2012-01-01から1年間の記事一覧

ナカゴー / 黛さん、現る!

2012年7月27日20:00 王子小劇場 佐々木幸子、墨井鯨子、甘粕阿紗子ら豪華キャスト実現の不条理コメディは菊池明明の檀れい強烈。海に行きたくない女で墨井熱演、カナヅチ振り回す狂気に爆笑。集まった女たちが今亡き黛妹に振り回される展開に仰天。

ハイバイ / ポンポン お前の自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン

2012年7月23日19:00 こまばアゴラ劇場 人気作再演は荒川良々主役にとぼけた津川吾郎が新味。情けなさ強烈の黒田大輔版ほどインパクトなく、品川幸雄の不在など個々の迫力欠いても筋立てしっかり組立て完成度アップ。吾郎母でライター役で安藤聖が新境地。

青山七恵 / 花嫁

2012年2月10日初版 幻冬舎 和菓子屋営む4人家族の長男の結婚に絡むドラマを娘息子父母の視点で4編編んだ連作はケレンミたっぷりにありがちな展開残念。男性視点の作品がやはり違和感あり息子編やや苦痛。娘の従妹への意地悪描いた挿話秀逸。

デス電所 / 神様のいないシフト

2012年7月22日14:00 駅前劇場 エクソシストのパロディは激しいローファイミュージカルで戸惑う。侘しいアパートに集まる悪魔払いらのベタな動き強烈。悪魔に憑かれたフリする展開納得できず、終盤メリハリなく着地見えない間延びぶりに披露困憊。

榊原英資 / 財務省

2012年6月15日初版 新潮新書 様々な財務官僚を実名でエピソード満載に紹介し抜群の面白さ。出身省庁への愛着も素直に銀行・証券局もつ大蔵時代へのノスタルジーも。業界育てない金融庁批判納得だが、バブル発生時の行政の功罪への言及欲しいか。

大谷能生 / 舞台のための音楽2

2012年6月13日リリース HEADZ エンジンから出た劇伴集に続く第2弾は中野成樹の紹介セリフ入り神村恵ダンスも思い浮かぶ名品たっぷり収めた2枚組。チェルフィッチュや東京デスロックの懐かしい音源も嬉しいが、ビート感抜群の「配置と森」最高。

原作:大場つぐみ、漫画:小畑健 / バクマン

2009年1月〜12年7月 集英社 全20巻完結の少年ジャンプ連載メタ作品は夢叶え大団円。編集の裏話満載で途中だれても刺激的なマンガ家投入。声優ネタ振るわなくても亜城木夢叶と新妻エイジのライバル感よく平丸一也の人間味溢れるキャラも奏功。

悪い芝居 / カナヅチ女、夜泳ぐ

2012年7月13日19:30 王子小劇場 荒れた作風目立った彼らだが吉川莉早復帰作は帰郷する女の過去を鮮やかに語り快作。ファミレスでの過去と現在の交錯が見事で、無謀な上京時の王将の場もリアリティ。笑い溢れて蛇足の河童オチを差し引いても大成功。

「地上最大の手塚治虫」展

ART

2012年4月28日-7月1日 世田谷文学館 鉄腕アトムからリボンの騎士、ブラックジャック、火の鳥にマイナー作までレア原画をこれでもかと並べ圧巻。多数の連載やりくりしたスケジュール表も興奮。少年時43年作成「昆虫手帳」の精細な描写と情報量に圧倒。

ままごと / 朝がある

2012年7月1日15:00 三鷹市芸術文化センター 星のホール 太宰治「女生徒」モチーフに大石将弘の異色一人芝居が奏功。舞台を柴の故郷思わせる地方都市A県K町に移し、セリフなしで三角屋根の工場などの情景描写繰り返し、音楽やデザイン巧みに駆使し心地よいノ…

