2016-01-01から1年間の記事一覧

青年団リンク ホエイ / 麦とクシャミ

2016年8月9日19:30 こまばアゴラ劇場 1943年の昭和新山誕生モチーフに戦時下の移住者たちの日常描き秀逸。情報統制下の郵便局舞台設定巧みで岩手出身の訛り全開の奥さん演じた中村真生圧巻。宮部純子も好演。炭坑と室蘭結ぶ線路のエピソードに興奮。

町田康 / ギケイキ 千年の流転

2016年5月30日初版 河出書房新社 デビュー20周年作は若き義経描く娯楽大作。弁慶の生い立ちまで描いて笑い連発。源平合戦直前、富士川までを描く構成も面白く、鞍馬での修行や京都でのイカした日々、弁慶との出会いも楽しく現代的表現で描き痛快。

飴屋法水,本谷有希子,Sebastian Breu,くるみ

2016年8月6日13:00 VACANT 本谷有希子4年ぶり演劇活動は飴屋法水親子と組み、芥川賞後の気持ちも語り実験性抜群の傑作。ベビーカー使い出産時の思いの強さも語り迫力。上京時に焼肉店で働いた際の吃り発症をくるみがリズミカルに演じて出色。

わかったさんのクッキー(原作:寺村輝夫、台本・演出:岡田利規)

2016年7月31日14:00 小田原市民会館大ホール(舞台上特設舞台) 人気童話舞台化作再演は公演地増やし実現。金氏徹平のカラフルなオブジェ満載の美術楽しく豪華キャストも機能。古屋隆太演じたモジャさん強烈で進行役山崎ルキノがしっかり安定感。佐々木幸子…

国分寺大人倶楽部 / ラストダンス

2016年7月11日19:00 シアター711 4年ぶりで解散公演は映画館の躍進と挫折を描いて持ち味。大竹後藤ら劇団員が若き経営者きっちり支える様がよく劇団の盛衰と重なる構成も見事。シニカルに毒たっぷりに残酷な作風はらしさも意外なラスト用意し流石。

都築響一 / 圏外編集者

2015年12月10日初版 朝日出版社 「POPEYE」などの初期仕事から名作「TOKYO STYLE」誕生秘話、珍スポット巡りや地方発ラッパーの取材のなど本作りの裏側を語り興奮。編集者の信条、現在の編集体制への不満も随所に入り刺激的な一作。

ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン(作・演出:松尾スズキ)

2016年7月8日19:00 シアターコクーン 書き下ろし新作は岡田将生が男娼演ずるボーイズラブ巨編。内戦中のアジア小国舞台にゲリラに拉致された者を追う展開が迫力。阿部サダヲの妻で落ち目女優役で寺島しのぶの体当たり演技も圧巻。ねじ式パロディに拍手。

村上春樹とイラストレーター 佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸

ART

2016年5月25日-8月7日 ちひろ美術館・東京 村上春樹がコラボした代表的イラストレーター4人との作品集めた好企画が下石神井の美術館で実現。「羊をめぐる冒険」など佐々木マキ表紙原画や安西水丸との楽しいエッセイ群まで幅広く、1階と2階の使い方も見事。

青年団 / ニッポン・サポート・センター

2016年6月30日19:30 吉祥寺シアター 地方都市の駆け込み寺なNPO系センターを舞台にDV懸念に過剰反応する近未来怖い。青年団の豪華役者陣が機能。無神経発言リアルでシニカルさ抑えめにコミカルな仕上がり奏功。「やまと寿歌」歌うラストもうまい。

滝口悠生 / 死んでいない者

2016年1月30日初版 文藝春秋 大往生で亡くなった男の通夜に集まった親族一人一人の主観を繋げ実験性も巧みに料理し見事な成果。子供、孫、ひ孫の関係性も面白く、引きこもりや育児放棄などの現代社会の問題も丁寧リアルに扱い納得の芥川賞受賞。

