年3月25日19:30 駅前劇場 泥棒仲間のアジトに空き巣に入った者たちを巡るコメディは役者も揃って会心の仕上がり。アジトで暮らす女子4人組が楽しく宮本奈津美の飛ばしキャラ最高。娘役で新人の野村梨々子も仕事。山田百次&根津によるタイガー&ドラゴ…

東村アキコ / かくかくしかじか

2012年7月-2015年3月 集英社 マンガ大賞受賞の傑作自伝が全5巻で完結。在宮崎の恩師の強烈な個性への追憶深く、金沢での美大時代、二股三股で始めるマンガ家生活など細かなエピソード設け抜群の臨場感。デビューまでのいきさつも興味深く丁寧。

家庭内失踪(作・演出:岩松了)

2016年3月19日14:00 本多劇場 M&O企画で実現の「蒲団と達磨」後日譚は風間杜夫&小泉今日子を夫婦役にじっくり濃厚なホームドラマ。公演時間長く冗長な印象も岩松了の家庭内失踪なふざけたキャラ救い。再婚相手と出戻り娘との微妙な関係よし。

イデビアン・クルー / ハウリング

2016年3月18日19:00 世田谷パブリックシアター 約1年半ぶり新作公演は大谷能生率いる四管編成の生演奏使い充実。藤田桃子入りコント充実で笑い満載。見合いから奇天烈結婚式のラストはブーケ投げならぬ高島田角隠し投げ繰り返し演奏リピートでにやにやな大…

遊園地再生事業団+こまばアゴラ劇場 / 子供たちは未来のように笑う(ワークインプログレス)

2016年3月15日19:00 こまばアゴラ劇場 青年団役者陣も混じり妊娠や出産巡るエチュード集が奇跡的な面白さ。役者の持ち味十分に発揮し多ジャンルの文章を次々朗読しゲーム的な楽しさ。中央柱が視界邪魔も、近年稀に見る出来映えで本公演も遊び重視を期待。

MONO / 裸に勾玉

2016年3月13日14:00 シアタートラム 弥生時代舞台の新作は邪馬台国との戦争間近な狗奴国で迫害受ける一族の話面白く刺激的。好戦ムードな国民の怖さ抜群で現代に見事繋がる。松原由希子演じたアマリ格好よく、絶望的な終盤美しい。ラストのオチも巧い。

森功 / 日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈

2015年11月15日初版 文藝春秋 安倍政権ブレーン、元麻布の秘密パーティ主催者なパソナ南部靖之に注目、異色人脈描きASKAとパソナで働く愛人の行動、中江滋樹との意外な交流描き興奮。グループでの私物化人事も興味深いが矢作製鉄勘違い残念。

少年王者舘 / 思い出し未来

2016年3月4日19:30 ザ・スズナリ 工場経営に行き詰まり死を選ぶ父の姿を執拗なリフレインで描いて持ち味発揮。帰り待ち続ける女たちの造形見事。執拗に繰り返される幸せ問答が笑えるし切ない味わいも。ゲストで登場のマリリンマリィの登場も嬉しい。

安西水丸 / 東京美女散歩

2015年3月12日初版 講談社 「小説現代」連載の散歩コラムは逝去直前までの44の記録。日本橋から八丈島まで歴史の掘り下げも見事にコンセプト忠実に女性たちの描写がイラスト含め充実。前半驚くほど長距離歩き恋愛エピソード赤裸裸に刺激的。

マームとジプシー / 夜、さよなら 夜が明けないまま、朝 Kと真夜中のほとりで

2016年2月28日13:00 彩の国さいたま芸術劇場小ホール 「蜷の綿」延期も荒縄ジャガー時代の初期作含め3作再構築。前半半端感も「K」部分完成度高く夜と不在のテーマ鮮明。成田亜佑美や吉田聡子織りなすリフレイン強烈。消えた少女巡る残された者の想い浮き上…

あらゐけいいち / 日常

2007年7月-15年12月初版 角川書店 全10巻完結ギャグ漫画は時定高校や東雲研究所舞台に不条理全開で笑いの嵐。ロボ東雲なの中心にゆっこ、みお、まいの高一女子のキャラ強烈で前半冴え。囲碁サッカー部など傍流充実で終盤4コマも活用し実験性抜群。

鉄割アルバトロスケット / 鉄と割

2016年2月26日19:30 ザ・スズナリ ベスト演目集大成の鉄編は大ネタも交えての充実の36演目。古澤裕介の突き抜け演技楽しく奥村勲も名人芸多数披露し満足感たっぷり。マークス雅楽子も芸達者ぶりよし。「悪魔が来たよ」「カルメン」など切れ味最高。

前田司郎 / 口から入って尻から出るならば、口から出る言葉は

2015年5月30日初版 晶文社 東京新聞連載コラム収録のエッセイ集は、演劇への思い、考え方、カメラ愛についての小文、ミニ小説も掲載。震災時の小笠原旅行など旅の記録も面白く、大胆な本音も満載で五反田団の舞台裏も垣間見え興味深い一冊に。