康本雅子 / 絶交わる子、ポンッ

2012年6月29日19:30 シアタートラム 4年ぶりカンパニー公演は豪華8人編成で群舞も充実。遠田誠ら豪華ダンサー陣の中でCTT泊麻衣子が「なんでわたしじゃだめなの」と奮闘。エッチなエピソード満載のなか康本ソロ冴え渡り、これでもかな90分満喫。

町田康 / バイ貝

2012年3月24日初版 双葉社 身辺雑記的文芸作品は溜まりゆく鬱を減らすためにホームセンターで鎌やフライパン探す前半よく、鬱の累積金額の増減面白い。ただカメラに凝りだした後半は金額表示なくコンセプト曖昧にダレ感。全編溢れる笑い流石。

競泳水着 / Goodnight

2012年6月28日19:30 王子小劇場 恋愛題材にキャッチ―な作風で16回数えた本公演でも依然王子有難い。経営不振のレストラン舞台に銀行員登場が効果的。運営方針巡る皆本兄妹の確執、ヒロイン黒木絵美花も魅力的に切なくもおかしいコメディが奏功。

リーガル・ハイ

TV

2012年4月17日-6月26日21:00 フジテレビ ゴンゾウや鈴木先生の古沢良太脚本も冴えた異色弁護士ドラマが大成功。堺雅人と新垣結衣の珍妙コンビ見事で訴訟の裏技満載、情報戦など皮肉な笑いたっぷり。毎回ゲストと対決見せ時事ネタや金田一パロディも楽しい。

福原コレクション 駒井哲郎1920−1976

ART

2012年4月28日-7月1日 世田谷美術館 銅版画で戦後の美術界を駆け抜けた駒井哲郎の軌跡を資生堂の福原義春蒐集の大コレクションで見せる試みが圧巻。詩集や文芸誌の挿絵、ミロ的の豊かなデザイン性もちながら動物など具象性にもこだわり嬉しいポップさ。

プロジェクト大山 / みんなしってる

2012年6月24日17:00 スパイラルホール 本格始動第2弾は終盤ダレた前作から一変、全編で面白イメージ連発で感服。もじもじ君な青衣装に加えエキゾチック風味もたっぷりに笑わせ所も満載。脚線美も巧みに披露。くねくねと寝転んで配置・構図も見事で成功。

マームとジプシー / ドコカ遠クノ、ソレヨリ向コウ 或いは、泡ニナル、風景

2012年6月23日14:00 PRUNUS HALL 初期作再演は福知山線脱線事故に材得たと思われる遺族たちの朝風景をイメージ豊かに表出し感涙。抽象舞台でも終始踊り続けリフレイン効果的。妹を失った兄、妊娠を聞かされた翌日に同棲相手を失う男など喪失感激烈。

タカハ劇団 / ネジ工場

2012年6月21日19:30 駅前劇場 浅井製作所に取材した工場SF奏功。工場営む3兄弟情けなく切なく癒し。ガチャ好きなしっかり次男で夏目慎也躍動。板倉チヒロも不思議配達人怪演。時間軸巧みに妹役水谷妃里&おばちゃん役かんのひとみの回想巧み。

綿矢りさ / かわいそうだね?

2011年10月30日初版 文藝春秋 10年目表題中編は彼氏が元カノを居候させる状況に悩む百貨店員をコミカルに描いて成功。火垂るの墓など細やかなディテール効果的で等身大の20代女性リアル。併録の美人の親友話は学生時代巧いが結末オチに難も。

生むと生まれるそれからのこと(作:岩井秀人、演出:渡辺哲也)

TV

2012年6月19日2:40 NHK総合 向田邦子賞作は線引くことに共感し付き合いデキ婚するフィギュア原型師と写真家カップルをコミカルリアルに描き持ち味。柄本佑&関めぐみ見事だが梅舟惟永の指差し演技最高。岩井産科医ほか小劇場役者陣登場嬉しい。