チャリT企画 / アベベのべ2016

2016年6月18日14:00 こまばアゴラ劇場 06年初演作10年ぶり再演はコンビニ舞台の設定変えずアップデートし賞味期限切れ弁当奪い合う非正規労働者の悲哀しっかり描いて成功。憲法改正の国民投票前夜の不気味な世論にリアリティ。安倍のしぶとさも実感。

シベリア少女鉄道 / 君がくれたラブストーリー

2016年6月12日13:00 赤坂RED/THEATER 闇社会な会話でカードゲーム興じる人たち描くも種明かし後は学園舞台の恋愛ドラマに持ち込む70分が見事。強引な手口や手持ちカード有効に使えずNG音出る設定楽しく多数女性客から歓声多発。明快なアイデア奏功。

木ノ下歌舞伎 / 義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー

2016年6月5日14:00 東京芸術劇場シアターイースト 演出に多田淳之介迎えた話題作リビルドは保元&平治の乱まで遡り因縁しっかり見せて渡海屋突入。安徳天皇役で立蔵葉子がミラクル連発、歌舞伎の仕掛けとダンスミュージックが見事に融合。記号的に羽織る衣装…

5454(ランドリー) / カタロゴス「洗」についての短編集

2016年6月1日19:30 こまばアゴラ劇場 短編集とはいえ5つのエピソードを巧みに融合だが「デトックス」のアラサー女子の奮闘が面白く二葉演じた森島縁が面白く抜群の存在感。洗濯機絡んだ残酷な展開も終盤の舞台中央に水溜めた足湯な光景が意外に面白い。

堀川惠子 / 原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年

2015年5月25日初版 文藝春秋 大宅賞受賞作は元広島テレビ放送の記者による労作で広島の戦後史の意外な現実に興奮。名簿の住所を訪問し浮かび上がる被爆者と遺族たちの時間が強烈。供養塔の世話し語り部活動もした佐伯敏子の生き様と奇跡に感動。

ロロ / あなたがいなかった頃の物語と、いなくなってからの物語

2016年5月29日14:00 東京芸術劇場シアターイースト 豊かすぎる想像力と凝った構成の寓話に前半置いてけぼり感でもヒロイン花びら役に伊藤沙保迎えて母と子の歩み見える終盤はしっかり感動で素敵な世界観。村の怪しいおっさん登場させノスタルジーな味わいも…

離風霊船 / ゴジラ

2016年5月27日19:30 ザ・スズナリ 主宰還暦公演は岸田戯曲賞作2016年版。三原山舞台にゴジラと純粋無垢な少女のラブストーリー楽しく、円谷ネタ満載も嬉しい。「シンゴジラ」意識し現代ネタも奏功。田中奈緒もいいがレポーター進藤理恵がいい味。

下鴨車窓 / 渇いた蜃気楼

2016年5月15日14:00 こまばアゴラ劇場 心理描写鮮やかな3人芝居は渇水に悩む小都市アパート一室を舞台に旧友がNHKの勧誘に現れる展開面白く傷口な過去が明らかにされヒリヒリ感。アラフォーの現実感全開。エクササイズDVD踊るなど大沢めぐみ良い。

平田オリザ / 下り坂をそろそろと下る

2016年4月20日初版 講談社現代新書 日本の新しいかたち考察した新作は自ら携わった城崎や小豆島など事例豊富に地域再生のヒント満載。「坂の上の雲」など司馬遼太郎作品引用多めに古い考え方改め衰退する国の生き方探る。韓国の厳しい現実も興味深い。

子供鉅人 / 真夜中の虹

2016年5月12日19:30 駅前劇場 劇団員のみ本公演はスタジオ、パーティー、ホテルなど真夜中のシーン巧みに構成し繋げて大成功。関西弁のドタバタも勢いに笑い満載で叙情性たっぷり。浮気男を怒る真夜中の彼女や真夜中の兄妹の珍客など名場面多め。