ねもしゅーのおとぎ話 / ファンファーレサーカス

2016年2月13日14:00 新宿FACE プロレス会場に生バンド入れた変形ミュージカルは趣里&蒼波純起用のサーカス一座に紛れ込むファンタジー。物語書き換える試みを根本宗子自ら体現のクライマックス見事だが生バンド難しく全般に世界観構築に苦しみ。

本谷有希子 / 異類婚姻譚

2016年1月20日初版 講談社 ついに芥川賞受賞の表題作は夫に顔が似る妻を生活の細やかな機微拾い大きな成果。何もしない夫が急に唐揚げ料理に凝りだす展開見事。隣人のペット問題見事で山に飼い猫を逃がしに行く状況強烈で最高。他短編3本も。

同じ夢(作・演出:赤堀雅秋)

2016年2月8日19:00 シアタートラム 豪華キャスト揃い赤堀節炸裂。食肉店裏側の緩んだ日常リアルで姿現さない要介護老人も不気味に演出し流石。麻生久美子が抜群の味わい。田中哲司も意外な面白さで店主光石研の純情際立つ。店員赤堀ダメキャラも最高。

宮沢章夫 / 長くなるのでまたにする。

2015年3月20日初版 幻冬舎 最新作は持ち味の笑い満載に「星星峡」連載の単行本化。3本立てのエッセイが32並び改行してオチに繋げる仕掛けは名人芸で何度も吹き出す。11〜13年の文章で京都の大学で教えた頃の挿話多く演劇史的な興味も。

東葛スポーツ / 食道楽

2016年2月2日20:00 神保町SOBO 旭化成本社前会場での新作はSEALDsに影響受けた金町ソープ嬢が結成したユニットがN.W.A.とダブる展開見事。国会前や小保方さん映像もミックスし、佐々木幸子や菊池明明、森本華のラップ楽しく魅力十分。

長野まゆみ / 冥土あり

2015年7月8日初版 講談社 各賞受賞作は父を地道な生涯辿る一族の物語。三河島中心に昭和の下町の生活描写が見事。文字職人の父に加え双子の従兄弟など係累キャラ立ち見事で江戸風な文体も奏功。併録「まるせい湯」にも作品世界繋がり嬉しい。

ハイバイ / 夫婦

2016年1月28日14:00 東京芸術劇場 シアターイースト 父の死題材に再び葬儀描く新作は母役で朝ドラ出演中の山内圭哉が健気キャラを好演。兄や姉が虐待受ける子供時代のエピソード刺激的で、解剖巡るナイーブな抵抗などらしさ発揮。棺の選定シーンなど細かい描…

村上春樹 / ラオスにいったい何があるというんですか?

2015年11月25日初版 文藝春秋 紀行文集はJAL機内誌掲載作中心に構成。ボストンやミコノス島など住んだ場所再訪する旅が興味深く当時の生活ぶり披露。2つのポートランドやアイスランドも魅力的で旅への誘惑しっかり。熊本編も異質だが楽しい。

岡崎藝術座 / イスラ!イスラ!イスラ!

2016年1月16日14:00 早稲田小劇場どらま館 父島モチーフの新作は役者全員が全編お面かぶるストイックな異質感。水槽の水飲んでの演技は各自が会話せず独白、顔見えず観客に冷たい演出。権力に蹂躙される歴史が語られ要所で鋭い風刺は見事だっただけに惜しい。

シンクロ少女 / ファニー・ピープル

2016年1月15日14:30 ザ・スズナリ 舞台上に複数時間軸設けてシンクロ手法もこだわり大きな成果。15年ぶりの再会果たした男2人の現在過去交錯させ、女教師との不倫が引き起こした惨事に導く展開がいい。Dボウイの名曲挿入も効果的でずぶ濡れ結末。

ロロ / 校舎、ナイトクルージング

2016年1月12日19:30 STスポット 上演1時間の高校演劇ルール使ういつ高第二弾は深夜の教室でのおばけ探しを描いて大成功。教室に仕掛けたICレコーダーで盗聴楽しむ危ない登校拒否女を望月綾乃が好演。おばけちゃん役でワワフラ北村恵起用も奏功。

羽田圭介 / スクラップ・アンド・ビルド

2015年8月10日初版 文藝春秋 芥川賞受賞作は早く死にたい要介護老人の希望を叶えるべく奮闘する孫のアサラー男の日常描いて抜群のリアリティ。老人の卑屈感、社会への怒り、彼女との距離感絶妙。多摩ニュータウン周辺の世界観も巧みで受賞納得。

新年工場見学会2016(五反田団「スタア☆ウォーズのニセモノ」、紅申会「OSHICHI(炎マーク)」、ハイバイ「ごっちん娘」、ザ・プーチンズ、ポリスキル)

2016年1月4日19:00 アトリエヘリコプター 恒例企画は大入り盛況。SW偽物はサウナでのジェダイ強烈。後藤剛範すごいハイバイは完成度高く岸井ゆきのの小学生役楽しい。新機軸プーチンズもヒット。ただ、終演23時近い長時間きつく日程や怪演時間に課題か。