青年団 / 月の岬

2012年6月16日19:30 座・高円寺1 松田正隆と組んだ傑作三演は青年団役者陣中心で臨み長崎舞台の残酷リアルな日常ドラマ炸裂。姉と弟夫婦の生活に起こる切ない事件強烈。教師と生徒の関係刺激的に、運命翻弄な姉を内田淳子好演。風鈴鳴る溶暗鮮やか。

南部高速道路(原作:フリオ・コルタサル、構成・演出:長塚圭史)

2012年6月14日19:00 シアタートラム 南米作をアドリブ中心のエチュードで異常渋滞に直面した人々の素直なリアクション積み上げ大成功。バスの運転手で赤堀雅秋の怪演光り江口のりこ演じた女性とのロマンス鮮やか。真木よう子も魅力抜群で流石の存在感。

金原ひとみ / マザーズ

2011年7月30日初版 新潮社 若き母3人ヒロインに育児の凄まじい孤独描き圧巻。クスリ漬けな小説家、不倫重ねるモデル、職なく経済苦しいながらも保育所に預ける作家の友人が虐待に進む様も見せつけ迫力。終盤の残酷な展開強烈もラスト鮮やか。

中野成樹+フランケンズ / ナカフラ演劇展(Bプロ「マキシマム・オーバードライブ」(モリエール)、「サマーキャンプ」(ブレヒト))

2012年6月13日19:30 こまばアゴラ劇場 短編中心の上演企画Bプロは誤意訳の持ち味出た2本立て。09年初演の亭主学校は兄妹明暗な喜劇楽しい。小泉真希の許嫁操り脱出する知恵見事。05年作は北川麗の妹を助けるべく薬調達の旅に出る皮肉の怖さ再発見。

五反田団 / 宮本武蔵

2012年6月9日15:00 三鷹市芸術文化センター 星のホール 剣豪演劇挑戦は刀で人斬る怖さ、勝つ姑息さ大胆に解釈し奏功。男の情けなさ前面に笑い満載嬉しい。黒田大輔と荻野友里(つう)の夫婦楽しい。金子岳憲の友情表現さすが。大抜擢の岸井ゆきの輝くが前田…

城山羊の会プロデュース / スキラギノエリの小さな事件

2012年6月8日19:30 小劇場楽園 時代設定なく異国の王室舞台のシニカルコメディは浮気な王妃を石橋けい好演し奏功。人のいい王様役で宮崎吐夢が不気味な魅力披露。わがままな王子で山口奈緒子が新境地。舞台美術大人しめだが三浦俊輔ら怪優が躍動。

青☆組 / キツネの嫁入り

2012年6月3日15:00 こまばアゴラ劇場 嫁不足の島舞台に狐を嫁に迎える展開面白いが、男たちに面白み出ず集中困難。福寿奈央が演じた狐の女房はさすがに魅力的で母になったり死別した女房に化けたりと仕掛け巧み膨らみ大人しめの印象。舞台美術も抽象的。

ろりえ / 㐂(よろこび)

2012年5月31日19:30 シアターグリーン Box in Box ホモ夫婦に育てられた女の一生を2部構成で描く大作に感涙。前半の志水衿子の元気なカヨ子素敵で相撲のエピソード楽しいが、後半木村香代子に代わり中国へ渡り売春始める展開見事。同僚の梅舟惟永の女優卵ぶ…

円城塔 / 道化師の蝶

2012年1月26日初版 講談社 芥川受賞作は旅先で複数言語作品残した友幸友幸と彼を追いかけたAエイブラムス軸に主体動く展開難解だが、猫の下で読むに限る移動者たちの言語考察面白い。併録「松ノ枝の記」は日米翻訳合戦が異様な展開みせ興奮。

時間堂 / ローザ

2012年5月26日15:00 王子スタジオ1 自作は3年ぶり新作は革命家Rルクセンブルク扱う4人芝居。墓参した4人の縁者がローザ演じる展開無理あり騒音多い空間で大人しめ演出裏目。が、窪田優のローザ迫力あり20世紀初頭の革命運動の輝き垣間見せ興奮。