Wけんじ企画 / ザ・レジスタンス、抵抗

2016年5月9日19:30 こまばアゴラ劇場 作・演出の山内ケンジが山内健司筆頭に青年団の豪華役者陣贅沢に使い同姓同名企画が大成功。本社不祥事で混乱のVWな職場舞台にモテながら不能に悩む男を山内健司が楽しく演じ部下の坂倉奈津子や鄭亜美も魅力爆発。

巻来功二 / 連載終了!少年ジャンプ黄金期の舞台裏

2016年2月22日初版 イーストプレス 1980年前後に「少年ジャンプ」などで活躍した作者の実録奮戦記が興奮。編集者が次々交代し翻弄される様やタブー破る行為も告白。「少年キング」時代や「メタルK」誕生の舞台裏も興味深く自身の心理描写も奏功。

渡辺源四郎商店 / 青森に落ちてきた男

2016年5月4日15:00 ザ・スズナリ 1945年7月28日の青森空襲モチーフに憎しみ乗り越えることへの考察も全体にヘビーな印象。攻撃的なエピソード重ね膨らみが抑えた点は残念だが米兵との遭遇やコミュニティの異常さは十分に伝わり意義深い一本。

九龍ジョー / メモリースティック

2015年2月20日初版 DU BOOKS 音楽や映画、演劇、プロレスまでインディシーンについて各誌掲載記事を構成巧みにまとめて意義深い仕事。松江哲明との交流が興味深く韓国ルポも新鮮。インタビュー集にせずきちんとレポートしている点が素晴らしい。

月刊「根本宗子」 / 忍者女子高生(仮)

2016年4月27日19:30 ザ・スズナリ 極度なマザコン3兄弟集う安曇野家舞台に一人忍者となり奮闘する妹役で根本宗子が躍動。母第一の気持ち悪さ巧みに笑い変え、最悪な環境に馴染む長男嫁で大竹沙絵子がハマる。ただ、終盤のチャンバラシーンは蛇足か。

ブルドッキングヘッドロック / スケベの話〜オトナのおもちゃ編〜

2016年4月19日19:00 ザ・スズナリ 陸軍部隊の士官専用住宅地にあるサルマン中佐の邸宅を舞台に兵士たちの会話の曖昧さに卑猥な暗喩込めるもエロさ少なく微妙な世界観。奥様同士、メイド間の力関係の描き方など面白いが、公演時間長く冗長な点は残念。

渋谷直角 / 奥田民生になりたいボーイ出会う男すべて狂わせるガール

2015年7月30日初版 扶桑社 奥田民生に憧れる35歳の中途入社編集者コーロキを中心にライフスタイル雑誌の混乱描いて迫力。ネットで叩かれたり切実さ抜群。プレス天海あかり巡る男たちの存在明らかにする展開面白く、シニカルなラストも見事。

ハイバイ / おとこたち

2016年4月14日14:00 東京芸術劇場シアターイースト 男4人の生き様描く人気作再演は6人の役者が複数役を見事にこなし演劇の可能性拓く傑作。松井周も加わり思い通りにいかないダメダメ人生を生きる男たち面白く魅力的で残酷な老後での「太陽と埃の中で」熱…

前田司郎 / 私たちは塩を減らそう

2015年5月31日初版 キノブックス 各誌に掲載した小説を中心とした短編集めた一冊は異色作満載。女性視点の軽い語り口の前半の作品群面白いが群像新調文学界掲載作は実験色強め。巻末のエベレスト方面への紀行文が意外に面白く文化人交流も興味深い。

三条会×百景社 / ヴェニスの商人

2016年4月6日15:00 ザ・スズナリ 不振続いた三条会が百景社と組み有名作を大胆演出で見せて関マジック再び。舞台を2つの陣営に分け秤置く様面白く、調理器具用意しご飯炊く展開に興奮。終盤の肉の奪い合い、多数派工作楽しくカレー仕上げて大団円。