2022-01-01から1年間の記事一覧

赤堀雅秋プロデュース / ケダモノ

2022年4月26日13:00 本多劇場 再度大森南朋招き田舎のリサイクルショップで働く男たちの日常と破滅描いて赤堀節炸裂。フィリピンの母持つハーフキャバ嬢で門脇麦が抜群の清潔感。転職重ねる危ない男を荒川良々が怪演。田中哲司らダンス場面秀逸。

ヌトミックのひろば「ヌトミック・エクスペリエンス」(トーク「身振りの音楽」(ゲスト:横山彰乃)、上演「リーチ」)

2022年4月24日17:00 カフェ ムリウイ祖師ヶ谷カフェ公演はトーク60分+上演30分の異色構成。ギリシャから出演の横山振付思想面白いが長め。新作はドラム真ん中に楽譜的台本に3役者挑戦する試み成功。築33年マンションの出来事反復が新鮮で興奮。

小林エリカ / 最後の挨拶

2021年7月5日初版 講談社 シャーロック・ホームズ作品の翻訳家だった亡き父の生涯を作者含めた四人姉妹それぞれのキャラも詳細に家族の思い出、闘病の日々を時空超え織り成し見事な成果。併録「交霊」は得意のマリ・キュリー巡る幽霊の物語。

シベリア少女鉄道 / どうやらこれ、恋が始まっている

2022年4月9日18:00 俳優座劇場研究室舞台のサスペンス描く前フリ芝居低調で苦痛も、実家に帰った青年と幼馴染の淡い恋情描く後半は面白く、窓や戸棚から垣間見える研究室のその後のド派手展開チラ見せして持ち味発揮。20年以上続く芸風に感服。

金原ひとみ / ミーツ・ザ・ワールド

2022年1月5日初版 集英社焼肉擬人化漫画MIM推し腐女子銀行員の由嘉里が死にたみキャバ嬢のライと出会うことで始まる非日常が描かれ楽しい一冊。歌舞伎町舞台にヲタ女子の言動がひたすら面白く、ホストのアサヒや作家ユキとの交流も愉快。

平野啓一郎 / 本心

2021年5月26日初版 文藝春秋リアルアバターとして働く青年描く近未来小説は格差進んだ20年後の日本舞台で迫力。自由死選んだ母のバーチャルフィギュアつくる前半重いが、異性の同居人できる展開よく、主人公の魅力増す挿話効果的で終盤流石。

砂川文次 / ブラックボックス

2022年1月26日初版 講談社芥川賞受賞作は自転車メッセンジャーとして働く男の日常を詳細に描き、後半大波乱も用意し迫力の一冊。自衛隊など転職重ね安定求める周囲の動きとの対比鮮やか。走り回る都心の地名、固有名詞頻出も時代性醸し奏功。

家近良樹 / 酔鯨 山内容堂の軌跡――土佐から見た幕末史

2021年10月20日初版 講談社現代新書薩長史観と異なる視点で幕末検証し意義。松平春嶽、伊達宗城、島津久光と四侯として改革推進した土佐藩主の言動を丹念に追い興味深い。二院制目指す理想主義が大久保ら急進派に阻まれる様が克明。強烈な酒量も驚く。

綿矢りさ / オーラの発表会

2021年8月26日初版 集英社大学一年生の海松子の不器用キャラ炸裂の恋愛未満小説は作者の持ち味発揮で大成功。KY発言連発の真面目女子に絡む「まね師」萌音の存在も楽しく、大学教授の父や江戸趣味な母住む実家至近の一人暮らし展開楽しい。

藤本タツキ / ルックバック

2021年9月3日初版 集英社ジャンプコミックス小学校の学年新聞の漫画欄埋めた藤野と京本の学友女子2人がコンビ組みプロを目指す筋立てよく、吹き出しなしで制作に取り組む姿描くコマたち効果的。美大に進んだ元不登校少女の悲劇巡るパラレルワールド展開迫力…

ヨーロッパ企画 / 九十九龍城

2022年1月20日14:00 本多劇場2年ぶり本公演は音楽にキセル起用の魔窟劇。香港の九龍城が今も残っていたらという想定で怪しい人たちが暮らす各部屋の覗き見楽しい。お馴染みメンバーが安定で笑い満載にし、新劇団員の藤谷理子も踊り子役で輝く。

益田ミリ / スナックキズツキ

2021年1月28日初版 マガジンハウスドラマ化も成功した7年ぶり描きおろし作はコールセンターで働く「ナカタさん」から店主の「トウコ」まで傷ついた人たちの輪。市井の人たちの日常の些細な傷つきポイントを丁寧に拾い感嘆。各回終盤の仕掛け面白い。

ブレイディみかこ / ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

2019年6月21日、2021年9月16日初版 新潮社上品なカトリック小学校から元底辺中学校に進学した息子との生活描く人気作が2巻で完結。ハンガリー移民の子との交流など多様性への向き合い方を探る行動と思索の日々に感嘆。日常の些細な事例の取り上げ方が巧い。

奈良崎コロスケ / 音楽とおじさん

2019年1月‐21年11月 zakzak人気ライター初の連載漫画挑戦は50歳のヨシオが学生時代の音楽活動振り返る50 回で抜群の面白さ。インディーズ台頭など80年代の東京ロックシーンも詳細に描き貴重な資料。場を用意した編集Y氏の仕事にも拍手。

北中正和 / ビートルズ

2021年9月17日初版 新潮新書ビートルズの生きた時代と、その背景に流れていた音楽たちを辿った意欲作。博覧強記の著者ならではの情報量で、タイトルとの齟齬あってもリバプールという町の成り立ち、多様性を生んだ理由にも迫り深みある面白さ。